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カジット伯爵の館5

思ったより長くなりました。

俺達がレンの道案内で港に到着した後、町から港へは普通に出れた。

一応兵隊さんに身分証の提示を求められたので差し出したら「どうぞ」って何事もなかったように通してくれたのだ。


船に戻ると、ユイのジーナもリンダもいた。

レンの売買が完了して正式に俺の奴隷になったこと、その後スピカ達を助けた事やそこで回復魔法を使っているところを見られ兵隊に連行されたこと。館ではキュリーゼフ病のダイナさんの治療やカジット伯爵との話、その後のラムサスさんとの話も含めてすべて話した。


その後、ユイ達の話を聞いた。

どうやらウンディーネの伝言では、レンの売買が完了したあと問題が発生したけど心配するなって聞いたらしい。本当に適当な精霊だ。ユイ達はとりあえず数日様子を見ようという事になってここで待機していたようだ。


一通り話に区切りがついたところでレンが言った。


「ラムサスってもしかして第七魔王のラムサスですか?」


「第七魔王??」


「あれ?違ったのかな?魔族の中でも一定の強さを超えた特に強い・・・何かに特化した者は魔王になるんです。昔は魔王が他の種族を支配しようと暴れていた時期もありましたが今はそんな事をしている魔王はあまりいません。代わりにそれぞれ自分の道を探してひたすらそれに没頭していることが多いんですよ。」


「ふーん。じゃあそのラムサスって魔王はどんな道に没頭しているの?」

疑問に思った事を代表してライカが聞いた。


「確か・・・人族の経済の仕組みを調べていたり、他には植物の研究をしていたりって話です」


「そういえば本人がこの町の経済を正常化させるんだ!みたいなこと言っていたな。でも植物がどうとかって話はしていなかった」


「面識や交流があったわけではなく、噂程度しか知りませんので全て正しいとは限りませんが・・・」


「そっか。それで、レンはキュリーゼフ病の事はどう思う?」


「どうと言われましても、僕も皆さんが聞いている以上の事は分かりません。本人の資質以上の魔力が増大して制御ができなくなった魔力が自分の体に悪影響を及ぼすもの・・・ですよね?」


あれ?そうだっけ?


「魔力の流れが不自然になって体に影響が出るって聞いたけど・・・微妙にニュアンスが違うね」


「魔力の流れが不自然になったところで体に影響なんて出ませんよ?」


「そうなの?でも、俺はダイナさんがキュリーゼフ病で肌が爛れていくところを見たよ?」


「それが制御できなかった魔力の影響じゃないでしょうか」


「俺はその話を聞いて魔力の流れが不自然ならば、自力で自然な流れを生み出してやればいいと思って魔力の認識をダイナさんに教えようとしたんだけど、制御できない状態ってのが本当なら対応策は違うよね」


「そうですね。要は制御できるレベルまで魔力を消費してしまえばいいですから」


「でもそれだと回復魔法で発作が治まったのってどういう理屈なんだろう」


「肌が爛れるなどの症状自体は回復魔法で治療可能でしょう。ただ、発作が起こらなくなったというのは分かりません。単純に魔力が自然な流れになったのか、もしくは制御できるレベルが少し増えたのか・・・」


「でも確か、ラムサスさんも不自然な流れが原因って言っていたような気がするよ」


「それは聞き間違いではないでしょうか。第七魔王ラムサスであれば魔力が不自然な流れだろうと体に影響などないことは当たり前に知っているはずですから。もちろん、不自然な流れで魔法を発動しようとしてもうまくいかないでしょうが、体への影響がないことは知っているはずです」


「そっか。じゃあなんでそんな微妙な嘘を俺に言ったんだろう。レン、ラムサスさんについて他に知っていることはないか?」


「そうですね・・・。植物の研究をしているという話を先ほどしましたが、具体的にはいろんな植物から採れるものを使って薬を作っていたようです。実験台になる奴隷を探していることもあったようですが、かなり昔の話ですよ」


「奴隷で人体実験をしていたということ?」


「そうですね。僕も人体実験という響きは嫌いではないのですが当時まだ100歳位でしたので今ほど興味はありませんでした。あ、ご主人様が僕の体を使って人体実験をしたいというなら大歓迎です☆」


