望遠鏡と光学顕微鏡
量子コンピュータの解説の前に、量子力学について解説しよう。
量子力学が成立したのは、ある疑問であった。
第一に、ラザフォードの原子模型である。
電子は核に吸い寄せられるのに、どうして回転を維持し、接近を維持し続けられるのか?
ボーアとバルマーを代表にした学者がそれを研究、その中で特定の物質を火にかけると色が変わる、その現象をスペクトル線として分析した・・・が、少し待つべきだ。
物理は基本粒を基準としていた当時に、光はどれに当てはめるべきか、となった。
そして、次の疑問に繋がった・・・それが粒と波の話である。
ニュートンの主張は『粒』
ホイヘンスの主張は『波』
どちらも知らないとは言わせないぞ、ニュートンは『プリンキピア』で物理の基礎を作り、ホイヘンスは二重スリット実験やホイヘンスの原理を作り上げた人物だ。
そこで、ある歴史を専攻していた学生が物理に戻りたいと考え、博士号まで取った・・・その際の論文こそ・・・『物質波仮説』である。
彼の名はルイ・ド・ブロイ、彼の論文をアインシュタインにも確認してもらった所『博士号よりもノーベル賞を取るに値する』と言われ、五年後にノーベル賞を受賞した。
それにて『粒子は粒と波の二重性を持つ』という考えを生み出し、新たな時代が始まった。
そこで一つの疑問が発生した。
原子核の周囲を飛び回る電子の自転に関して、それを計算していくと光速の百倍とかいう数値が出るのだ。『量子の性質』として存在するなら、その計算式を求める・・・その結果が。
『行列力学』と『シュレーディンガー方程式』である。行列力学は一個一個計算して地道な作業を続けるもので、シュレーディンガー方程式は物理学者大好きな微分積分法に頼ったもの・・・という差が付き、ハイゼンベルクの行列力学は人気を失った。また、シュレーディンガー方程式の一部である『波動関数Ψ』が作った本人も分からず、ハイゼンベルクの師匠ことボルンが証明する事になった。この後もハイゼンベルクの不確定性原理を完全にではないが一部を否定する『小澤の不等式』というものが出て来た・・・そして、この一連の知識をまとめたボーアは新しい解釈を編み出した。
これこそが『コペンハーゲン解釈』である。
が、これにアインシュタインは猛反対、決定論信者である彼はポドルスキー、ローゼンタールを連れてEPR論文を作り矛盾を指摘したが・・・ノイマン、ボーム、ベル、アスペと別々の人間がバトンタッチしながらやがて否定された。その後ノイマン=ウィグナー解釈や量子情報理論へと進んでいき、今に至る。
量子コンピュータは電気を使ったものとは違い、『そこに量子があるかないか』で電気の有無・強弱で判断する訳ではない。その為正確かつ低燃費で計算が出来る。
逆に、ミクロの動きを制限するべく絶対零度に近い温度が必要になり、それを調整して動かす・・・。
国家の極秘であり、その情報は基本的に手に入れられはしない、だが、問題があった。
電力偽装を怠ったという話らしい、日本の北海道に設置された観測所・・・そこの電力が一気に減っても稼働し続け、問題なく動いていた・・・。
つまり、犯人は鋼兵である。
「量子コンピュータの秘密を守る為に暗殺する、多分活動して今の時期になれば観察データも集まり、Aiモデルも完成している。」
「・・・それだけか?」
「彼等を対立させ、殺し合いのシチュエーションを作るんだろうな。」
そこで、彼女の紹介である会社を尋ねる。
「インテリヤクザと高IQ犯罪者だけで結成された最高のセキュリティ会社、『穢れた都市』通称DV社だ。」
「もうちょい他の略し方はないもんかね。」
「次は良い会社を選ぶよ。」
「話を聞く限りダウングレードになるよな。」
電話が何故か声を放つ。
『紫月!鋼兵がセキュリティ会社に入るって!!DV社!!』
『嘘!遂に足を洗うのね!!』
「(帰ってくれ。)」
「そうよ、入社して稼いで貰うわ。今回の対価は払ったけど、チップをどれだけ高額にするかでこの会社の価値は決まるの。出来るだけ高く稼ぎなさい。」
扉をそっと開ける、先陣をダンジグが、アデンは外で狙撃銃とセットで待機、今は別の人物の護衛と仲良く会話中である。
「ようこそ、我等の星へ。貴女様がいらっしゃるとは。お連れの方は?」
「下僕と男娼(鋼兵)よ。」
「ふむ、それにしては硫黄の匂いがしますな。」
「そういうプレイよ、傷口のウジを払う為に火薬を突っ込むっていうね。」
「ほほう。」
人払いを済ませ、手を引っ張られる。下を向くだけの演技もしなくていいらしい。
どう考えても出来ない、死にかけにして放置してウジを払わせるとか、常人なら死んでいるだろう。
「社員との契約、人気は上の層に比べたらそこそこだけど・・・質で劣る社員なんて居ないわ、雇い主が上手く扱えば引き出せる・・・もっと言うなら、扱い易い程値段が高いって事よ。」
