クエスト:コモドリザード討伐
前回の更新前日PVが26、前回更新日のPVが1073。
更新するとたくさんの人が見てくれるのを再認識。
累計PVは50,000を超え、ユニークでも10,000を超えました。
モチベーションがあがり今回もちょっと長めです。
森の中を進むというのは結構骨が折れるものだ。
殊更俺達のパーティーで難なく進むことが出来るのは魔族であるレンくらいなものだろう。
ただし、本来ならばという前置きが付く。
というのも俺もユイもそうだけど基本的には【身体機能強化】をかけてあるので木々が障害物になろうが特に問題なく体は動き進むことが出来る。
それでも移動のペースが上がらないのは新米冒険者で、今回が初陣で、まだまだ子供でありながら一応は【身体機能強化】で身体機能は向上しているとはいえ、そのレベルではまずもって来ることが不可能なレベルの森の奥地へと進んでいるからに他ならない。
とはいえ、本人にしてみたら到底敵いそうにない魔物が徘徊する森で【認識疎外】のおかげで魔物から認識されずにいるとはいえ、常に緊張しっぱなしの状態だ。
スピカは【身体機能強化】による感覚の違いをものにするのは早かった。手加減した威力ではあるが慣れるには少しかかるものだと思っていたがすんなりと慣れてしまったのである。
「これが若さか・・・」
と呟いても、モトネタが分かる唯一の存在であるユイの耳までは届かなかったらしい。
そんなスピカのペースに合わせて移動しているので俺とユイは森という場所には確かに不慣れな部分もあったのだが、とりあえず問題なく進んでいけたのである。
「もう少しこのまま進めば水場、、、おそらく沼地らしきものがありそうですね」
森という環境を問題にせず、方向感覚もしっかりしていて、人族よりもずっと優れた感覚を持つレンが声を掛けて来たのは、昼食を取って以降休むことなく移動し続け夕方に差し掛かる頃だった。
「じゃあそろそろ休憩・・・というか野宿の準備に取り掛かろうか?」
「それがいいと思います。ちょうどあの辺りに木の無いスペースがありますし、どうでしょう」
レンが指さした場所は丁度半径2メートル程木が無いところだった。もちろん地面には草などもあるし、枯れ葉もたくさんある。が、とりあえず土魔法で簡易の小屋を作るには十分な広さであった。
「諸君、我々はこの地で一泊することする。準備開始!」
と言ってみたのだが、
「その号令、いる?」
「え?いるだろ?」
「そうかな?」
「リーダーぽいだろ?」
「リーダーぽいかな?」
というすべてが疑問形な会話を残してしまう結果となった。
なんだか釈然としない気持ちもあったが、半日移動を続けて疲れてきているのは事実だったのでとりあえず俺はメインとなるテント代わりの小屋を土魔法で作っていった。
ユイはその小屋の前で簡易の釜土を作っていたのでその釜土が小屋の中に配置されるように小屋を作っていく。レンは途中で狩った魔物を素材として夕食の準備に取り掛かっていた。
スピカは残念ながら体力を消耗しすぎてその場で伏せてしまった。
それでも弱音も吐かずにここまで付いてきたのには、まず滅多に見ることができない格上の冒険者である俺達の戦いを見たいという事が一つ。一人では森のこんな奥地まで来ることができないので、珍しいものがあれば持ち帰ろうという事が一つ。そしてもう一つは、置いてけぼりになったら死ぬ・・・という理由だった。もちろん俺達はスピカを置いてけぼりになんてしないし、そうならないようにスピカのペースに合わせて移動してきている。それでも、まぁ疲れるよね。
俺達3人は途中遭遇した魔物を狩りながら進んでいたが、スピカはゆっくりそれを見学できたかというと疑問が残る。魔物を発見するとレンと俺もしくはレンとユイが先行、討伐、剥ぎ取りを行ってやっとスピカが追い付く位のペースだったもんね。
森の奥地に進めば進むほど魔物というのは強くなっていった。
最初はゴブリン一匹から奥地に進むごとに強くなるというのは冒険者にとって修行の場としてとてもいいのではないかと思う。焦らず自力を高めつつ奥地を目指すなんて、冒険者っぽい!しかも町から森までそこまで離れてもいない。これってRPGだと最初の町として最適なんじゃ?なんて考えてしまう。そんなわけで、スピカは冒険者としてやっていくのにいい場所から開始出来たんだろうなぁ。
そんな考えをしているといつの間にか釜土を作り終えたユイがスピカを水球で洗っていた。