いや、そんなことは聞いていない。


「レンの体で思い出したんだが、奴隷の印を契約の時にみたんだけどね。それ、普通人だとどうしようもないけど魔族ならその印をいじれるって話を聞いたんだが本当かな?」


「あれ?ご主人様知りませんでしたか?本当ですよ。ただ、せっかくご主人様の性奴隷になったのにこれを消すなんて勿体ない真似しませんけどね」


「消そうと思えばそんなに簡単に消せるの?」


「いえ、簡単ではないですよ。この印は僕の魂を雁字搦めにしていますからね。ゆっくり解読しながらじゃないとできません。まぁ2・3年あれば出来なくもないですが・・・しませんよ?」


「それは魔族ならだれでもできること?」


「はい、もともと奴隷の印というのは魔族が開発したものです。こういうのを研究している魔族ならもっと早く解体もできるのでしょうが、普通の魔族だと年単位で時間はかかると思います」


「だから魔族は奴隷売買されてないのかぁ」


「魔族でも人によっては解除までの時間も変わりますからね。それでも売買したいって人は少ないでしょうしそもそも魔族が奴隷になることが稀です。生きていくだけなら人族と関わりを持たなくても問題ないですから」


だったら性奴隷に志願してなっているレンはどうなんだと言いかけたがやめといた。


「キュリーゼフ病の対処方法って事になると、レンが教えてくれた魔力が暴走している状態というならば暴走できるだけの魔力がなければ問題ないんじゃないかな。だったら、毎日何かの魔法を使って魔力を枯渇させてやれば発作が起きない・・・どう?」


「はい、とりあえずそれで何とか症状を抑えられると思いますよ」


「だったら明日にでももう一度行ってそれを確かめてみようか」


「で、結局どうなったにゃ?」

ジーナとリンダは最初こそ話を聞いていたが途中からついていけなくなっていたようだが、話が終わったのを感じ取って声を掛けて来た。


「うん、明日さっそく屋敷に行って暴走しないよう魔力を枯渇させる方法を数日試してみるよ」


「じゃあ私達はどうするにゃ?」


「みんなにはそれぞれ頼みたいことがある。普通に町には入れるようになっているはずだから、町に行っていろいろと動いてもらいたい。だから館に行くのは俺とライカだけでいいよ」


