第3話 奪われたもの
サーシャは大事な事を思い出した。
慌てて荒れ果てた店内のカウンターの辺りを必死に探した。
サーシャ「無い!…無い!…ネックレスが!…ここに置いといたの、このカウンターの上っ、無くなってる!」
メニ「誰かに盗まれたのか!?」
サーシャ「あれがないとあのお菓子が作れないの、おばあちゃんに貰った大事なネックレスなのに」
いくら探してもネックレスは見つからなかった。
サーシャ「そんな…、こんな事って…」
余りのショックにサーシャの手が震えている。
サーシャ「あれが無いと私、何もできない…」
メニ「そんな事ないよ、アンタは何でも出来るよ」
オリバー「そうだよ、サーシャはサーシャだよ」
サーシャはある事を思いついた。
サーシャ「お菓子、お菓子だ!」
オリバー「お菓子?」
サーシャは嫌な事から逃れる時にはいつも魔法のお菓子を食べて忘れる様にしていたのだ。
メニ「ダメだよ現実から逃げちゃ、あのネックレスはおばあちゃんから貰った大事な物なんでしょ?」
サーシャ「あれを食べれば楽になれるのに…」
深い悲しみに落ちていたが、サーシャは心を落ち着かせ必死になって考えた。
そして一つの答えを出した。
サーシャ「私、探すわ、探し出す!」
そう言うと、よろめきながらサーシャはゆっくりと立ち上がった。
メニ「あたし達も手伝うよ、ねっ」
オリバー「もちろん、みんなで探そうよ!」
サーシャ「うん!」
一方その頃、サーシャの店の中を荒らした真犯人はというと。
最初から自分で持っていた分とサーシャの店から盗み出した分、合わせて二つのネックレスを首から下げて町の中を歩いていた。
おばあさん「ここからにするかい」
そう言うとおばあさんは民家の中へと入って行った。
そこには中年の男性が床に座って興奮しながら紙袋に入っているお菓子を鷲掴みにして口の中へ押し込む様に貪っていた。
おばあさんは男性の背後に近づいた。
おばあさん「今、楽にしてやるよ」
ニヤリとした顔になり男性の背中に手を伸ばす。
そして、その手を背中に押し当てて、そのままゆっくり押し込んだ。
男性は動きが止まってから次第に痙攣しだした。
手に何かを掴むとゆっくりと引き抜いた。
男性の背中には傷の様なものはなかったが、ガクッと前屈みになり、その姿勢のままどかっと横に倒れた。
おばあさん「これだ、優しさの玉だ!」
おばあさんは光り輝く玉の様な物を握りしめていた。
すると首から下げている二つのネックレスが光の玉に反応して赤黒く光っている。
おばあさん「ホレ、今くれてやるよ」
おばあさんは光る玉をネックレスに近づけた。
すると光る玉は二つに分かれて、二つのネックレスへ吸い込まれた。
ネックレスは赤黒い光が増して、鼓動の様に光の脈を打った。
おばあさん「コイツの力が回復すれば…アイツらに思い知らせてやる!」
数年前
王宮での出来事
食堂の王と王妃の席のテーブルにイレイザの作った料理が綺麗に並べられた。
イレイザは少し緊張してきた。
両足が微かにすくんできた。
そしてしばらくすると、王と王妃が現れ、それぞれの席へ座った。
料理長「今日の担当料理人は町食堂のイレイザです」
王「うむ」
王たちは少しずつ食べ始めた。
王「なかなか美味いではないか」
王は今日の料理当番の腕を気に入った様だ。
しかし、王妃は違った。
王妃(サーシャの母)「何なのこれは」
料理長「いかがなされましたか?」
王妃「こんな物を食べろと言うの?なんなのこの侮辱は、私の口には一流の物しか合わないの、一般庶民の物なんか食べる気がしないわ!」
料理長「申し訳ございません、直ぐに別の物をご用意致します」
おばあさん「あの時の屈辱、忘れられるものか、復讐だ!このイレイザ様がお前達を抹殺してやる!」
しばらくするとネックレスの光が消えた。
おばあさん「フンッ、餌が足りないんだろ?」
そう言うとおばあさんは、その民家から出て行き、次の民家へと向かった。
次の民家のドアに手を掛けるとおばあさんの顔はニヤリとなった。