スピカは(一応)女性のユイに裸を見られるだけでも恥ずかしいのに水流操作してまたアヘ顔まで晒してしまっている。疲れ切って抵抗らしい抵抗も出来ずに。まぁ、ユイの気持ちは分かる。が、スピカの気持ちも分かるだろうに・・・。もうご愁傷様としかいえない。
そんなやり取りを見ていると夕食の準備も整ったようで、
「ご主人様、お食事にされます?それともお風呂にされます?それともア・タ・シ?」
と聞いてきたレンの後頭部に拳骨一発かましてみたが
「ああ、こういうのも嫌いじゃないんですよ!一発でおしまいなんですか?もっとお仕置きしてくれてもいいんですよ?」
なんてうっとりした目で聞いてきたので無視して夕食を開始した。
「ちなみに今回わたくしが用意しました小屋は、直径3メートル程の丸い形をした小屋でございます。
入り口を入ると土間がありそこから小上がりになっているなんとも和風建築です」
「ワフーケンチクってなんですか?ご主人様。それに何だかしゃべり方も変な感じだし・・・」
レンのツッコミなんて気にせず俺は続ける。
「土間部分にはユイが作った釜土があり、その横には簡易のシンクと作業台もあり調理場としての機能をしっかりと持っています。さらに小上がりを上がると4人が向かい合わせで座れるテーブルによりこうして夕食をゆっくり取ることができるのです。また、このテーブルをのけることで、なんということでしょう!十分なスペースが確保され寝袋を置いて寝ることもできる仕様です。そして寝るときはというと、入り口部分を土魔法で塞ぎ外部から招待していないお客様をシャットアウト。さらに小上がり部分と土間部分の間に設けられた蚊帳を設置することで森の中であっても虫の被害にあうこともありません。これが今回匠が用意した仕掛けの一つです。そして天井部分に目を向けますと土間部分の天井の内半分は屋根が無く換気も十分にできるという、匠の心配りを忘れない快適空間です。
土魔法であっという間に作り出した小屋とは思えない至れり尽くせりのこの建物のおかげで、本来は焚火を囲んで見張りを立てつつ行う野宿が、見張り要らずで宿屋に泊まったように体を休めることができる空間となったのでございます」
「それって改築したときに使うナレーションじゃない?」
ユイめ、、、なかなか鋭いツッコミをしおる。
「そうだけど。だって、建物関係のこういうのってこれしか知らないんだもん」
「だもんって、、子供かっ!」
「子供だしっ!」
どうやら俺は子供の肉体に引っ張られるように子供っぽい事を口走ってしまったようだ。そのことを指摘されて気恥ずかしさもあったが開き直ったまで。そんなやりとりをレンとスピカは本来意図したものは分からないはずだったが、それでも和やかな雰囲気というのは伝わるもので笑いながら見ていた。
和やかな食事をして、水球風呂に入って、4人で仲良く就寝したわけである。
「ここから沼地までどのくらいかわかる?」
翌朝、俺がレンに尋ねた。
「そうですね、昨日のペースで移動して小一時間ほどでしょうか」
最近は見慣れてきたとはいえ、やっぱりレンの恰好はこの場所に似合わないなぁと思いながら回答を聞く。
だって、一人お祭り小僧なんだもの。これが普段着ってのは違和感しかないのに見慣れてしまうことになるとは。。。
「そう・・・か。じゃあさっそく出発といこうか。スピカ、何かあったらちゃんと言えよ」
「うん、わかった!」
体力も回復し元気いっぱいのスピカの返答を聞いてから出発することになった。
遭遇した魔物を倒しつつ移動を開始して40分程でとりあえずの目的地にたどり着いた。
そこは岩場に沿って湖がある場所だった。
沼地っていうよりよっぽど綺麗なイメージのもてる場所だったし、岩場があるということはそこに登れば上から湖の様子が一望できるはずだ。
今いる場所から湖を見てもそれらしい魔物はいないのでとりあえず岩場に登ってみることにした。もちろん、4人まとめて秘技、【魔法板】でお手軽に上る。そこから湖を見下ろす形でクエスト対象のコモドリザードを捜索だ。
「【認識疎外】!」
捜索中は魔物討伐するつもりはないし、敵に見つかって不意打ちなんかも嫌なので全員に【認識疎外】をかけておく。
岩場の端を湖に沿ってしばらく歩いた時に、少し奥まった地形を発見した。
先頭を歩いていたレンが何やらそこに気配を感じるらしくジェスチャーで俺達に伝えてきたので、周りに注意しながら進む。
奥まった地形のところを覗き込むと、そこにいたのは一匹の魔物がいたのだった。