「そういえばご主人様。ギルドに行って冒険者として登録はしましたがパーティーの登録は出来ていません。なんでもパーティーリーダーが一緒に行く必要があるそうです」


「あ、そっか。じゃあ明日館に行く前にギルドに行こう。そこから別行動だ」


「わかりました」


そうして俺達はそれぞれの動きを相談して決めた。


「そうそう、忘れがちなんだけど俺とユイは水の精霊ウンディーネを召喚できるんだ。レンは感じ取ったみたいだけど皆にも姿が見えるようにするからちょっと待っててね」


そういうとユイは首につけているチョーカーの水印に魔力を送った。

すると水印が光りながら飛び出し、ウンディーネを召喚ねの姿になった


『あら、今度はお早い呼び出しじゃない!どうしたの?』


「前に言っていたパーティーメンバーみんなに姿が見えるようにしてほしいんだけどいいかい?」


『あー、、、そういえばそんな事もあったかしら?』


「あったじゃん!」


『・・・・』


「ん?なんか問題あるのか?」


『最近思うんだけど、送ってくれる魔力の頻度がバラバラすぎないかしら?』


「なに?足りてないの?」


『足りてないっていうかぁ、もうちょっとコンスタントに欲しいっていうかぁ・・・』


「そうはいってもな・・・」

忘れちゃうんだもの。


『無理ならいいのよ、じゃあ私は戻るわね』


「いやいや、ちょっと待て。じゃあこうしよう。俺とユイ、どちらかが寝る前に魔力を送る。どうだ?」


『それって毎日って事かしら?』

急に目を輝かせている。


「まぁクエストの途中とかで送れない時もあるかもしれないけど、何もない時だったらどうせ寝る前に魔力を全部消費してるからね。その一部を送ればいいんだろ?」


『なにあんた、まだ魔力量を増やしたいの?そんなにあるのに?』


「増やしたいっちゃ増やしたいんだけど、もう赤ん坊のころからの日課だからさ。なんとなくやり続けてるんだよね」


『どちらにしても、毎晩送ってくれるなら問題ないわよ!なんだっけ?ここにいる人達に姿が見えるようにすればいいんだっけ?』


魔力を送るっていうと急にすり寄ってきたな・・・。

こんなのが精霊でいいのか、この世界。


「ああ、そうだよ」


『ちょっと待っていなさい』

そういうとウンディーネは一度強く光を放ち、すぐにおさまった」


「「「おおー」」」

声を上げたのはライカとリンダとジーナだ。


「このちっこいのがウンディーネだよ」


『ちょっと!精霊様に向ってちっこいとはなによ!あんたはもう少し私を敬いなさいよね』


「敬う要素が見当たらないんだが、それでもか?」


『はぁ?この美貌を前にしてそんなこという訳?私が本気だしたらこの世界を荒廃させることだってできるんだからねっ』


「ふーん・・・」

俺はそっと指先を自分のチョーカーに持って行く。


『あっ!待ちなさいよ!えっと!ほら、私達友達じゃない!多少の事は多めに見てあげるわよー』

俺の動きを見て急に態度を変えた。


「そうだよな、友達なんだから敬えとか可笑しいもんなぁ」


『っく・・。そ・・・そうよね~』


「ちょっと、精霊様を友達だなんて・・・」

ライカが心配して何かいっているがあえてスルーしとく。


「みんなにも見えるようになったみたいだし、ウンディーネはすごいなー」


『ははは・・・このくらい何でもないわよー。じゃあ私は帰るねー』


「ああ、ありがとうー」

そういうと、ウンディーネの体が光ながら小さくなり、チョーカーの水印に戻った。


「なんか、後半は二人とも棒読みだったけど・・・」


「何言ってるんだジーナ。普通の会話だったじゃないか」


「二人ともなんか変だったにゃ」


「あいつ、ちょっと常識がないから気を付けてるだけだよ。この前なんかいきなりライカに水をぶっかけたりしやがったし」


「ほんとに??」


「あの時はビックリしたよ。でもすぐにケンとユイが乾かしてくれたから大丈夫だったよ」


「それに俺達の魔力が欲しいらしくてね。ちょくちょく送ってあげてるんだ。だから少々こっちの頼みも効いてもらわないと割に合わないだろ?簡単な伝言すらうまくできないんだから・・・。あ、そうだ。ユイ、今後の連絡でウンディーネを使うことがあった場合まともに伝わるかどうか微妙なところがあるから念のため暗号を決めておかないか?」


「それ、思った。暗号じゃなくてもいいけど、短文で要件のみの言葉を選ぶ感じでしょ。例えば、至急戻れ、とか」


「そうそう」


という訳で、ユイとウンディーネを使った伝言でのやりとりをルール化しておいた。

そんな話をしているといつの間にかライカが部屋から出て行ったと思うとしばらくするとご飯を用意してくれた。

みんなで夕食を取ってそのあとは久しぶりにちゃんと風呂に入って疲れを取り、そして就寝した。

もちろん、寝る前にはウンディーネに魔力を送っておいた。これで文句は言われないだろう。



翌朝、目が覚めるとモフモフを楽しんだ。

やっぱこれがあるのと無いのとでは日々の彩が違うよね。


軽く朝の日課を済まして朝食と取る。そこで再度それぞれの動きを確認しさっそく出発となった。


俺はライカとレンと一緒にギルドへ行き、レンのパーティー登録。

登録手続き自体は割とすぐに終わった。ギルドを出るとレンに声を掛けた。


「じゃあレン、あとは頼んだよ」


「任せてください、ご主人様。そしてご褒美お待ちしております」


「おいおい、どこの奴隷が仕事の対価を要求するんだよ」


「はっ!ではお仕置きですか?」


「いや、なんでウキウキ顔だ。どっちもないよ。まぁ全部うまくいったらみんなでうまいもんでもたべに行こう」


「わかりました。ではお気をつけて」


「ああ、レンもね」


そういうとレンと別れライカと一緒にカジットさんの屋敷へと向かった。


流石に昨日通ったばっかりとはいえ、一度しか行ったことのない場所だったから途中少し迷った。でもライカはしっかり覚えていたようで、ちゃんと館へたどり着くことができた。

