カジット伯爵の館7
「おい、そこのガキ共!成敗してくれる!」
そういってさっきとは違う野盗っぽい人たちに絡まれたのは歩き出してしばらく経った頃だった。
「なんですか?」
「問答無用!」
今度は3人組ですか。いきなり斬りかからず、声を掛けてから斬りかかるあたり子供だからって舐めてるんだろうな。
俺は再び剣を抜き構えた時だった
「【火球ファイアーボール】」
3つの火の玉が襲ってきたやつらに命中した。後ろを振り向くと、ライカが魔法を使ったようだ。
「うぎゃーーー」
前を見ると、わめきながら火を消そうと地面を転がっている。
この光景、ついさっきも見たぞ?
続きもさっきと同じようにしてあげよう。
「【火結界ファイアーバリア】」
襲ってきた3人が転げまわっている範囲を指定して火で覆う。
「さて、これで逃げれないと思いますがどうします?」
「くっそう、、、なんだこのガキ」
「あまり反抗的だとこんなこともできるんですよ?」
俺は覆っている範囲を少し狭める。
「あ・・あっつ!わかった、、、頼むやめてくれ!」
「正直に話すなら考えます。まずなんで襲ってきたんですか?」
「す、、すまねぇ!金で雇われたんだ!あんた達にはなんの恨みもねぇ」
「まぁそうでしょうね。あなた達を見覚えないですし。人から恨まれるような事してないですし。じゃあ誰に雇われたんですか?」
「さっき、そこで女に頼まれた!金を先払いしてくれたんでちょちょいと戦闘不能にしてやろうとしたんだ!」
「どんな女ですか?」
「フードを被ってたからよくわからねぇが声は女だった」
となると、さっきのやつらと同じか。
「わかりました。もう二度と僕たちを襲わないと約束できるなら解放しましょう」
「する!約束する!魔法を使えるヤツを相手になんか二度としねぇよ」
懲りてくれたならもういいか。
返答を聞いたので魔法を解除した。
「は、、、はぁ・・・。ありがてぇ!」
そういって3人は走って逃げて行った。
走る元気はまだあったのね。
「この様子だとまだフードの女の人がいるかもしれないね。いきなり理由もなく人を襲うように依頼して回ってるなんてボク許せないよ」
「じゃあそいつを捕まえにいく?」
「でもどうやって?」
「こうするんだよ。【認識疎外ミラージュ】」
俺とライカが風景に溶け込む感じになり、存在も薄くなった。
「【身体機能強化ブースト】を使って走るよ。ついてきて」
「わかった」
ライカも【身体機能強化ブースト】を使ったのを確認して俺は走り出した。
フードの女はすぐに見つけることができた。
少し行った先で野党風の男4人とフードを被った女が何か話しているところだ。
懲りずにまた次の刺客を雇っているところだったようだ。
剣を抜き、構えてから俺だけ【認識疎外ミラージュ】を解く
「おねーさん達、なんの話をしているの?」
突然近くに現れた俺に驚いている。
「こ、、このガキをやってほしいの」
「こんなガキなのか。まぁ待ってろ、すぐに片づけてやるよ。結構の報酬もらっちまったしな」
もう交渉成立していたようだ。
全員武器は持っていない。いや、メリケンサックみたいなのを持っているか。つまり肉弾戦専門なのかな。
俺は剣を鞘にしまった。
「お?どうした、戦わないのか?」
子供一人相手ということで余裕だと考えているのだろう。ニヤニヤ顔で聞いてくる。
そこに素手で4人に手を差し伸べる
「【火球ファイアーボール】」
俺が武器をしまい油断していたところへ火の玉をぶつけてやった。
「うわぁー!!」
見事に4人に命中。すぐに火を消そうと地面を転がりまわった。
もちろん死なない程度に威力は抑えてあるものの、体に火が付いたらそりゃー大変でしょうよ。
そこでしばらく反省なさい。
それを見たフードの女はこっそり逃げ出し始めていた。が、それを察していたライカが【認識疎外ミラージュ】と【身体機能強化ブースト】を付けたまま追いかけて行くのが見えた。
あの状態のライカなら逃がすことはないだろう。安心しておれはこっちの相手をしておくか。
「【火結界ファイアーバリア】」
もう3度目だ。慣れた手際でしょ!?
