クラーケン戦後2
翌朝、俺は温かいモフモフの感触で夢見心地だった。
朝になったということはお日様の陽射しで分かってはいる。
が、この微睡みから抜け出したくないと本能が言っているのだ。
二度寝。
したいところだけどだんだん頭が覚醒してきてしまった。
目を開けるとどうやら俺はジーナを抱き枕にしていたようだ。
ふと隣を見ると、ユイがリンダを抱き枕にしている。
あ、ライカも目覚めたみたいだ。
「ライカ、こっちにおいで」(小声)
「うん?」
「ほら、ここ触ってみてよ」(小声)
もぞもぞと近くまで来る。
そして俺の反対側からジーナを触る・・・・・触る・・・・触り続ける・・・
うん、気に入ったみたいだ。
「抱き枕にすると超気持ちいよ」(小声)
そっと触っていたのが大胆に抱き枕にしていく。
「ほんとだ」(小声)
という訳で、俺とライカがジーナを両サイドから抱き枕にして、
ユイはリンダを独り占めするという、天国のような二度寝が始まったのだ。
のだ・・・。
のはずだったのだが・・・。
「おーおー!見せつけてくれるねー!」
絡んできたのはカリューさんだった。
ここは無視しよう。俺達は寝ているんだ!
「お?おいおい、気づいているんだろ?狸寝入りはよくないぜ」
見よ、これが前世より受け継がれたスルースキル!
「なんだよ、せっかく俺達のパーティーが朝食の食材をみんなに提供しようってのに」
だったら普通にそう言ってよね。
「あ、おはようございます、カリューさん。今起きました」
「なんだよ、白々しい。まぁいいか。ダンキュリー達の部隊が合流して食料も必要だろう?昨日のロックバードはマシリト隊からの差し入れだったから、今日は俺達のパーティーから提供させてもらうぜ。またお前さん達が作ってくれるんだろう?」
「まだ昨日の鍋が残っているので、それをベースに何か作ろうとは思っていましたが、食材ってなんですか?」
「これだよ」
そういって見せられたのはほぼ、白い物体だった。
「これ、なんですか?」
「なんだ、あんなに料理してたのにこれが分からないのか?これは小麦粉だよ。水と塩で練りこんだものだ。これを焼けばパンになるだろう?」
なるほど。ただ、イースト菌とかも入っているのだろうか・・・。なんかそうは見えないな。。。
「なるほど、ありがとうございます。でもせっかく鍋があるので別の形にして使ってもいいですか?」
「そりゃ、かまわねーがどうするんだ?」
「それは出来てからのお楽しみってことで」
「ああ、分かったよ。お前さん達の作ったのは旨いから任せたぜ」
振り返ると、当然ユイも起きているしライカも起きていた。
「これ、うどんにして鍋に入れよう。ライカも手伝って!」
「うどん?どうすればいいの?」
綺麗な布の袋に手持ちの小麦粉を振りかけて中に貰った塊を入れた。
「じゃあライカ、これを踏んでくれ」
「ええー?せっかくの食材を踏みつけたりしちゃダメだよ」
「いーからいーから」
そういうと俺とユイでライカのブーツを脱がせると、お湯を出してライカの足をキレイに洗う。
もちろん魔法の石鹸できれいにね。
そのあと、台の上に置いた布袋の上にライカを立たせて踏み踏みしてもらう。
俺とユイでライカがバランスを崩さないように手で支えつつ、形が延びてきたら二つに折りたたんでさらに踏み踏みしてもらう。
「このくらいでいいんじゃないかな。じゃあライカ、降りて。そして今度は釜土に火を入れてお湯を沸かしてくれるかな?」
「本当に料理しているのか不安になったけど。。。じゃあお湯を沸かしてるね」
「うん、お願い」
程よい硬さになったので袋から取り出し、台の上に小麦粉で打ち粉をすると綿棒で薄く延ばす。
それを折りたたむと千切りにしていく。
もう一つの釜土では昨日の鍋を温め治す作業をユイがしてくれていた。
だいぶ煮詰まっていたようなので水を入れたりして調整していた。
俺はライカが用意してくれた沸騰した鍋にうどんを入れていく。
全部を投入するとよく混ぜながら麺を茹でていく。
味の調整が終わったユイがどんぶりを作り始めていた。
ライカにはフォークを用意してもらう。
うどんが茹で上がったところで火を止めて大きなザルを作り水を切る。
すぐに鍋に氷水を張ってそこで絞める。
絞めた後はユイが味の調整をしてくれた昨日の鍋にどばっと投入し、火を入れる。
その頃には大半の人たちが起きていて、中には体操を始めている人もいた。
爽やかな朝の体操をしている中心にヒゲーズがいたのは見なかったことにしよう。
一煮立ちしたところでどんぶりにうどんを人数分に割り振っていく。
昨日の鍋の具もたくさん残っていたので、あったか具沢山うどんが出来上がった。
「みなさん、朝食が出来ましたよ」
「おお、今日はスープパスタか。でもこんなパスタは初めて見るな!」
「パスタじゃなくてうどんっていうんです。味も食感もパスタとは違うのでご賞味ください」
「それは楽しみだ」
手の空いた人から順番に出来上がったうどんを食べはじめた。
「ほぉー、こりゃ旨い。確かにパスタとは違った食感だし、スープが染みてうまいな」
「ああ、しかもしっかり歯ごたえというか、、、そう、腰があるのもたまらんね」
ということで朝食のうどんは好評だった。
ライカには、あの腰を出すには踏みの作業が必須なんだよって話すと、
頑張った甲斐があったと笑顔になってくれた。
結局お代わりをする人もいて、鍋はすっからかんになっちゃった。
朝食が終わり、これからどうしようか考えている時だった。
「おーーーい!!!船が来たぞーーーー!」
高台から監視していた人が大声でみんなに伝えた。
見に行くと、確かに遠くから船が近づいてくる。
しばらくすると、船が俺達が乗ってきたギルドの船だと分かった。
俺達は高台から船が到着するあたりに移動した。
到着した船にはコスィーさんとギルドの職員二人が乗っていた。
「皆さん無事で何よりです」
「それはお互い様だ。船がいなくなっていてみんな心配していたんだぞ」
コスィーさんとラウンドさんがお互いの無事を確認した。
「さっそくだが、こことダンキュリーのところの部隊とは合流できたんだが、もう一つの部隊がどうなっているのか分からん。
まずはそっちの様子を見に行きたいのだが船を出してくれるか?」
「もちろんです。では、だれがいきますか?」
ということで、話し合いの結果ヒゲーズの3人とカリューの恵みの5人が行くことになった。
向こうで何かあってもベテランパーティーなら対応可能だろうということだ。
それらの人員が船に乗り込むと、さっそく出航した。
俺達は高台に戻って船の行方をぼんやり眺めていた。
さっそく毎日更新が途切れたような気がしますが、
今日はまだ8日の25時ということでなんとか(笑)




