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プロローグ

プロローグ


『とある少年と少女の約束』  

とある時代の、とある世界の、とある国に、普通の少女と普通の少年がいました。 彼女らがこの世に生を受けてまだ4年ほどしか経っていません。

彼女らは、彼女ら以外の大多数の子供たちがそうするように、幼稚園に通っていました。


「ねえ、雫ちゃん、俺のこと好き?」


この年頃からでしょうか。「恋」や「愛」といった概念に興味を持ち始めるのは。 「うん。好きだよ。私は明君のことが好き。」  


しかし、この年代の子供たちに理解できるものではないでしょう。

もちろん、この少女たちも例外ではありません。


「やった!なら俺と結婚しよう!今から雫は俺のお嫁さんだ!」


正確に言うと婚約者なのですが、ここでそれを言うのも無粋でしょう。


「え?結婚?う〜ん。結婚かー、結婚はまだ早いよ明君。」


いつだって女という生き物は現実的なものです。どうやらこの少女も例外ではないようですね。


「でも、雫は俺のことが好きなんだろ?俺も雫のことが好きだもん。俺たちは愛し合ってるんだから結婚しないとダメだ。」


そしていつだって男は馬鹿なもの、そしてこの少年も例に漏れずに馬鹿なようです。


「え?そうなの?う〜ん・・・分かった、結婚するよ。私・・・明君と結婚する。」


どうにも他人に流されやすい性格の少女のようです。それでいいのか少女!もっと自分を大切に!っと思わなくもないですが、この年頃の子供たちにはよくある会話です。


「うん!やっぱり雫はいい女だ!物分りが早い!じゃあ、結婚できるようになったら結婚しよう。それから大きい庭のある家を建てるんだ!子供は三人!白い大きな犬も飼おう!」


 そしてこちらの少年は具体的なのかアバウトなのかよく分からないですね。まあ、生来適当な性格なのでしょう。


さて、ここで一つの「約束」が成されました。たわいもない微笑ましい「約束」です。


この「約束」はこの盟約が成されて約6年後、つまり彼らが小学校4年生になったときに一つの臨界点を迎えることになります。


今回語るのは私が知る彼らの物語です。彼ら以外の彼らが、どういった選択をしたのかは私には分かりません。

正確に言うと分かるのですが、しかしそれは———知っていると言うよりは、誰でも分かることなので割愛させていただきます。


物語の結末としてはハッピーエンドの類に入ると思いますが、それを判断するのは少なくとも私ではなく、この物語に関わったそれぞれの人々でしょう。


今回の物語は二つの時代の、二つの「約束」が、二つの場所で同時に紡がれるというものです。


美しい「約束」が生み出す美しい結末と、その光によって生み出される陰の物語。それを始めましょう。

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