「おにーさん達、これで逃げれないと思うけどあの女について教えてよ」
「し、、、知らない!今ここで声かけられたところなんだ!!」
地面を転がりまわってなんとか火を消した4人に問いかける。
「正直に言わないと、こんなこともできるんだよ?」
【火結界ファイアーバリア】の範囲を縮めていく。なんとか四人が寄り添って火の壁に当たらないところまで縮めた。
「ほんとうだ!ほんとに今あったばかりで何も知らないんだ!!!助けてくれっ!!」
「で、僕たちを襲うのにいくらもらったの?」
「ぅ・・・金貨を一人一枚くれたんだ。なんか生意気なガキがいるから痛い目に合わせてやってくれって。すまねぇ!」
「もう二度と子供は襲わない?」
「襲わないっ!誓う!!許してくれっ!!」
返答を聞くと【火結界ファイアーバリア】を解除した。
「た‥助かった!恩にきる!!」
そういって火の玉が命中したお腹を押さえながら走って逃げて行った。
しかし、たった金貨1枚で子供を襲うやつがこんなにいるとは。。。
さてと、ライカを追いかけるか。俺は再び【認識疎外ミラージュ】を掛けると、フードの女とライカが行ったほうへ走り出した。
追いかけるように走り出すと、すぐに目標であるフードの女とライカを見つけることが出来た。
というか、ライカが【火結界ファイアーバリア】でフードの女の逃げ道を完全に潰していた。
「捕まえたよ」
「くっ・・・」
「どうしてボク達を狙うの!?正直に答えて!!」
「・・・」
「あなたは何者なの!?」
「・・・」
フードの女は何も答えない。
表情もフードを深くかぶっているため読み取れない。
「答えて!!」
ライカがそう言った瞬間だった。
フードの女は【火結界ファイアーバリア】の炎の壁に向って突進した!
全身に火が付き、そのままだと黒焦げになるのにも構わずそのまま走り去っていこうとする!
「【水結界ウォーターバリア】」
俺は慌てて逃げられる前に結界で捕まえる。
フードの女は【水結界ウォーターバリア】にも突っ込んで火を消し、そのまま地面から吹き上げる水の勢いに流されて体が持ち上がり、そのまま結界内に背中から落ちた。
「今度は水自体でのダメージは少ないかもしれないけど、水流を強くしているから突破は無理だと思うよ?」
一応声を掛けたけど、フードの女はそのままピクリとも動かない。
「さっきの人達は?」
俺の存在に気付いたライカが気づいてすぐに声を掛けて来た。
「さっきの人は何も知らないっぽいからおいてきた。それより、すぐ捕まえれたんだね」
「うん、だけど【火結界ファイアーバリア】からあんな形で抜け出すとは思わなくて」
「だね。でも今度のは簡単に抜けれないようにしたんだけど・・・・動かないな」
「動かないね。。。全身に火が付いたから結構重症なんじゃ・・・」
俺達は【水結界】のすぐ近くまで寄って中を確認する。
動かない。。。
少し様子を見ていたが、まったく動かないので仕方ないので魔法を解く。
とりあえず何者なのか顔を見ておくため俺はフードを剥いだ瞬間だった。
さっきまでピクリとも動かなかったのに、俺がフードを剥いだ瞬間意識を取り戻し俺とライカを押し倒すとそのまま走り去る。
屈みこんでいた俺とライカは押し倒されて尻餅をついていたのですぐに追いかけることが出来なかった。
それでも逃がすわけにはいかない!【身体機能強化】を付けた俺とライカならすぐに追いつける、、、はずなのに見失ってしまった。
「逃げられちゃったね」
「ああ、でもあの顔は見おぼえがあったよ。ちょっと煤が付いていたけど間違いない」
「え?どこでみたの?」
「さっきまでいたあの館だよ。ダイナさんの侍女だ」
「え?・・・なんで??」
「さてね。。。でもま、ある意味予想通りの展開だな。まさかこんなに早く食いついてくるとは思わなかったからこの後はしばらく町中にいるつもりだったけど、こんなに襲われたなら十分でしょ。館に戻ろうか」
「・・・そうだね」
そういうと、俺達は再び館に向って歩き出した。
短いけどキリがいいので今回はこの辺で。




