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次の町

「もう嫌じゃーーーー!!!なんとかしてたも~~~~!!!」



さっきからこんな悲鳴を上げているのは竜であるジャスパ。


今俺達の船は、謎の穴のある無人島を出発して丸二日経っているが引き続き海の上を南下している真っ最中である。

そして船の外はというと土砂降りの雨と強い風が吹き荒れている。


まぁ簡単に言うと嵐なのである。


「まさか竜であるジャスパが船酔いだなんてね・・・」


厳密にいうと船酔いではなく、揺れが感覚的に気持ち悪いってだけらしい。


「全くだよ。船の方はシーラックの操船のおかげで荒れた波でも少々の嵐でも大丈夫だってことが分かったのはいいけど、まさかジャスパに問題が発生するとはね」


普段竜の状態では大空を飛び回っているのだから船なんかと比べ物にならないくらい揺れまくっているはずなんだけど、それとこれとは別問題らしい


「じゃあさジャスパ。竜化して雲のの上まで飛んで着いてくる?」

雲の上でも気流はあるだろうけど、自分で飛んでいる分には大丈夫らしいし。

 

「濡れるのも嫌じゃーーーー!!!」


「・・・なんと我が儘な。。。嵐なんだから船が揺れるのは仕方ないよ?これでもバランサーが付いてるだけ揺れは少ないんだから。それにジャスパは水属性持ちだろ?雲の上まで間くらい我慢できない?」


「ぅぅ・・・のぉ、嵐をブレスで吹っ飛ばしてもええかの?」


え?


なんですと??


そんな事できるのか!?


いや、竜ならできるのかな・・・?いや流石に無理だろ。


てか船酔いのために自然現象一つ吹き飛ばすとか普通に考えてダメだろ!


「ダメに決まってるゃん」


船酔いというわけではなく、ただ単に嫌な感じというだけなんでむしろタチが悪い。

通常の船酔いの薬も効かないし、そもそも船酔いならば目から得ている揺れの情報と体が感じる揺れの情報が一致せずに怒ると言われているから前方や遠くを見るという対処法も意味がない。さらに効果があるか分からないが人であれば酔い止めのツボとかがあったりするが、竜にツボとかあるのか?という疑問もある。

