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護衛クエスト6 幽霊船


そっと扉を開けた俺が目にしたのは、魔物のいない部屋だった。


「お、やっと降りる階段がある部屋だ」


「どうやら見た目の2~3倍程度の広さだったようですね」


「それでも十分広かったけどな」


「大丈夫ですか?かなり魔力を消耗したのではないですか?」


「まぁ多少消費しちまったな。次の部屋からはユイに先頭をお願いしようかな」



階段を降りるとまた部屋になっていた。

この部屋から続く扉はまたしても一つだけ。


俺はいつでも攻撃できる準備だけすると、ユイが扉をそっと開けた。


が、何も襲ってはこなかった。


扉を開き、ユイが【照光シャイン】で光源を確保すると部屋の中がよく見えた。


部屋は広く中央に一つの鎧。


貴族の屋敷にインテリアでありそうな、フルメタルプレートメイル、顔も見えないくらいしっかりした鉄仮面。

手には剣と盾を持っている。


このシュチエーションでこんなのが出てくるってことは、絶対動くよね。


ちなみに中央にあるこの鎧に注目してしまったけど、部屋自体は中世ヨーロッパの宮殿とかにありそうな絵画が飾ってあったりしたが、

結局扉は向こう側に一つあるだけだった。


「この鎧、絶対動くよね?」


「鎧からはなんの気配も感じませんよ?」


「ボクもあの鎧からは何も感じないよ」


「ハーフエルフや魔族の感覚ですら何も感じないという鎧。しかし、この状況で動かないほうが不思議だと思う。な、ユイ」


「だね」


どうしても前世日本での記憶から、こんな状況で何もないなんてことはどんなゲームや漫画でもあり得ないでしょ。


「ま、念のためってことで。【火球ファイアーボール】」


ユイは鎧に向けて魔法を放った。

鎧は一時的に燃えたが、鉄で出来ているようでそのままの形で残った。


多少ススはついたけど。


「うん、なんともないね」


「やはりその鎧からは気配を感じません。慎重になるのはいいですが、それくらいでいいのではないでしょうか」


え?なんか俺達がビビってるみたいやん?


全然ビビってなんかないんだからねっ!


でも一応剣は構えたまま部屋に入っていく。


俺達全員が部屋に入っても何も起こらなかった。


部屋に入ると退路が断たれて鎧が動き出すパターンじゃないのか?


この世界はお約束とか関係ないようだ。


まぁ、俺としては危険な場面は少ないほうがいいので文句は言わない。


俺とユイはガッツリ警戒しながらも鎧の横を通り過ぎる。


何も起きない。


ライカやレンが言う通りなんの気配も感じなかったし、何もないならいいか。


俺達は次の扉の前までやってきた。


チラッと振り返ると、鎧がこっち向いていた。


「ちょ!いつの間にあれ動いた?」


こうなると次の部屋も警戒しないといけない上に後ろの鎧も警戒しないといけない。

むしろ鎧が動いて倒した後次の部屋に行く方が気が楽だったようにすら思う。


「じゃあ、扉あけるよ」


ガチャ!・・・ガチャガチャ!


「開かない・・・」


鍵がかかったように次への扉が開かない。


とその瞬間背後から物音がした!

鎧が剣を振り上げてこちらに斬りかかってきていた!!



ガンッ!!


俺は構えていた剣で受け止める!

すぐさまユイが応戦に加わる!

受け止めた剣を払いつつ剣気を纏い横なぎに斬る・・・が避けられる。

と同時にユイに斬りかかっていたので一瞬で貯めれるだけの剣気をためて、3連突き!

鎧は俺の突きを盾で受け止めつつユイを攻撃、ユイはそれを躱しつつ下から剣を振り上げる!

が、それを躱して一歩下がる鎧。


一瞬の間に俺とユイ二人で攻めて一撃も入れれなかった。


こいつ、、、強い!


一歩下がった鎧が再度ユイに斬りかかる!


「援護します!」


レンは小太刀を構えて一撃を受け止める。

その動きに合わせて俺とユイが2方向から斬りかかる!

が、俺の剣は盾に、ユイの剣は蹴りで剣を弾かれたかと思うと鎧は上半身をグルリと振り回すように横なぎにくる。

俺は飛び上がり上から、ユイは身をかがめて下から斬りかかる!

レンは一歩下がって再度踏み込み正面から斬りかかる!


「【火壁ファイアーウォール】」

ライカが鎧の後ろに魔法で壁を作り、逃げ場を消した!


ガキンッ!


俺の剣は鎧の剣に、ユイの剣は盾に防がれる!

