44話 四獣合体②
衝撃が、大地を揺らした。
青龍と朱雀が、ほぼ同時に吹き飛ばされる。
「ぐっ……!」
「ちっ……!」
装甲は砕けていない。
だが衝撃が大きすぎた。
地面に転がった二機は、すぐには立ち上がれない。
《機体損傷 軽度》
《推進系 一時停止》
「……悪い、動けねぇ!」
昇の声が通信に響く。
「俺もだ!」
焔も続いた。
⸻
前線に残されたのは――
白虎と玄武だけ。
「来るぞ」
剣が、低く告げる。
「守、拘束を狙う」
「……了解です!」
玄武が前に出る。
⸻
敵は速かった。
剣の判断が、ほんの一瞬遅れる。
敵が、その隙を突き――
玄武に、トドメの一撃を放とうとする。
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「剣さん!!」
守の声が、通信を震わせた。
「僕は――」
「あなたを信じてます!」
「だから……!」
「迷わなくていい!!」
⸻
剣の中で、何かが切り替わった。
(……何を迷ってたんだ、俺は)
敵が守に迫る。
その瞬間、剣が前に出た。
「うおおおおっ!!」
白虎の一撃が敵を弾き、
守への致命打を阻止する。
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「もう迷わない」
剣の声は、はっきりしていた。
「行くぞ、守」
「……はい!」
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次の瞬間。
二人の四獣バングルが、同時に強く光った。
《感情同期 最大》
《判断一致》
《四獣合体 可能》
四獣AIの声が、重なって響く。
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剣と守は、同時に腕を掲げた。
「「×(クロス)四獣王!!」」
白虎と玄武が、光の中で引き寄せられる。
制御と防御。
判断と覚悟。
二つが、一つになる。
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四獣王タイガー×タートルウェア
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重い。
だが、揺るがない。
盾が、敵の攻撃を正面から受け止める。
――ガンッ。
反動すら、感じない。
敵の体勢が、わずかに浮いた。
その瞬間。
合体機の爪が、閃いた。
両腕。
両脚。
ほとんど同時。
四つの斬撃が、一直線に走る。
狙うのは、関節部のみ。
迷いのない刃が、
敵の自由を、一瞬で奪った。
敵は、声も上げられずに崩れ落ちる。
派手な爆発はない。
粉砕もない。
だが――
もう、一歩も動けない。
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拘束、完了。
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《警告》
《エネルギー残量 限界》
光が消える。
合体解除。
白虎と玄武は、その場に膝をついた。
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「……はぁ」
剣が、息を吐く。
「やっぱり」
「楽じゃないな」
「はい……」
守も、同じように肩で息をする。
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拘束された機械兵を見つめながら。
剣が、小さく言った。
「……信じてもらえるのは」
一拍。
「悪くないな」
守は、少し照れたように頷いた。
「はい」
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切り札は、まだ不完全。
代償も、大きい。
それでも――
確かに、前に進んだ。




