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雪の降る夜に  作者: 佐宮 綾
結婚式
10/11

1

 私は、深冬にすべてを話した。

 深冬は驚いた顔をして私たちを見つめている。


 雪絵の過去、出会いの経緯は、今思い出しても壮絶なものだ。

 横にいる雪絵は、気まずそうに俯いている。


 妻の肩に手を回し、そっと右肩に触れながら、


「深冬」


 娘の名を呼ぶ。

 雪絵に似た娘は、立派な医師になり、誰かと新しい家庭を築く。


「もう、母さんのように苦しむ人を、作らないでくれ、

 自分にできる精一杯で、相手を、将来生まれるかもしれない子どもを、幸せにして、自分も、幸せになるんだ」


 私は、彼女の幸せを願って生きてきた。

 彼女が幸せに暮らせるよう、最大限努力してきた。

 彼女はいつも、私の横で「幸せよ」と笑ってくれる。


 それだけで、私の人生は報われたのだ。


「お母さん、お父さん、話してくれて、ありがとう」


 向かいに座る深冬が、私たちに向かって頭を垂れた。

 そして雪絵に似た笑顔で、ふわりと、笑う。


「幸せになるよ。そして、家族を、幸せにしたい」


 私は頷く。


「必ずふたりで、幸せになりなさい」


 雪絵は前を向いて、深冬に言った。


 それは、深冬が産まれてから、私たち夫婦が願い続けてきたことだった。



 *



 深冬の結婚式、当日。


 控え室にて、深冬と、深冬の夫になる司さんに対面した。


 たっぷりのフリルとレースの付いたウェディングドレスを纏った深冬は、あの日の雪絵とそっくりだった。

 ダイヤモンドが光り、丁寧なネイルアートの施された指先が、幸せを物語っていた。


「懐かしいな……」


 思わず、ひとりごちる。


「お父さん?」


 深冬は私に問いかけ、白いタキシードに身を包んだ司さんが、私に不思議そうな目線を向けた。


「綺麗だな、と言ったのだよ」


「ありがとう、すごく嬉しい。司くんも、すごく似合ってる」


「ありがと。深冬、本当に綺麗だよ」


 嬉しそうに笑い合う二人の姿に、昔の私と雪絵を見たような気がした。


「昔の私たちみたいね」


 雪絵も、そう呟いて笑う。


「そうだな」


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