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仮想通貨の停滞又は安定性

未だに本屋というものは存在する。電気を殆ど使わないものとしては最適だ。

「あ、新作出てる。」

「何の新作?」

「追放モノ。」

「ああ、一時期流行った・・・。」

「『Fラン遺伝子の両親から産まれ追放された俺達は近親相姦でSSランク遺伝子を量産!?』」

「こんな本屋今すぐ焼けてしまえ。」

データ化された社会では、以前の様なデートは存在こそするが珍しい。手の内を明かす行為でもあるからだ。あと、広い土地を確保した以上、自己完結している。・・・あと、もう一つ問題がある。

本屋・・・正確には出版社直結のデータ販売所だ。ここでのデータは字数・評価数で値段が変動する。評価する側にも厳しい基準があるので値段の操作は難しい、横の繋がりも強いから実現した。また、ライセンス次第で他人に渡したり、配布や販売が可能になる。

「・・・やっぱりだ。」

スマホにクラッキングしたデータを閲覧する。・・・閲覧するのは廃棄データ、価値無しとして販売していないものだ。本は仮想通貨や芸術と同じ、新たな価値を示してこそのものだ。

廃棄データは一応残しておく、それが新たな価値になると信じて。その結果・・・この様にテロに利用される。

「我々には好都合だ。こんな馬鹿な方法で行動し続けてくれればいい。」

「それもそうだな、銀行強盗とマネロンをやってくれる組織なんて中々ない。」

銀行・・・仮想通貨様にコンピューターを大量設置している箇所も多い。

GPUの時代は2010年で変わり始めた。一部の上澄みGPUやFPGA、そしてASICを活用する。FPGA・・・集積回路の一つでカスタマイズ性が高いものだ、物理的に弄る訳ではなく言語的な技術を介して弄るのだ。

ASICはカスタマイズ要素を取り除き、最初から仮想通貨用に設計したものだ。ネットで設計図が閲覧出来る。・・・これはある企業がスパコンを仮想通貨マイニング用に作成する計画を立てた為に、51%攻撃の可能性があるからと公開された。

・・・とはいえ、ASICを禁止するコードを組み込んだ仮想通貨も存在する。仮想通貨は結局の所資金力がある立場に傾く。

2010年から2012年までにこれは起きた。そこから大した進歩はしていない。・・・仮想通貨は停滞しているのだ。

さて、話を戻して。

銀行強盗はマシンを盗む事、マネロンはマシンのセキュリティを外す事。現在とは大きく違う。

一応言っておくと、今知った。さっきまで全然知らなかった。学校は上流階級のもの以外はすっからかんだ。

「銀行にスパコン設置した場所があるって事?」

「ああ、だからか防衛用のタレットも買い込んでいる。乗っ取られたら仮想通貨は全部終わり・・・だな。」

「・・・あれ、割と戦争モン?」

「あの兵団は仮想通貨便り、スパコンを使って資金繰りをしてるので。・・・ま、これやれば確実に引っ掛けれる・・・でしょうね。」

あ、やばい。逃げよう。どう考えても今までの比でない出来事になる。

背中を張り付く様に掴まれる。

「さぁ、計画書だ。それの入手法を教えてなかったな。お前自体はどうでもいいがダンジグが一番アシ残さんからな。」

「それじゃあ・・・。」

「お前も戸籍上死亡済み、親すら不明、遺伝子が体内のどこを調べても違う・・・しかも全員死亡済み。電力履歴も検索履歴もない。都合が良過ぎる。」

何も言及するつもりはない、ガワを覆っただけの複製品。過去の自分に似せた程度のものだ。

計画書を渡す準備を整える。監視された中、カメラが自動で停止する。おまけ程度に本のデータを盗難し、渡される。

「ヒントは生成Aiだ。」

「文章・・・ではなさそうだな。識字率的にも微妙だし。」

「そうだな、画像を使う。」

彼女は躊躇無くベンチに座った。煌びやかな宝飾品と衣服で着飾る。化粧はしていない、素で美貌は揃っている。・・・そこに陽の光はない。だが、彼女には常に余裕があった。・・・最低な、余裕が。