やっぱりライカは賢い子だな。


館に着いたらさっそく見張りの兵士に声を掛けた。兵士はすぐワーシャさんのところまで案内してくれたのでダイナさんの治療に取り掛かってみることを説明した。

ワーシャさんは当番表の順番を調整するというと、その手配の為席を外したが20分ほどで戻ってきた。


「では13時の当番を空けたからそこで治療にあたってほしい」

ということだった。13時まで待って俺達はダイナさんの部屋へ案内された。


「こんにちは、ダイナさん。その後いかがですか?」


「あなたは、、、ケン殿!お待ちしておりました。私はあれから発作が起きていません。もう完治したのでしょうか?」


「完治したのかは分かりません。が僕のほうでもキュリーゼフ病というのを調べてみました。すると、許容量を超えた魔力が暴走して体へ悪影響を及ぼしているのだということが分かりました。そこでダイナさんに試してもらいたいのですが・・・。」


「なんでしょう。なんでも言ってくださいね」


「はい、許容量以上の魔力があるから暴走するのであって、許容量以下の状態であれば暴走しないのではないかと思うのです。そこで、毎日魔法を使ってある程度魔力を消費してみてはいかがかと思いますがどうでしょうか」


「そんなことで・・・いいのですか?」


「はい、まずはそれを試してもらってもし効果が無いようであればまた別の方法を取り入れようかと思います。聞くところによるとダイナさんは魔法を使えるということですが、どのような魔法が使えるのですか?」


「私は火属性しか適応していないようでして、、、初級火属性魔法ならば使えます。使うにはこの部屋だとちょっと難しいですね。あれから発作は起こっていないのにお父様ったら心配性だからこの部屋から出ないように言われているの。だからちょっと魔法を使うのは難しいかしら・・・」


「ちょうどそこに窓がありますよね。そこから外に向けてなら使えませんか?」


「それは・・・外が火事になってしまいますわ。。。」


「窓の外に魔法を受け止める的でも用意しましょう。だれか、この窓の外側に案内してもらえませんか?」

途中から侍女に話しかけた。


「では、私がご案内しましょう」

そう言ったのは扉近くで待機していた兵士の一人だった。


「はい、お願いします」

兵士に連れられて一度屋敷を出て裏側に回る。小さな庭がありダイナさんがいる部屋の窓が見えた。

が、、、そうか、4階になるのか。高い・・・。まぁそうも言ってられないか。


俺は建物から5メートル程離れ、自分の真下の地面に手を着いた。

だいたい60センチ四方位で魔力を土魔法に変換し、密度を上げて強度を持たせつつ地面よりも下に土台部分を作っていく。その後、その土台の上にも魔力を込めてコンクリートの柱を作っていく。柱が出来上がる分だけ俺の体がエレベーターのように上空に上がっていく。


「ケン、大丈夫?」

5メートルも上がるとライカが心配して声を掛けて来た。


「このくらい大丈夫大丈夫」

土台がしっかりしているので途中で崩れることもないし大丈夫大丈夫・・・・


と思っていた時期が私にもありました。

高さが10メートルを超える辺りからちょっとそんな気がし始めていたんだけど周りを見ないようにして手をついている柱部分に集中して乗り切る作戦に出ました。


15メートルを超えたあたりで耐えられなくなったので、柱の上部に手すりをつけて落ちないようにした。

だって、怖いんだもの。


それでも目標の窓までまだ10メートル位はありそうだ。

手すりを付けて落ちる心配が無くなったので引き続き柱を伸ばしていく作業に集中する。


とりあえず目標の窓の高さまで柱を作ることが出来た。

次は柱の上部、、、つまり今自分が乗っているこの部分を箱状にする。

まずは足元を厚さ5センチ程度、広さが1メートル四方に広げる。続いて窓に向いている方向以外の3面に同じ厚みの壁を作り、最後に天井も作る。

これで完成だ。


窓から魔法を飛ばすとこの箱の中に納まり周りに被害は出ないはずだ。



すっかり書き溜めていたものは放出したので、絶賛更新頻度タダ落ち中。

毎日投稿している人ってすごい!

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□頭脳派脳筋の異世界転生もよろしくお願いします。
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