そしてそのどれもが船酔いではないため意味がないのだ。


「こりゃ打つ手なしだな。ジャスパ、もうすぐ嵐を脱けるからそれまで我慢してね」


「ぅぅぅぅx・・・・」

結局どうしようもない事を理解したジェスパがソファーで頭を垂れている。



ガチャ

「ご主人様、ご飯の用意が出来ました」


「メニューは?」


「グレイトスタンプとナスのピリ辛味噌炒め、魚介類のスープです」


「なんじゃと!?スグニいくぞよ!」


メニューを聞いたとたんにジャスパはリビングにかけだしていった


「「え?」」


さっきまで気持ち悪い気持ち悪い言ってたのはなんだったんだよ。アッサリ食い気で克服してんじゃないか。。。


「ほらー!何しとる!お主達も早くこんかー」

廊下の向こうからジャスパが催促してくる。


俺とレンは苦笑いしながらリビングに向かうのであった。





「「ごちそうさま」」

俺とユイが同時に手を合わす。


レンの料理は何だかんだ言ってもうまいのだ。ご飯があれば欲しくなるような濃いめの味付けの料理だった。お茶を飲みながらゆっくりしていると


「おかわりなのじゃー!」


まだまだ食べ始めたばかりか?という勢いでお代わりをしているジャスパ。

もう揺れとか全く気にしてなさそうだ。

通常の船酔いじゃなくて気の持ちよう次第の、何とも傍迷惑な船酔いだ。


「そうだ!そろそろいいだろうからデザートを用意するね」


みんなに一言告げて、ユイと二人で用意しに行く。


「どうぞ、召し上がれ~」


しばらく用意に時間を取ったが、俺達が出したのはよく冷やした甘柿だ。

一口サイズに切り分けただけだけど。以前に渋柿を干していたのだが嵐の前に取り込んでそのまま冷凍室に入れておいたのだ。


「これは?」

みんな見た目が渋柿にも他の果物にも見えないが、何となく果物っぽいのは分かる。黒ずんだ柿、、、でもやはり見たこと内の物なので疑問に思ったようだ。


「この前大量に買った渋柿だよ。すっごい甘いはずだから食べてみて」

そうなのだ。甘いはずなのだ。

だって、そういう知識はあっても前世で実践したことなんて無いのだから。ただ、甘柿は食べたことがあるのでそうなっているはず!というところだ。


「みんなどうしたのじゃ?食べぬならお先に頂くぞ?」

そういってジャスパが一番に手を伸ばした。


そもそもの見た目が黒ずんでいるので美味しそうには見えない。それにみんな渋柿と聞いて一歩下がってしまっているし、俺もユイも確信があるわけではないのでもちろん食べようとは思っていたが二の足を踏んでしまったのだ。そこにさっきまでお代わりまでして満腹になったはずのジャスパが一番に手を伸ばしたのだ。

全員の視線がジェスパに集まる。


モグモグ・・・・


「むむっ!これはっ!!!」


「・・・どう??」

全員の心の声を俺が代表して言った。


「うんまーーーいのじゃ!!なんというか、、、こんなに甘いものを食べたのははじめてじゃ!!」


その反応を見てからみんなが一斉に手を伸ばす。


「・・・甘い!」

「ほんとうだ!甘い!!」

「すごい!普通の柿より何倍も甘いね!」


よかった、ちゃんと上手くいったみたいだ。

カビが生えないように高濃度のお酒を吹きかけたり、何度か手で揉み解したりするのも何気に手間だったんだよね。


「なんで?渋柿の渋さが全然ないよー?」

イノセントな目で聞いてくるのはライカだった。いつもよりも大きな瞳に本来よりもずっと幼く見えるよ。


「カビが生えないようにしながら干しておくと渋さが消えて甘さが増えるんだよ。意外でしょ?」


「うん、不思議~!でも、とっても美味しい!」

よかった、守りたい笑顔を守れているようだ。



ライカだけではなく、皆が笑顔になっていて作ってよかったなと実感していた。


『王よ、船が近づいて来ています。操舵室に来てください』

シーラックから声が掛かったので食休みもなくすぐに皆で操舵室に出てみた。


「シーラック、近づいて来ている船はあれかい?」


嵐だった空模様はだいぶ薄らいできていたが曇り空のため視界はよくない。それでもずっと前方に大きな陸地が見えた。その陸地とこの船の中間くらいに一隻の船がこちらを目指して来ているのが見えた。