そこは、周りを岩場に囲まれ、正面には湖があり、しかし少し奥まっているため湖側からは見えない場所柄だった。丁度その魔物が寝そべるだけのスペースがあり、この魔物の住み家ともおもえるこの場所にいたのは体長10メートルはありそうなオオトカゲに羽が生えたような見た目をしていた。それが伏せてグッスリねむっているのだ。
「レン、これがコモドリザードか?なんか予想よりだいぶ大きいんだけど」(小声)
一応気配は消しているとは言え声を出せば気付かれる可能性は高くなる。それでも確認したくなったのは事前の情報よりもズット大きかったし、羽があるなんて情報はなかったからだ。
レンを見ると首を横に振っている。それも何回も。
やっぱりこいつは目標のコモドリザードではないということか。
とするならば、こいつは何だという疑問がでてくる。コモドリザードの住み家という情報のある場所で、羽をのけて小さくすれば聞いていたコモドリザードの情報と粗方合致するから、完全に無関係ではないのだろうと予想する。とすれば、コモドリザードの上位種だろうか。果たしてそんな魔物がいるのかどうか俺は知らない。冒険者になってまだまだ日が浅いというのもあるし、この世界での経験値もまだまだ低いのだから仕方ない。ユイを見ても当然俺と同じ考えをしているのが分かる。ついでにスピカのほうを見ても、初めて見るこんなサイズの魔物に驚き戸惑っているようだ。とすれば、レンが頼みの綱となるのだが、レンは一時撤退のジェスチャーをしていてこの疑問には答えてくれない。
ということは、やはりコモドリザードの上位種という可能性が高いのだろうか。しかし相手は油断して寝ているうえに、尻尾だけは湖に浸かっているので電撃でも食らわせれば一発でなんとかなりそうである。レンにジェスチャーで、俺とユイの魔法でやっていいか?と聞いてみたが返ってくるのは相変わらず一時撤退のジェスチャーだった。
レンからしたら俺たちが先制攻撃出来る状態でありながらそれでも適わない、もしくは結構な被害が出ると考えているのからこそ、その判断となるのだろう。仕方ないので一時撤退しようと動き始めたその時だった。
「それがよかろう。手を出すならば容赦はせんところであった。只でさえ短い生をこの場で散らさなくてよかったの」
声がしたのは魔物からだった。一時撤退しようと目を離したのは一瞬だったがその間で変化していたのは魔物の目が開きこちらを見ている事だった。
なんだよ、狸寝入りだったのか。しかも言葉まで話せると魔物だったとは。
「寝ている所をお邪魔しました。我々の目標ではないようなので向こうに行きますね」
一応話しかけられたので返事をしてみた。
「ほぅ、我に話しかけるとは肝が据わっておるの。それとも向こう見ずなだけかの?」
なんだよ、随分上から言ってくるじゃないか。よっぽどコモドリザードの上位種なんだろう。
「話しかけられて無視するのは失礼だからね。一応返答したんだけどダメだったかな?」
すると目を見開いたかと思うとしばらくして響き渡ったのは魔物の笑い声だった。
「かーはっはっはっ!礼儀を考えて話しかけたのか!なかなか面白い童じゃ!気に入った、先ほどの目標とやらをいってみるが良い。せっかくじゃから教えてやろう」
先ほどの会話でどの辺りが面白くてどの辺りで気に入られたのかはサッパリ分からない。やっぱり魔物と人では価値観もなにもかも違うんだなぁ、なんて考えてしまった。まぁ、それでも何か協力してくれるなら聞いてみるか。
「俺たちの目標はコモドリザードだよ。居場所を教えてくれるの?」
「なんじゃ、意外じゃのう。童ならあんなトカゲすぐに倒せるだろうに。なんなら上位種のリザードエンペラーよりも力を感じるが。あぁ、後ろの童に狩を教えておるのか?」
ん?やっぱりコモドリザードの上位種がいるのか。そしてこいつがリザードエンペラーなのかな?自分よりも力があるのを認めつつも、上から目線とは、、、。やっぱり魔物はよくわからない。
「狩を教えている訳じゃないんだけど、、、まぁ完全に違うともいえないかな。ただ、目標にしているのはクエストだからだよ。人族に危害あると認められた魔物は討伐することで報酬が出るんだ。だから以前に目撃情報のあったこの辺りまで来たんだ」
「ふむ、どっちでもいいがな。ただ、あのトカゲならワシがここに来た時に慌てて逃げていったからのぉ。もっと奥地の湖の底で怯えて隠れてるだろうよ」
なんてこった!こいつのせいで目標が遠くにいってしまったのか。しかも見付からないように隠れているなんて面倒くさいことになったもんだ。でもまぁ仕方ない。俺達のクエストに変更はないからね。
「隠れてるのなら探してみる。もうちょっと奥地なんだね?教えてくれてありがとー」