「生成Aiの道具としては、パソコン本体、仮想環境のアルゴリズム、そしてモデルやLora、プロンプトにプラグイン。それ以外にもシード値等がある。」

知らないという私に向けて色々解説してくれる。既視感がある。

「モデルやLoraにはトリガーワードという特徴を引き出す為の単語や文章が存在し、プロンプトに入力する事で効果を発揮する。」

ダンジグが付け入る隙すら与えない、風呂でいつの間にか身体洗って冷却水交換して出ていくまで一切ツッコミを入れさせないダンジグを超えている。

「これは組み合わせて共有して再現すれば、厳重なパスワードの計画書になる。」

常に装填してある、思考と実行のペースがあまりに早巻き過ぎる。

「だから一番脆弱な計画書の作成段階に手を出して暗号を再現した。」

と提示される。

「絵か、これで推理しろと。」

「exeファイルでの解析の可能性もあるが・・・それだと欠点がある。」

「と言うと?」

「人数が集まらない。これの都合の良いところはネット経由でも、現実上でも参加出来る事だ。」

「・・・ああ、これなら人数も確保出来るし、辿り着ける程度には実力がある・・・と。」

「警察組織が介入してもローカルの環境までは管理出来ない。オンラインのGPUで作る馬鹿は探し出して消しておいた方が今後の為だ。」

「・・・。」

「使っても良いと思うぞ、私は無政府主義者だ。」

「押〇守?」

「その人もアナーキストだったなそういえば・・・。」

ひと段落終えると、ラメの様でありながら水気がない、割れた様な瞳で彼を見る。

「・・・いや、私の古い話はよしておこう。」

「気にするな、半分位分かってないから。」

さて、一旦絵の生成を終え、敵機の調査といこう。

ASICを連結した仮想通貨用スパコン、地下には原子力電池・・・ストロンチウムを使った危険物だ。ゼーベック効果による熱や電子の移動によって発電を行う。ソビエトで廃棄されたものが多いので拾って使う・・・なんて事もある。

「銀行側がテロ組織。」

「まぁ、合ってる。放射性物質だし抱いて寝れば嘔吐プレイが無限に出来る。死ぬ程気持ち良い(物理

)だな。」

「建築業者から盗んだ同系統の建物のマップと推定出来るコンピューターの配置。あと傾き具合から推定した改造版のマップだ。」

「・・・お前ホントに分ってないのか?」

「自分の出来る事をやるだけだ。・・・昔からの得意技って奴だ。」

「・・・経歴も無かったから失念していた。しかし調査不足というのも初めての経験だな。」

「リアルの接触も大事・・・均衡に全て整えてこそだ。」

絵描きの執念・・・一方で彼はその絵を描く事はしない。ダンジグは聞いた所『腕が鈍った』と言う。

多分生成Aiに心が折れたか、紙が無くなったか・・・脳が劣化したか・・・。それにせよ、ろくでもない理由なのは確かだ。


銀行強盗を行い、51%攻撃の主導権をこちらにする、そうすれば彼女に渡して問題ない。こちらに仮想通貨は無い。物だけ持った無一文だ。

「派手な盗みはしない、強盗団のパソコンを乗っ取り、金庫を遠隔で解錠し、スパコンを奪える様にセキュリティを解く。セキュリティを解いてから物理的に盗む。そうしないとデータをアップロードされてしまう。」

ダイ・ハードごっこだ、地下から(別に大きくもない)ドリル(運転席もついてない)で少し壁に穴を入れる。そしてパーツを盗む。

昔の銀行強盗の様なイメージはない、銃撃戦はするだけ馬鹿馬鹿しい。

「原子力電池掘り当てた瞬間顔が青くなるらしいぞ。多分放射能の影響だ。」

「人間にはそういう機能がデフォでついてるもんなの。」

「以前の旦那なら分かりやすいんですけどね。」

「そうか・・・でも色白ではあるがそんなになのか?」

「・・・昔は真っ白でしたけど・・・話してくれる事はないでしょう。」

「・・・道理で遺伝子がバラバラな訳だ。」

二人二人で別行動、マシンへの嫉妬でAi二人が壊したり食べたりしないか不安になる。以前やったし。

音量センサーを改竄する為のドリルは通常の物、火薬等は勘づかれるがこの程度だと工事でも普通の使うので反応してしまう。センサーとしては反応するがスルーされるだろう。壁はアーク放電式の溶断ブレードで通し、掘って通る。

・・・彼女が準備良過ぎるせいで想像以上にヒマだ。

派手な強盗もアリだろう、だが、そんな事をして得られる名誉は金になる訳ではない。・・・価値自体はある、コストが銃器や戦闘用に割かれ重くなる。保険金が伸し掛る中じゃ溜まったもんじゃない。だから何人か狙撃で壊すなりする。殺す以前に人がいない、多分奥だ。まぁ人の出る幕ではない。

「・・・これを何件か繰り返し、ロンダリングしてから本格的に始めよう。」

・・・これはあくまで第一歩、取るに足りない匙である。その中で彼は少し気が強ばる。

「・・・復讐は嫌いか?」

「嫌いじゃない・・・だが。」

もう筆を手放したのにも関わらず、彼は言った。

「復讐する相手が居ない、多過ぎて。描く気になれない。」

「・・・それも、アリだな。」

「復讐は楽しいので、終わったら笑顔で居て欲しい。・・・その復讐に、価値があったと。」

そう告げて、彼等の銀行強盗ハシゴの旅が始まった。

「ついでにエッチな絵混ぜとこ。」

「画力でバレるからやめろ。」

少し笑いながら、プラのパイプを回収した。

TRPG動画作成に苦労中

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