第二話 来客が来ました!
「モフモフ……」
「なんでそんな不機嫌なのー!」
新作のパフェのレシピの試作品をモフモフに食べさせてみたところ気に入らなかったのかそっぽを向いてしまった。
アリーシアはもう一度キッチンに向かい調理を始めた。
「じゃあ、これに隠し味としてこのコーヒーゼリーを……」
そして出来上がったパフェをもう一度モフモフに食べさせた。
すると横に細く伸びていた目はパッと見開き幸せそうな表情を浮かべ、空にぷかぷかと飛ぶ。
「モフモフ……!」
モフモフは猫とドラゴンが合体した飛行可能な猫だ。
体は白く、所々黒いところもある。
何より体の体毛がめっちゃもふもふしてるのだ。
「じゃあこれは!?」
アリーシアは今度はモフモフにシチューを食べさせた。
すると、浮かんでいた体は石のように急に落下して、寝転がって体が痙攣し、目は白目になっていた。
「モ……モフ……モフ……!」
「どうしたの!モフモフ!さすがにシチューにコーヒーゼリーはまずかったか!」
アリーシアはモフモフの首をつかみブンブンと振っている。
「モフ……!モフモフ!」
モフモフは今にも気絶しそうになりながら小さい手で必死にアリーシアの肩を叩いた。
アリーシアのカフェはいつでも賑やかに開店中だ。
そこへ、扉をノックする音が聞こえた。
「誰だろう……」
アリーシアの手からはモフモフは離された。
「うーモフモフ……」
「はい!今開けます!」
扉を開けるとそこには中年の剣士と見られる人がいた。
「どうしましたか?」
「いや、こんなところにカフェなんて珍しいと思ってな……ところで店の名前にもあるモフモフってなんだ?」
剣士がそう尋ねると、モフモフは店の奥からひょこひょこっと顔を出してきた。
「モフモフ……」
内気な性格のモフモフだからか、人に関わろうとしない。
だが、剣士はモフモフを掴みあげ、撫でながら言った。
「これがモフモフか!見たことない生き物だなあ!」
「モフ〜!」
(めっちゃ嫌そう……!)
アリーシアはそう思いながらも剣士に店を案内した。
「コーヒーでもいかがですか?」
アリーシアがコーヒーを淹れながら聞く。
「ああ、いただこうかな」
香ばしい匂いが店全体に漂う。
アリーシア特製のコーヒーにはシナモンパウダーが入っており、華やかな香りがする。
「どうぞ」
剣士はコーヒーを飲みながら言う。
「俺は、アルトルト。少し前までは剣士として活動してたんだが、もう体も衰えてきて若い世代に託したんだ」
空になったコーヒーを見つめながら、懐かしむようにアルトルトは言っていた。
彼の目にはどこか哀しみがあるようにも見えた。
「まあ、そんなことはいいとしてお代だな」
アリーシアがレジに向かい、会計をしようとした。
「200ペントです」
「そのことなんだが……」
アルトルトは冷や汗をかきながら言った。
「金が今ねえんだ」
(この人お金ないのにコーヒーもらったの……?)
そんなことを思いアリーシアは言った。
「ちょっとー!どうするんですかー」
アルトルトは手を合わせて頼むように言った。
「頼む!なんでもするから!」
(だからなんでこの人お金ないのにコーヒーもらったの!?)
すると、どこからともなくモフモフがやってきて言った。
「モフ、モフモフ」
アリーシアは耳を傾け言葉を聞き取った。
「えっ、アルトルトを雇うって?」
「モフ!」
そしてアリーシアはアルトルトに言った。
「だ、そうです」
アルトルトは驚いた口調で言った。
「嘘だろ!俺料理できないって!」
(あ、そこなんだ。もう雇う前提じゃん!)
「コーヒーのツケがあるからね〜?」
200ペントの紙幣をピラピラしながらアリーシアは言う。
「くそっ……やるしかねえか!」
アリーシアはガッツをしながら言った。
「よし!新たな人材確保ー!」
――
一方その頃、アリーシアの転生場所の城では……
テルヘラがじたばたしていた。
「ねえ!アリーシアはどこ!?部屋にもいなかったけどなんでー!」
暴れているテルヘラをメアリーはなだめているが事の重大さには気づいているようだ。
「これはまずいですね……」
テルヘラは怒ったまま兵士に司令を出した。
「全兵士動員だ!アリーシアを死ぬ気で探せい!」
メアリーは驚いた様子で言った。
「ちょっちょっと!テルヘラ様!お早まりにならないで!」
テルヘラは今にも泣き出しそうな顔をしながら言った。
「うるさい!もう兵士だしちゃったもん!」
「テルヘラ様ーー!」




