Jessicaの逃走
山田はSmithと呼ばれる男に冷たく言い放った。
“提督、Jessica居るだろ?案内しろ!本人は隠れたつもりなのだろうが無駄だ。隠せばオタクの大統領にチクるぞ?”
はっ? 何が起きてるの? 提督に命令……? 大統領……?
困惑する花子は何か言いかけたが、言葉にならない。口に出す前に、“提督”と呼ばれたSmith氏が“Yes, sir”と秒速で返事をしたからだ。
提督がトランシーバーでカートを呼ぶと、すぐに運転手がそれを寄こした。
“コレ運転してみたい”
花子がぽつりと呟くや否や、提督は供の者に“大佐! お前は徒歩で戻れ”と命じ、花子を鮮やかに運転席へとエスコートした。提督の道案内に従い、3人は屋舎へと向かう。
その時、提督のトランシーバーが奇妙なノイズとともに割れた。
“Smith提督、Jessica中将がキティホークに移動するそうです”
――遅かったか。通信兵をよこせ!
急ぎ駆けつけた通信兵の無線機を奪い取るや否や、提督は怒気を孕んだ声で叫ぶ。
“米軍海軍空母63、こちらはSJ基地司令porter・Smithだ! 誰の命令でJessicaを動かしている!?”
気付かれたか。
山田の四角い眼鏡のレンズが、冷たく、不敵に光った。
山田は鋭く尋ねた。
“提督! 狼狽えるな! すぐ飛ばせるAlert状態のF/A-18タンデムは何機ある?”
Smithがタワーに確認をとると、どうやら2機が即応態勢(Alert)にあるようだ。
“よし、花子先生と俺で行く。パイロットとKC-46を用意しろ! ただし、花子に乗せるパイロットには2.5G以上かけないよう厳達しておけ”
提督は即座にその指示へ従う。
“花子先生、先回りするぞ! Gスーツ無しで飛ぶから少し体にこたえるが、我慢してくれ”
……この眼鏡、本当にイカれている。今度は戦闘機? 花子はもう驚かまいと心に誓ったはずなのに、またしても見事にやられた!