レンの剣は鎧の肩の部分にヒットしたがダメージは無さそうだ。


どうやらレンは剣気を纏うことができないらしい。

しかも得物が小太刀のため火力は低い。


ただ、俺とユイは剣気を纏っているが相手の剣を折ったり盾を貫いたりはできていない。

そこまで出来ないということは、相手も剣気を纏っているかもしくは相応の実力者である証拠でもある。

通常剣気を纏って打ち合いした場合相手の動きというか気配を鋭く察知できるため後の先を取りやすかったりするがこの鎧の場合全くそういう気配を察知できない。相手が人ではないからなのかもしれない。


俺とユイとレンVS鎧の図式はその後もしばらく続いた。

ライカは援護しようと様子を伺っているが、なかなかそんな隙はなく構えている状態が続く。


俺とユイは相手の攻撃を掠ったりしていたが装備のおかげで無傷だ。レンはかすり傷が増えて来た。

鎧はというと、何度か攻撃を入れれることはでき鎧に傷はついたがダメージがあるのかは分からない。


生物が相手ではないため長引けば体力的に厳しくなるのはこちらだ。

かといって、この互角の打ち合いを打開できるような隙はない。


完全な死角からの攻撃も完璧なタイミングで対応する鎧。


ん?


俺とユイのらいとせーばーを受けても何の反応もない鎧。


んん?


「「【認識疎外ミラージュ】」」


俺とユイは魔法で自分の存在を希薄にして、特に相手の死角から攻撃を仕掛ける!

が、問題なく対応する鎧。


んんん?


違和感・・・。


俺とユイは鎧と戦いながらも周囲の様子を探る。


「レン、こいつに召喚魔法で対応できるか?」


「こいつからは相変わらず気配を感じません。精神的なものが無い相手には効果がないので無理です」


ということはロボットか?

いや、そんな感じではない。


そうか!

なら試してやる!



俺とユイは打ち合いながらも数歩後ろに下がり距離を取ると剣を持っていない左手を鎧に向ける


「「レン!下がれ!!【火球ファイアーボール】」」


威力は大きめ、速度は遅めの火の球が鎧に襲い掛かる!


鎧は一歩俺の方に近寄るとユイの放った火の玉を避けると同時に俺の放った火の玉を盾で受けた。


「ビンゴだ!」


「どういうこと?」

対して早くもない魔法が命中したことが不思議に思ったライカが尋ねる


「つまりはこういうことさ」


「「【火球ファイアーボール】」」


再度俺は同じ方角へ、ユイは俺の撃つ方角へ魔法を放つ!


鎧は俺の放った火の玉を盾で受ける。

が、ユイの放った火の玉は鎧と関係なく壁にある絵画に命中した!


「ギャアアアアアアアアアアアアア!!!!!」


絵画から悲鳴が聞こえたと同時に鎧はその場で崩れ落ち部品ごとにバラバラになった。


俺とユイは剣を納めると、


「あの絵が本体で、鎧を操っていたってこと」


と説明した。


「そういうことだったんだ」

ライカはそれを聞いて理解したようだ。


「しかし、戦いながらよくそんなことが分かりましたね」


「ああ、普通、死角からの攻撃には多少ズレが生じるものなのにこいつは死角からの攻撃もすべて対応していただろ?だから別の場所から見て操ってるんじゃないかなって思ったんだ。周りにそれっぽいものはなかったけど、これまでの部屋と違う物っていったら絵画くらいしか思いつかなかったからそれを目がけて魔法を撃ったんだよ」


「そしたら、絵画直撃コースの魔法は避けれるのに避けずに受けた。つまりは予想通りだったってわけ」


俺とユイが説明した。


「さすがです!」

レンは目を輝かせながら言った


「しかしレン。お前その恰好だと危なっかしいな。防具とかないのか?」


かすり傷とはいえ、体中が傷だらけになってしまったレンが傷口をうっとりしながら撫でている。

とりあえず回復魔法をかけてやる。


「ありがとうございます。わたくしは性奴隷ですので個人的な所有物はありません。この小太刀もサーシェ様のものをお借りしているのです」


サーシェ本人が雑用奴隷って言ってるのに、この性奴隷への拘りはなんなんだ(笑)


「サーシェさんに言って防具買ってもらいなよ」


「そんな滅相もありません。性奴隷がそのような事を主人に言えません。それに魔族なので人族よりもずっと強靭なんですよ」


まぁ、体力とかはあるのかもしれないがしっかり切られてるところを見ると素直に賛同できない。


「まぁ、無理して前衛に出なくてもいいからな」


「お気持ちは感謝します。が、何かあればわたくしが盾になります」


すごい奴隷根性。

(前世で)俺の知っている魔族ってこんなんじゃないのにな。


「じゃあ進もうか」


ガチャ!


ユイはそういいながら扉を開けた。

いつのまにか扉は普通に開くようになっていた。

短めですがきりがいいので。

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□頭脳派脳筋の異世界転生もよろしくお願いします。
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