新しい友達…友達?
「人はみな、生まれながらにして平等である」という言葉はよく耳にするが、耳にするたびに僕は、こう思ってしまう。
絶対に人は、平等なんかじゃない。生まれながらにして不平等なんだ。
もちろんこの言葉を僕は、無責任に何の根拠もなく発しているわけではない。
証拠なら、僕を含めて僕の周りにごろごろと転がっている。
ちょうど今、僕の後ろについて歩いてきている人も、そのうちの一人だ。
「ねぇねぇ星斗くぅ~ん。さっきから僕のおなかがぐうぐうなってうるさいのだ~ぁ。どうか助けてほしいのだ~ぁ。お願いなのだ~ぁ、星斗くぅ~ん…」
今は…今はこんなことをぼやいてはいるが…。
「じょ、情さん。それは僕のセリフです。…それに、今はあなたのおなかの音よりあなたの声の方が五月蝿いです。静かにしていただきたいです」
「えぅぇぇ~…。そんなことはあるわけがないのだ~」
こ、この人…空腹にやられたのか、おかしくなっていやがるっ…。
だ、誰か、このやばい人を正常な人に戻してくれ…。
そうすがるような思いで、コンビニの入り口の自動扉の前に仁王立ちをしてやった。
「な、何か知らないけど、すみません…」とでも言ってきそうな様子でギイギイと音を立てて開いた扉は、見た目とは裏腹にさびているようだ。
昼食を適当に選んでレジに立っている夏芽さんと軽く会話をしつつ会計を済ませ、とりあえずスタッフルームへと足を運ぶ。
そんな僕の一連の動きを一見してぼーっと観察していた情さんは、僕の中に入っていったと同時におろおろとしはじめ、もう一人のレジにいた店員さんがひどく混乱し、心配していたらしい。
僕はひどく呆れつつ、彼の様子を見に行ってやることにした。
こいつ、このバージョンのときになると、根本的な性格までも変わってしまうのか。
とんだ大荷物、持ち込んできちゃったな…。
「…もう、何やってるんですか?情さん。お昼ごはん、どうするんですか?」
僕が歩み寄っていき、そうやって尋ねると、彼は静かにぼそりとつぶやいた。
「…僕、お金、もっ、もっ…持ってないのだ~ぁ。僕たぶん、このままだと飢餓で死んじゃうのだ~ぁ」
ただ単に家に忘れてきてしまったのか、そもそも自分のお金が一円もないのか、僕は知る由もない。
でも、これだけはわかる。
それだけ元気なら、大丈夫だ。
間違っても死ぬことは絶対にない。
僕は安心して、ついでにお昼ごはんを買い足しておく。
さっさと会計をもう一度済ませ、僕は面白い顔をしている情さんの手を引いて、さっそうとコンビニの店内から出ていくことにした。
もうこれ以上、騒ぎを起こして目立ちたくはない。
ギギィー…という自動扉の耳障りな音が、やけに耳に残って離れない。




