84話 エピソードタイトルで流石にふざけられない状況にしちゃった...
地球。
動きを止めた四獣王。
そのコックピットが静かに開く。
昇たちが外へ出る。
誰も――何も言わない。
風の音だけが流れる。
昇は振り返る。
そこにあるのは。
もう動かない機体。
共に戦った存在。
……相棒。
視線を逸らす。
焔も。
守も。
剣も。
言葉を失っていた。
博士たちはその空気を察し、距離を取る。
「少し休ませよう」
「今は無理に話すべきではない」
別の場所へ移動していく。
残された四人。
重い沈黙。
その中で。
昇が口を開く。
「……もう、戦えねぇ」
空気が止まる。
焔
「は?」
守
「昇さん……?」
――バキッ!!
鈍い音が響く。
昇の体が揺れる。
殴られた。
剣だった。
「……何を言っている」
低く、押し殺した声。
剣
「今までのお前はどうした」
昇が顔を上げる。
「……は?」
剣
「ここで止まるつもりか」
「ふざけるな」
その一言で。
昇の中の何かが弾ける。
「……じゃあどうすんだよ!!」
昇が殴り返す。
衝撃。
剣の体が揺れる。
焔
「おい!!」
守
「やめてください!!」
二人が割って入る。
だが止まらない。
掴み合う。
押し合う。
感情がぶつかる。
昇が叫ぶ。
「ドラゴンウェアを失ったんだぞ!!」
空気が止まる。
昇の声が震える。
「……いや」
「相棒を失ったんだ」
拳が震える。
「次も……」
「また誰か失うかもしれねぇ」
沈黙。
その言葉は。
三人の胸に重く落ちる。
焔は歯を食いしばる。
守は視線を落とす。
剣も。
何も言えない。
ただ拳を握る。
強く。
強く。
感情を押し殺すように。
その場を支配するのは。
喪失。
そして――
拭いきれない不安。
その時。
四獣AIの声が響く。
「――停止してください」
無機質な声。
だが、全員の動きを止めるには十分だった。
「現在の行動は非効率です」
沈黙。
誰も動かない。
「質問します」
「四獣王は、なぜ限界状態で合体を実行したのか」
答えはない。
「追加質問」
「あなた達は四獣王から、何を託されたのか」
空気が凍る。
「四獣王は損壊の可能性を理解していました」
「それでも戦闘を継続しました」
一拍。
「理由を、説明できますか」
誰も答えられない。
逃げられない問い。
「答えを出してください」
「それが理解できない限り」
「次も同じ結果になります」
沈黙。
だが――
その言葉は、確かに届いていた。
――続く。




