突然の謝罪、衝撃の事実
「…それで、話しておきたいことって何ですか?」
僕がコンビニエンスストアのさらに裏側の人目につかない場所へと連れてこさせられたその小さな少年は、開口一番そう言った。
彼が醸し出してくる圧に、一瞬身がたじろぎそうになる。
「…その、僕はこの場を借りて、全面的に謝罪させてもらいたいことがある」
彼は僕のそんな言葉に一瞬驚いたようなそぶりを見せたが、すぐいつもの顔に戻って言った。
「やっと、本性を見せてくれたようですね。…はい、よろしいですよ。どうぞ、謝罪してください」
少し偉そうな態度がどうしても鼻にまとわりついて離れないが、もうこの際しょうがない。一時的に目をつむっていることを決意する。
それにしても星斗、よくこれが僕の本性だって分かったな。
…まあ、とりあえず…謝るか。
「…ごめんなさい。さっき僕は嘘をつきました。この場を借りて全面的に謝罪させていただきます。…本当に、すみませんでしたっ」
僕は深々と頭を下げ、そう口にする。
だんだんと、頭に血がのぼっていって苦しくなっていくのを感じる。
はて彼は、いったいどんな反応で来るのだろうか…。
「…あの、どのような嘘をついたのか、それに対して真実は何なのかを教えてくださらなければ、あなたの罪の重さと謝罪の意がよくわからないので、まずはそちらの方を述べていただいてもよろしいですか?」
…そ、そうだった…。星斗はそういうやつだった。
しょうがない、言うか。
まあもともと、このことも話すつもりだったしな。
「…えっと、話の最初の方に言ったことなんだがな、助ける方法についての話をしたときに「…しかし、この行為は大変危険なんです。もしかすると、助からなくなるくらいに…」って言ったが、あれは嘘だ」
「じゃあなんですか?実はそこまでの危険は伴わない敵なことなんですか?そうなんですか?」
彼はきっと、本当にそうであることを望んでいるのだろう。
どうか、そうであってほしいと心の片隅で願っているのだろう。
わざわざ二度も念押しするのだから、そう思っているに違いない。
…でも、すまん。
その解答には、どうしても〇をあげることができない。
そう。悪いがお前の回答は不正解なんだ。
「…悪いが、そうではないんだ。逆なんだ…っ」
彼の表情が、だんだんと曇っていく。
もうすぐ土砂降りの雨が降り出してしまうのではないかというぐらいに、空にある黒雲が勢力を増していっているのが、先ほどからずっと痛みを訴えている頭でわかってしまう。
彼は僕に、顔を引きつらせつつ、恐る恐る聞いてくる。
「…逆、とは…?」
今、聞くしかない。でも、聞いてしまうのが怖い。
そんな気持ちが、今、僕の目の前にいる星斗から伝わってきてしまう。
真実を告げる方だって、辛いんだ。
僕はそうやって目で訴えて返すけど、一向に伝わった様子はない。
言わなきゃいけない。
聞かなきゃいけない。
伝えなきゃいけない。
知らなきゃいけない。
このときほど、運命という名のものを呪った日はないだろう。
きっと彼も、同じように感じたのだろう。
僕は仕方なく、小さくて大きな勇気を振り絞る。
「…もしかしなくても、助からないんだっ。お前以外の、僕を含めた、今いる精霊使い全員が、彼女を助けると、みんな跡形もなくなって、存在や痕跡ごと、消え去ってしまうんだっ」
聞かなきゃよかった。
大粒の雫が、目下のコンクリートの地面に落ちた。
一粒、二粒、三粒…と、だんだん水滴が増えていく。
「…冗談、です…よ、ね…?」
お願いだから、冗談だと言って…。
今彼が言った言葉から、そんな気持ちが伝わってきた。
僕はそんな彼の言った言葉に否定も肯定もせず、ただ、
「…すまん…」
とだけ告げた。