『そうです。どうやら前方の陸地から出航したようですが、こちらの進路上に向っているようです』


「どのくらいで接触する?」


『このままの速度でいくと、約10分後には接触します』


「じゃあウォータージェットもスクリューもストップ。帆の力だけでどのくらい?」


『20分後には接触します』


「よし、じゃあそれでいこう。相手の情報がなさすぎて目的を推測することすら難しいから接触までじっくり観察しよう」


『了解しました』


「ジーナとリンダは見張り台であの船をよく見てくれる?」


「「わかった」にゃ」

すぐに二人は操舵室から出て行った。


「ユイとライカはこのまま操舵担当ということで」


「おっけー」

「わかった!」


相手がよろしくない場合はユイがここにいればウォータージェット推進を起動して逃走ってのも可能だ。


「接触時、相手がまともだった場合俺とレンで話してみよう。そうじゃなかった場合俺達の攻撃を合図に援護よろしく!」


「そんな面倒なことせずともブレスで薙ぎ払ってやろうか?竜の姿に戻ればこの距離でも外さんぞ?」


まじか!?どんだけ射程あるんだよ。まじでマップ兵器だな。


「いやいや、善良な人かもしれないから!」


しばらく進むと船影が多少はっきりしてきた。


どうやら兵隊が何人か甲板にいてこちらにむけて大きく手を振っている


さらに進むとはっきりと兵隊さんの声が聞こえて来た。


「停船せよ!停船せよ!」


とりあえず様子を見るために指示に従う事にする。

シーラックに停船するように伝えると兵隊さんたちの船が接舷してきた。


「ここはワンタイ国の領海で我々は海軍だ!所属と目的を明らかにせよ!」

接舷して一番近くの兵士が声を掛けてくる。


「僕たちは冒険者ギルド所属のケン=アーノルドです。ゴカジの町から火の神殿へ向かう旅路の途中です」


「ゴカジだと?だったらなぜ内海の航路じゃないのか?この外海の航路をとったのはなぜか?まずは話をするために船内を確認するがよいか?」


「ええ、構いません。どうぞ」

というと6人ほどの兵士がこちらの船に乗り移ってきた。

ガッツリ戦闘装備をしているが、国境警備の兵士ならそんなもんかととりあえず船内に誘導する。

途中、シーラックに船内を見た目通りの広さに変形してもらった。いらぬ疑いはかけられたくないからね。


「さて、指示に従って暮れる事には感謝する。が我々は国防のため船内を臨検するが構わないか?」


「ええ、構いませんよ。我々の目的はさっき言った通りでこの国に何かをしようと考えてはいないですから。あ、でも補給が出来るなら寄りたいと思います」


「そうか。では臨検させてもらう。おいっ!」

そういうと他の3名ほどが船室からでて他の船内を捜索しに出た。


「さて、ではこの船の責任者をだしてもらえるか?」


「はい、一応僕がこの船の責任者・・・という事になると思います」


「ははっ冗談はよせ。大人を出せと言っている」


「そう言われましても。僕たちのパーティーのリーダーは僕となっていますので」


「乗組員は他にいないのか?このサイズの船ならばそれなりの人数がいるだろう?」


パーティーメンバーがいる事は伝えたがどうやら想定よりかなり少なかったようだ。

が、臨検していた他の兵士ば戻ってきて何やら話したかと思うと、向こうで何やら納得したようだ。

途中冒険者ギルドのギルドカードを提示したりの手続きもあった。


「普通、ゴカジの町からイーンラの町への航路としてはもっと陸地寄りのルートを使う。商船は全て内海ルートだ。なぜならば外海ルートではかなりの確率で嵐と遭遇するからな。この辺の商船はそのくらいの事分かっているからこのルートは通らない。が、君たちのような駆け出しの冒険者しかいないのならばそれすらも知らなかったのだろう」


「そうだったんですか・・・あの嵐には苦労しました。。。」

主にジャスパのせいで。


「嵐の中子供だけでよく無事だったな・・・。臨検の結果も特に問題ない。このままイーンラの港まで誘導しよう」


そういうと、兵士たちはさっさと船を出て自分たちの船に付いて来いという合図を出すと遠くに見えている町へ向けて出発した。


港に着くと指定の場所に停船し港の使用料を払い兵士さんとはお別れとなった。


港から町へと入ると、結構賑わいのある町だということが分かったけど町のあちこちで兵士の姿が見えた。


「なんだか物々しいとまでは言わないけど、治安維持にそうとう力を入れているのかな?あっちにもこっちにも兵士がいるよ」


「そうだね。まぁ、襲ってくるわけでもないし今日の宿を探そう」

俺とライカとリンダの3人は今日の宿探しだ。

ちなみに、ユイとジーナとジャスパは補給物資調達のため市場へと出かけている。

レンは船でお留守番だ。


宿を見つけ、みんなと合流し夕食に出掛けた食堂ではこの町の情報が聞けた。

俺達が子供だけの冒険者パーティーだと分かるといろいろ教えてくれたのだ。

この町を含め、ここは大きな島国らしい。近くにある大陸側から独立したんだそうだ。

ただし元々の国からは独立を認められていないらしく日々兵隊が派遣されて小競り合いは起きているらしい。もっともこのイーンラの町は外海側なので比較的平和らしいが内海側の町は結構大変らしい。

そういえば、この町には男手が少なく女子供や年配の人が多いような感じだったが内海側から避難してきた人達も多くいるようだった。ついでに、スープのお代わりをサービスしてくれたりして、いいおばちゃんだった。

夕食も終わりみんなで宿に戻って一泊となった。

部屋は4人部屋が一つだけしか取れなかったのでベッドを増やしてもらって皆で雑魚寝状態だ。

シーラックでは空間を気にせずに部屋作りが出来たのでみんな個室を作ってい偶にはたしこうして皆で雑魚寝状態なのはちょっとテンション上がってしまう。修学旅行の夜みたいなもんだ。

一旦は皆布団に潜り込んで眠る体制になったものの、すぐに枕投げが始まり隣の部屋から壁ドンされてテンションが落ち、今では布団を被ってひそひそ話に花が咲いている。

パジャマトークで盛り上がりを見せているのは主に女子メンバーが多いのだが、ユイ、君は違うだろうと心の中でツッコミを入れた。他にも、レンが違和感なくその中で盛り上がっていたりもした。