それだけ伝えると俺たちはさらに奧地へと出発した。
魔物の近くを通り過ぎるとき、スピカごフリーズしているのに気がついたユイがお姫様抱っこしてあげて通り過ぎた。レンはかなり注意しながら通りすぎる。一方、魔物のほうはもう俺たちに興味を失ったらしくまた眠りこけていた。
「まさかこんなところで竜種に遭遇するなんて、生きた心地がしませんでしたね」
魔物から通り過ぎてしばらくの行ったところでやっと開いたレンの口から出た言葉は驚きの内容自体だった。
「あれ、竜だったの?」
「え?」
しばらくの沈黙が訪れた。
そう言われて見れば確かにそれっぽい見た目をしていたな。トカゲ探しに来たからそれ関係の奴だとばかり思っていたが、どうやら違ったらしい。
が、その沈黙を破ったのはスピカだった
「僕竜なんてはじめて見た!怖かったー!でも見逃してくれてよかったねー」
なんとかフリーズが解けて先ほどまでを振り返り感想を言えるまでになったスピカは、ユイのお姫様抱っこから降りてまだ少し膝が笑っている状態だった。
「あれ竜だったのか。通りでトカゲの割には大きいと思ったよ。それに羽もあったからおかしいなーとは思っていたんだよね」
今度は俺が素直な感想を口にしたらレンから何で気付かないの?魔物が人語を話すわけ無いんだからそれよりもずっと知的な存在なのはすぐに分かるでしょう?しかも、あの見た目でなんで??しかも、攻撃しようとしてたでしょ!?あんなに撤退の合図を出していたのに。もし攻撃して怒らせたら全滅していたかもしれないんですよ!と散々言われたい放題言われてしまった。
その勢いに押されて、つい
「気づか無かったのは悪かったって。でも、内包している魔力もそこまでじゃなかったし倒せない程ではなかったよ、なぁ、ユイ」
「そうだね。そこまで凄みも感じなかったしね」
「あ、でも倒したあとクラーケンの時みたいに自爆とかされたらスピカを守りながらだと無傷ではなかったかもね」
なんてやりとりを見ていたレンが、
「そう言えばご主人様たちはクラーケンも討伐成功しているんでしたね。ならば今の話も分からなくはないですが、普通竜種と人族の遭遇は基本的に全滅ですからね!」
なんて言われてしまった。
まぁ、冒険者でも上位クラスのパーティーが複数集まってやっと被害を出しながら下位の竜種を狩れる事もあるってレベルの話だからレンの警戒も納得出来なくもないか。
「分かった分かった。で、その竜からの情報だと湖の奥の方に潜んでいるとかだろ?どの位先か分かる?」
どうも常識と言うやつが違うんだよなぁとか考えられてそうだったがその辺は軽く流してこの先について聞いてみる。
「まだなんとも言えませんね。もう少し進んでみます?」
流石に魔族が人族よりも感覚が鋭いとは言えまだ目標は見つけられないらしい。だったら進む以外に道は無いと考えて俺は首を縦に振り前進を再開するのだった。
「あのあたりで湖が終わりみたいですね。その先は小さな川が何本かあるようですが。どうします?」
前進を再開して一時間位だろうか、遂に湖の端まで来てしまったようだ。竜の情報だとこの辺りに潜んでいるらしいんだけど、それらしきものはいないなぁ。
「なぁレン、湖の底で潜んでいた場合その存在を見つけれるのか?」
慌てて逃げ出さないといけない脅威がきたんだから、簡単に見付かるようなもんじゃ無さそうだけど、魔族だと違うのか疑問になった。
「うーん、実際近くまで来れば何かしら見つけられるのではないかと思っていたのですが、今のところ何も見付けられないのでもっと奥、川を登っていったのではないかと」
「なるほど。じゃこの辺りにはなにもいないか。。。だったらさ、念のためにこの湖に向かって魔法攻撃してみてもいい??レンでも見付けられないようにうまく隠れていたなら攻撃すれば出てくるかもしれないし、それが無くてもうまくいけば魚とかとれるかもしれないし」
昨日と違い今日は全員で【認識阻害】を使って進んできたため一匹も魔物に遭遇せずにここまできていた。それはつまり今日の食事は手持ちで賄わなければいけないことを意味していた。まだ余裕があるとはいえ出来れば獲物なりゲットしておきたいところだ。
「ええ、いいですよ。魚の気配もあんまり感じませんがいないわけでは無さそうです」
その答えを聞いて俺はユイの顔を見ると、一つ頷いた。使うのはもちろん電気系統魔法だ。ただこれだけ広い湖なんでそれなりに威力を上げないと拡散されて効果が無くなりそうなのでお手軽に威力2倍!俺とユイのダブルでやってみよう!
