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地球の原材料  作者: 海那 白
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店内案内と教育係発表

「まず、ここが〝スタッフルーム〟だ。朝来たらまずここに行き、自分の荷物をロッカーの中においてから制服に着替える。また、ここを休憩所として利用することもできるから、ぜひ有効活用して欲しい」


 そこには意外にも、閑散としていると同時に所々が錆び付いているような印象だった。

 スタッフルームへと入る扉は青く、そこまで厳重そうに見えない。

 一般企業によくありそうな感じだったが、開けるための鍵が指紋認証だったのが雰囲気ぶち壊しすぎてがっかりした。

 無駄にセキュリティだけが万全だった。


 何なんだ、ここは。

 ここは本当にスタッフルームなのだろうか……。


 そう言いたくなるような扉だ。


 中に入ると、真ん中にポツンと佇む、無駄に綺麗な背もたれなしの青いふっかふかの椅子……以外は、サビが付き始めている鉄製のロッカーが左右両脇にズラッと、「また新入りかよ、チッ!」とでも言いたそうに佇み、並んでいた。

 電気は蛍光灯だからか、眩しすぎる。


 この部屋は詐欺かよ。

 休憩させる気ねーだろ、こんなの。


「ちなみに、あなた方のロッカーはこちらです」


 僕たちを、部屋の奥の方に立て続けに並んでいる〝星斗くん〟と〝水樹ちゃん〟と書かれたネームプレートが入ったロッカーの前へ連れて行った。


「この指紋認証装置でロッカーの開け閉め、ロックをします。さあ、次は〝厨房〟へ行きましょう」


 あ、了解でーす……って、もうこの部屋終了っすか?

 ちょっとさすがに早すぎませんか?

 一樹(自称ステ……以下略)さーん!



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「あ、おはようございますっ、店長!……って、さっき言ったばっかだっけ……」

「ああ、おはよ、火菜さん」


 火菜さんだった。


「いつも熱心に働いてくれてありがとね。君のおかげで随分こっちも助かってるよ」

「ありがとうございますっ。私、そんなこと言われちゃうと、もっともっと働きたくなっちゃいますっ」

「……いや君はもう充分働いてくれてるよ。ううん、働きすぎだよ。だからもうちょっと肩の力を抜いて欲しい」

「はいっ。頑張って働きますっ」

「……」


 一樹さんはため息をついた後こちらを振り向き、、何もなかったかのように話し始めた。


「ここは〝厨房〟だ。コロッケとかの揚げ物類を揚げたり、期間限定のソフトクリームとかを作ったりするところだ」


 うむ。

 ここは普通だ。

 普通で良かった。

 調理台もそこそこ綺麗に磨かれているみたいだった。


 火菜さんがやってるのかな?

 なんかそういうの得意そうだし……。

 だとしたら納得がいくな。


「星斗くん」


 そう言った一樹さんの一声により、僕は現実に引き戻される。


 僕は何もしていなかったかのように見えるよう精一杯努めて、恐る恐る口を開いた。


 僕はなんだか少し、怖かったからだ。


「んな、なんでしょう……?」

「君の教育係は火菜さんに頼んだ。火菜さんからはたくさん学べるところがあるはずだ。火菜さんのそばで、お前もしっかりと学ぶがいい」

「今日から星斗くんの教育係になりました、火菜と申します。これからよろしくねっ、星斗くん」

「よ、よろしくお願いしますっ」


 よかった、風香さんや一樹さんが僕の教育係とかじゃなくて。

 

 それにしても、びっくりした。

 まさか、僕の教育係が火菜さんだなんて思ってもいなかったから。


 ……ということは、水樹の教育係は誰になるんだろう?

 いい人に任せられるといいんだけどなー……。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 そんな僕の望みは、次の一樹さんの気の軽い一言で哀れに砕け散ってしまった。

 うん、僕は運に裏切られてしまったようだ。


「んじゃー、水樹ちゃんの次の教育係は風香さんねー」


 そして僕を見た一樹さんは、



「ちょ、待って……。なんで星斗くんの方が驚いてんの……。くくくくく……」


 とお腹をかかえて笑いだした。

 ムカついた。

 なんかムカついた。

 なぜか知らんけどムカついた。


「まーまーそんな顔しないで。これでも、風香ちゃんはうちの自慢のバイトさんなんだよ。接客がうまいから、水樹ちゃんもたくさん学べるところがあるはずだ」

「……ん?教育係ってなんのことですか?」


 風香さんだった。


「え?前に伝えてなかったっけ?」

「そのようなことは何一つ言われた覚えがないんですけど……」

「まあいいや。今伝えられたことだし」

「まあいいや。起こるのもめんどくさいですし」


 風香さんは水樹の方を向き、言った。


「まぁそういうことだから……これからよろしくねっ、水樹ちゃん」


 満面の笑みを向けられて戸惑っているように見えた水樹は、さっきの僕に習って言ったらしかった。


「ぁ……んぃよ、よろしくお願いしますっ」


 あー……心配だー……。

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