ジャスパはというと、一定して興味深げに見ている。まぁパジャマトークに限らず港に着いてからずっとだけど。

俺はある程度で眠気の方が勝り、皆の話声が子守歌のように聞こえていたのを最後に意識を手放したのだった。


翌朝、目が覚めるとジーナが目の間で寝ていたのでしっかりともふもふを堪能させてもらいつつ更に惰眠を貪っていた。

「で、今日はどうするのじゃ?」

とジャスパの声が聞こえたような気がしたが、もしかしたら夢かもしれないので放置して更に惰眠を貪った。

「せっかく朝になったのじゃ。ケンもユイも起きているのは分かっておるぞ。さっさと起きるのじゃ」

という謎の言葉を発したかと思うと、直後には布団を剥ぎ取られてしまった。


「おはようございます、ご主人様!朝食の用意ができたそうですよ!」

無駄に元気なレンが部屋に入ってくるやいなや、そう言われてはもう起きるしかないか。。。。


もちろん同時にジーナや、俺と同じ考えで同じ行動をしていたユイとその目の前にいたリンダも起きてしまった。ライカはいつもの事か・・・みたいな目をするのは止めて頂きたいところだ。


「そっか、じゃあ朝食を取りながら今日の予定を決めようか」

と返事をすると、顔を洗って宿の食堂に向かった。


「昨日は夜更かししたみたいだったけど、食欲には関係ないみたいだね」

もう飢えた獣のように食べ始めたリンダを見るとそういいたくもなる。


「だって、焼き魚が出て来たら食べる以外の選択肢はないにゃ!!」

一応、俺の言葉は届いていたらしい。


「夜更かししていたら途中でお腹すいちゃったからね。ボクも朝ごはんが待ち遠しかったよ」

なんてライカは言っているが口の端に付いてますよ、パン屑が。


「寝不足という感覚は分からぬが、ここの食事も美味である」

流石に竜のジャスパに寝不足は分からないか。

ただ、ここの料理が美味しいのは同感だ。


結局一通り食べ終わるまでまともな話にはなりそうにないので俺も朝食を楽しむことにした。


「で、今日の予定だけど」

そう切り出した。


「私とリンダはそろそろ防具のメンテナンスに行きたいかな」

「ずっとジーナと模擬戦を繰り返していたからそろそろ直したいって話してたにゃ」

確かに綻びも目立ってきた。

「自分たちで毎日手入れはしていたんだけどねぇ」

「ちょっとサイズも直さないと胸の辺りとかキツイ感じもあるにゃ」

ふむ・・・お子様体型にしか見えないけど、少しずつ成長しているんだな。

ユイはどうなんだろう・・・とふと見たが、ユイの表情からこっちは問題ないらしい。

俺とユイの装備は少々は自動調整機能が付いてるからかな。


「じゃあジーナとリンダはそうするとして、他はどうする?」


「せっかくじゃから付いて行くのじゃ。人間の装備、興味あるのじゃ」


「竜でも人間形態の時は防具とかあった方がいいの?」


「そうじゃな、必要じゃ。見た目的に」

見た目だけかい。


「じゃあジャスパも防具屋行だね。ライカとレンはどーする?」


「昨日注文した補給物資はいつ取りに行けばいいのでしょうか?」

レンがまともな事言っている。


「今日には用意できるところばかりだったよ」

ユイが答えると、

「では、私はそちらに同行します」


「レンがまともだ。大丈夫か?熱でもあるのか??」


「失礼な!いつだってまともです!大荷物を持たされて港まで衆人環視の中歩いて行くなんていいじゃないですか!!」


「あ、大丈夫じゃなかった。いや、平常運転だった」

「だね。まぁそれは置いといて、レンと補給物資調達に行ってくるよ」

「じゃあ、そっちはお願いね」

ユイに伝えると、ライカを見た。


「ライカはどうする?」


「うーん、どうしようかな?」


「じゃあ俺と冒険者ギルドにでも行ってみるか?」


「ここでクエストを受けるの?」


「いや、昨日の夜聞いた話ではあんまり平和そうじゃないからあまり長居は考えてないよ。だからクエストというよりこの辺りの情報とか、火の神殿までの道のりとか情報集めに行ってみようかと思う」


「なるほど、じゃあボクも付いて行く」


「オッケー。では皆の予定も決まったことだし夕方には船に戻るという事で解散~」


と声を掛けるとみんなで宿を後にした。


ちょっと日が開いてしまったのに何くわぬ顔でしれ~っと投稿。

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□頭脳派脳筋の異世界転生もよろしくお願いします。
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