「「【落雷】」」
ユイと同時に呟くと片手を天に掲げ、力を込めて振り下ろした。
同時に響く爆音!
ゴロゴロと鳴ったかと思えば瞬時にドーーーーン!!!という音になり直後は水面でビリビリと余波を残した。
大体思った通りくらいの威力になったので、俺達もソコソコ雷系魔法を使い熟せてきたのかな、という感じていたところに
「ご主人様やりすぎーーー!」
とレンからの悲鳴があがった。
狙い通りの偉力なのに文句を言われて少しムッとしてしまったが、レンの横で腰を抜かし、しかも股間を濡らしているスピカを見れば確かに少しやり過ぎだったかも?と思い直した。
「もし水底にコモドリザードがいたらある程度威力がないとダメージにならないかと思ったんだけど、、、驚かせちゃったみたいだね。ゴメンゴメン。スピカ、大丈夫?」
声をかけてみたものの反応はなかった。気絶、、、はしてないな。取り敢えず股間が濡れて気持ち悪いだろうから洗っておこう。俺とユイで直径30センチ程の水球を作るとスピカの股間にあてがい、水流を作る。服の上からちゃんと汚れが落ちるように気持ち強めに水流操作しているとやっと正気を取り戻したらしいスピカが何か言っていたけどあまり言葉にはならず、水球をどけようと手で弄るがもちろんそんなことで俺達の水球が壊れることは無い。ある程度洗ったところで魔法を消滅させると、スピカの股間はきれいになった。何故かさっきよりも膨らんで見えるけどふんわり洗濯が完了しただけの事だ。きっと。他意は無い。
抗議の声を上げかけたスピカだったが、それよりも先に声を出したのはレンだった。
「見てください、何か来ます!」
レンが指さしたのは今しがた俺たちが魔法を打ち付けた辺りだ。
よく見てみると、水面に向けて何かが浮かび上がってきていた。
「レン!スピカを守れ!」
俺とユイが前線で武器を構えた。
恐らくはコモドリザードだろうけど警戒したのはその浮上してくる塊が一つでは無く湖のかなりの範囲から浮かび上がって来ていたからだ。
俺達は目標が水面に顔を出した時を見計らって、再度魔法を使えるよう魔力を流し始めた。
「くるぞ!」
ザバッ
「あれ?」
遂に水面から顔を出したそれは、魔法を撃つどころか警戒すらする必要が無い事が見て取れた。
何故なら黒焦げになりピクリとも動かない上、白目を剝いていたからだ。しかも同じようなのがたくさん。
「これ、何匹いるんだ??」
自然と出たオレの呟きに反応したのはレンだった。
「数えてみます、、、、、、えっと、76匹までは確認出来ました。けど、後から後から浮かんできているのでそれ以上なのは間違いありません」
「は?えーと、一応確認するけど!これってコモドリザード?」
「間違いありません。コモドリザードです。多少違うのも混じっているようですが」
「う、うん。じゃあ討伐証明をとらなきゃな。えーと、ユイ」
そういうと俺とユイは【魔法板】を作り出して水面に足場を作ると、浮かんでいる魔物を岩場の上まで放り投げた。体長3メートルから大きいもので5メートル程もある見た目はワニとトカゲを足して2で割ってイグアナ要素を追加したような感じだが、見た目通りなかなか重たい。しかし結構強めに【身体機能強化】をかけてしまえば小石を1メートル程上に投げる程度の感覚で岩場の上までコモドリザードを投げることができる。手近なところのやつを放り投げるとあとは手の届かない所へ【魔法板】を伸ばして集めるだけだ。ただ、結構の数がいるので全部集めるのは厳しいか・・・。
「ユイ、俺はこのまま集め続けるから上でレンと解体はじめてくれる?」
「おっけー」
ユイがサムズアップして岩場に登っていった。さて、これからどうしたものかと目の前の後継を眺めてみる。手近なところにいた10匹以上のコモドリザードは岩場に投げたものの、まだたくさんのコモドリザードが水面に浮いている光景は異様でしかない。これを【身体機能強化】しているとはいえ全部集めるのは骨が折れるなと考えしばらく眺めてみたものの、状況が変わるはずもなく諦めて作業を開始することにした。そこでふと気付く。ファンタジー要素である魔物をどうにかするには同じくファンタジー要素でなんとかすればいいじゃん。
