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魔王の花嫁  作者: 諒夏
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睡蓮のお友達?

魔王がつれてきた花嫁…悠里。

彼女の使女として仕えることになった睡蓮。

睡蓮と紅は実は姉弟!?

これから悠里はどうなっちゃうの?

姉が本気で怒れば魔界全土が破壊されかねない。

それはどうしても避けなければならない。

まだ幼かった姉は五大将の一人に勝ってしまったことがある。

本気で勝負して勝ったので姉も満足だった。

だが、その五大将の一人は闇討ちを慣行。

といっても姉が返り討ちにして藻屑と化してしまったのは言うまでもなく…


そういう実績を持っている姉に勝てるはずもない・

「………改善策を探そう」

「…前向きに検討しなさいよ」

紅。

「…わかった。」

「あの子悲しませたら許さないんだから」

「…わかった」

魔王が恐れる存在の姉。


コンコン

執務室のドアがノックされ、『入れ』との紅の声に使女の一人が顔を除かせた。

「失礼いたします。睡蓮様、悠里様がご起床なされました」

睡蓮様はいずこかとお尋ねになられております。

礼儀正しくそう呟く使女に睡蓮は腰をあげる。

「すぐに行くわ。悠里にお茶とあとお菓子を。」

あ、ジュースでいいわ。

「かしこまりました」

下がる使女を尻目に睡蓮は紅にもう一度視線を移す。

「とにかく、あの子を泣かせるようなことしないで頂戴。

その時は弟だろうとなんだろうと容赦なく…

親指で首元にすぅっと線を引き、それが何を意味しているのかぐらい分かるだろうという仕草をした。

もちろん紅とてそれが何を意味するか分からないわけではない。

「わかっている。今のままでよいとは想っていない」

「なら結構」

あんたの味方ではないからね。今回は。

じゃぁね〜〜。

と去っていく睡蓮を横目に補佐官は安堵のため息をこぼした。

『魔王様…』

「気にするな、いつもの姉のわがままだ」

だが、下手な式をつけるよりも悠里が姉に懐けばこんなに心強いことはない。

『睡蓮様を使女扱いなさるのですか?』

「いや、悠里付きの者という扱いにさせろ。姉上の怒りに触れるわけには行かないからな」

姉上の好きに今はさせておけ。

『ハァ…』

補佐官は困り果てた様子だが、これは彼にとっては好都合の何者でもない。


――身近に協力者がいれば好都合だ。


あんな衝撃的なことを見て驚かないはずはないが、確かに、姉の意見も一つある。

怖がらせておいて次の日にどんな顔をして逢えばいいのか分からなかったのも事実。

だが、逢わずにいられるわけではない。

それは4年も待った紅が一番良く分かっていることだからだ。




悠里の元を訪れた睡蓮はすぐに抱きつかれた。

一人で眠っていた部屋で目を覚ました悠里はまた涙を溢していたのだという。

『悠里様…御前を離れて申し訳ありませんでした』

心細かったでしょ?ごめんなさいね。

そう告げる睡蓮に悠里はぎゅっと抱きつくだけで何も言葉を発しない。

よほど怖かったと見える。

『悠里様…そんなに涙流されますと目がこぼれてしまいますよ。』

悠里の目の位置まで顔を近づけてそっとハンカチで涙を拭う。

ぐすっとする悠里に睡蓮は愛しさを感じずにはいられず、今度は睡蓮が背中を摩りながら悠里をあやす。

『大丈夫ですよ。魔王様にこちらで過ごす許可を頂きに行ってまいりました』

これからは一緒にいられます。

「…いっしょ?」

『はぃ。悠里様だけの使女でいられるように魔王様が取り計らってくれるそうです』

「ほんと!!」

『はぃ。』

にっこり笑う睡蓮に悠里もうれしそうに笑った。

「一緒なの?ホント?うれしい」

『私もです。魔王様は悠里様がそれで良いならよいとおっしゃってましたから』

睡蓮は傍にいてもよろしいですか?

「…(コクッ)」

『では今日からこちらに寝泊りさせていただきますね』

「うん。すいれん、一緒に寝よ」

『はぃ、そのように』

ぎゅって抱きついてきてうれしそうに笑みを浮かべる。


―-こんなかわいい子を泣かしたら承知しないんだからね、紅。


睡蓮は心のうちで拳を握り締めていた。



「ねぇ、すいれん…」

聞いていい?

お茶の時間という事で起きた悠里に睡蓮ははぃ?と首をかしげた。

『なんでしょう?』

「さっきの…人?」

ダレ?

『さっき…?』

誰だろうか?

睡蓮が首をかしげていると運んできたのは睡蓮の使い魔であるパーピーだった。

『この子ですか?』

「…ぅん、人じゃないよね?」

カイブツ?じゃ失礼か…

震える悠里に睡蓮はにこっと笑う。

『私の…そうですね、友達ですね。』

パーピーといいます。

「ともだち?」

『はぃ。ここ、今いる場所は魔王である紅さまの家なんですけどね、お城なんですよ。

 で、私もここに住まわせてもらってるんですけど、あまりに広過ぎるので使女というのがいます。私もそうですけどね。』

わかりますか?

一つ一つ丁寧に解説していく睡蓮に頭にはてなマークを浮かべた悠里は「なんとなく」とだけ呟いて苦笑いを浮かべた。

『この子は私と一緒にいたいから来ちゃったんです。』

もちろんちゃんと許可は頂いてますよ。

パーピー。

睡蓮に呼ばれ近づく。

観ると羽が生えていて上は女性の身体で下は動物の身体だった。

『パーピーは私が用事でいないときに悠里様が寂しくないようにこちらにちょくちょく顔を出させますから、何でも話し掛けてくださいね』

お友達になってあげてくださいね。

そういわれ、悠里はパーピーさん?と恐る恐る声をかけた。

『パーピーとお呼びくださいませ。』

「じゃ、パーピー、わたしと友達になってくれる?」

『私でよろしければ…』

「んっと…ケイゴいらない。」

しかし…

パーピーが困った様子で睡蓮を見やる。

だが睡蓮は苦笑いを浮かべ『悠里様の言うとおりに』とだけ呟いた。

『ではこちらこそ』

敬語もなしです。

「ぅん。お友達」

はい。

手を差し出した悠里の手を恐る恐るパーピーが触れる。

羽の感触が気に入ったのか悠里はにっこりと笑顔を向けた。

その笑顔こそ、睡蓮にとってはかけがえのないものだと思えた。


――紅の事も少しずつ変化していってくれたらいいな。


姉として、紅と悠里の事は心配でもある。

そして、ここで暮らしていく悠里が魔物を怖がらないで接してくれるように…

出来る限りのサポートはしていこうと想っている。

だからこそ、一番仲良しになりやすいパーピーをこうしてよこしたのだから。

「ねぇ、すいれんの友達まだいるの?」

『ええ、いっぱいいますよ。』

でも恥ずかしがりやさんが多いので少しずつ逢いましょうね。

「恥ずかしい人多いの?」

パーピー?

『…そぅですね。』

「????」

首をかしげた悠里に二人は苦笑いを浮かべた。


パーピーとはギリシャ神話のハーピーみたいな感じです。

上は人間の女で下が鷲のような感じ。

でも見た目怖いので大人の女ではなく10〜20代ぐらいの若い感じの大人と子供の境目ぐらいな感じの子を想像してくだされば幸いです。

さぁ、友達が出来ました。

これからどうなりますやら…

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