俺は改めて水面に手を着くと魔力を込める。そして水深50センチ程のところに【魔法板】を作り出すとそれを湖の方へ向けて広げた。目に見える光景は先ほどとまったく変わらないものの結構な魔力を消費しはじめる。ある程度広げたところで今度はその【魔法板】をゆっくり浮上させる。そのまま高さ5メートル程まで持ち上げ今度はそれを岩場の方へ移動させる。
「ユイー、いくよー?」
一応上にいるユイ達に声を掛ける。
そこまでして俺が何をしているのか気づいたレンが慌てているのが見えた。
岩場の上で解体をしていると、20匹以上のコモドリザードの死体が空を飛んでやってくるのは確かに驚くかもなぁと他人事のように考えながらまとめて岩場の上に降ろす。
この作業を何度か繰り返し、最後にまばらに残ったコモドリザードを回収して岩場に放り投げると俺も岩場の上へと向かった。
そこには死体の山と形容して何も間違いではない光景となっていた。その端ではレンとユイが解体作業を進めている。優先順位としてはまず討伐証明である尻尾の先。続いて魔石。あとは素材の皮、最後に食用にもなる肉だ。そのころにはオロオロするしかなかったスピカも状況に追いついてまともな思考ができるようになったのか、それとも自分も何か手伝おうと思ったのか尻尾の先を切り取る作業に加わってくれていた。
さてここで問題なのはどれをどれだけ持ち帰るのか、ということだ。もちろん俺達は魔法鞄は持っている。が、とてもじゃないが全てを持ち帰ることなんてできない。という訳で、俺の魔法鞄は尻尾の先を、ユイの魔法鞄は魔石を、レンの魔法鞄には皮を入るだけ入れた。
「これ、全部持ち帰ろうとしたら馬車何台いるんでしょうねぇ」
解体作業を終え、持ち帰れるものを魔法鞄に入るだけ入れて一息ついたところでレンが呟いた。
「まったく、こんなにいるなら最初から馬車できたのにね」
「でも途中の森の中や岩場とか湖とか、悪路とかそういうレベルじゃないところを通ってきたから馬車なんて入ってこれないよ」
「それもそうだね・・・。もういっそ馬車ごと【魔法板】で飛ばしてくればよかったかな」という半ば冗談で言ったつもりだったが、俺が本気で言っているのか判断が付かなかったレンに
「これだからご主人様は・・・」と何か常識外の物を見るような目で見られてしまった。
「まぁ、それは置いといて、これだけの肉を放置するのも勿体ないしここでBBQで食べれるだけ食べよう」
「賛成!」
大きさの感覚なんて結構大雑把なものだ。そこにある肉の量を見てしまってからBBQ用の焼き台を作ってしまうと普通のものの10倍程度の大きさになってしまった。ちなみにこれを作ったのはユイだ。俺はさっきの作業で結構魔力を消費しちゃったからね。まだ余裕はあるけど、今度はユイのほうが魔力が余っているみたいだったので作ってもらったのだ。ついでにその下で火を起こし続けるのもユイに任せた。
俺はというと解体の済んだものの中から食用に取り分けておいた塊肉をある程度食べやすい大きさに切り分けて行く。まぁせっかくなんでちょっと大きめにしてワイルドな感じを楽しもう。
切り分けると持ってきている塩と胡椒を少々かけて鉄板に乗せる。
ジューっといういい感じの音がして肉が焼けていくのを見ながら俺は次々と肉を捌きそして焼いていく。
「この辺の肉はもう焼けたよ、食べよう」
「「「いっただっきまーす!」」」
号令と共にみんなで焼いた肉を食す。
うっまーーい。
みためトカゲなのを気にしなければ、脂の乗ったいい肉じゃないか。
牛肉が一番近いかな?いや、マグロのトロを焼いたような・・・旨ければなんでもいいか。
俺達は心ゆくまでBBQを楽しんだのだった。
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