その中でも癖は薄いが手間はかかる・・・それが彼である。
「刑部零慈、オドオドしてるけどれっきとしたインテリ、最年少だけど警戒を怠ったら頭脳でも実力でも圧倒されている事を思い知らされるわ。」
もし、彼を運用するとすれば人質事件だろうか。ほぼ予想通り・・・彼を利用して、今回の事件を晴らす。
「小学校の時にAiを利用して『外見予測システム』を作成し、様々な男女、外見が好みであれば手を出し、高校生時代には三桁の同時交際を行って尚無傷。罪状はそのデータを作成する為に健康診断機をクラッキング、そしてデータ改竄と窃盗を行い完璧に証拠を消した。・・・ただ、彼に辿り着いた老兵と、疑われて罪を犯してしまった人がいたの。」
Ai技術があるなら計画に関する一連の動きも証明出来る。自分は付け焼き刃だし、彩澄には表向きの立場がない。
「彼は全員を確かに愛したから、犠牲に出来なかった。ツメが足りないから、彼だけが残る事はあるけど、周りの人は巻き込まれる。・・・ま、完璧ではないって事ね。」
「俺よりはマシだ、面倒いのを引かなかったからな。」
DV社の社員、合計二十人、内大看板五人。
今回登場したのは『自殺偽装人』と『潜入工作兵』の二人。
自殺偽装人はネットに改革を起こした最悪の人間、少しでも『黒い』芸能人のネットの噂を操作し炎上さで、その上で芸能人を殺し自殺に見せ、ネット界を数十人の殺人鬼に仕立て上げる。
今回の事件は彼等も調査していたらしく、某元国家から暗殺の依頼・すり替えの依頼が入っていたそうだ。結果はNo、報酬金の桁が四桁足りない。そういえば漫画村の詳細を明かしたのに数千円しか渡さなかった馬鹿な国家が居たという話もあったな。
潜入工作兵は調べようとしたら爆破されかけた、つまりそういう事である。次見つけたら海の上を駆けるソーラーハンドボートに乗せて太平洋オーバーターニング循環一周の旅をさせてやる。
「・・・あ、兄弟の情報来た。・・・あれこれ調査させたの完全に囮?」
「見事に騙されちゃいましたね旦那。」
「最悪だなあの女。」
「そうですよやっぱり機械に任せた方が良いんですよ旦那。」
この後のルートはハワイの北へ、持ち込んだバイクで駆け回る。
「ダンジグ少しは体重軽く出来ねぇのか?」
「マシンに何求めてんですか。」
「いや、武装外した儀体を作れって事だよ。偵察用の。」
中古を買い漁り、改造したジャイロスコープバイク『オン・ファイア』・・・色はステッカーである。ターボ、トランスミッション、防弾性能と色々弄ってある。その代わりブレーキは大して機能しない。代償はつきものである。
「・・・事の全容は人質事件か。」
「まぁ、ほぼそんな感じでしょうね。」
「今回必要なのは赤の他人をどちらが正しいかを見抜いて救助だぞ?お前みたいなベースが軽量な女じゃない、サイボーグ手術で片方は延命していた、重さはほぼ同じだから体重計も使えないし電磁パルスも使えない。」
「・・・うーん、電力消費量とか?」
「今の個体じゃ難しいだろうな、体内での再充電機構が整っているだろう。実際の人間の血肉も混ざっているだろうし。」
「既に思いついてそうだね、『スタンド・バイ・ミー』っぽい。」
「ああ・・・それはな。」
バイクの奥でも分かる、後ろに全く振り向いていないのに赤い頬が歪む。・・・あれ。
「ヘルメット付けてくださいよ旦那。」
「胸に入れるように守ってくれ。」
「有事は反射で対処します。」
この移動はただ現場に向かうだけでなく、次の事件の対処に繋がる。
「人質事件の取引において一番有効なのはなーんだ。」
「人質を脱がせる。」
「違うそれじゃ只のAVだ。」
「じゃあなんです?」
「別の事件起こして交渉体制が整ってるこっちを優先させる。迅速な対応を捨てるか解決を捨てるか強制出来る。」
「・・・レーダーに反応ありです。」
「指定透過金属探知機は機能しているか?」
「貰いもんですがちゃーんと使えますね。」
研究所に踏み入れた頃・・・内部の道は長い中、駆け抜けると共に煙が見えないものの爆破音がした。
「・・・何か音がする。爆発物か?」
「信管ソナーがグレネードを検知!どうしますか!?」
「爆弾事件でグレネードを使うとなればそれは四方八方に本命の爆弾がある。車両があってもしないだろうな。」
「・・・自動車検知無し。音と浮き上がり的にフラッシュでしたね。」
「スモークバブルで一時的に視界を凌ぐ、耳を任せた。」
「了解!」
街中を選んだ、突っ込んで見て回り、本命の爆弾を探す。商品も建物も悠々と壊し、研究所の城下町を踏み荒らす。
「・・・あった、旧式だな。」
「対冷却装置がありますね。」
「上から消せるか?」
「無効化の防御をデフォで付けてるのでちょっと待ってくださいね。」
「お前それ胸に付けてんの?」
「何かと武器隠すのにいいですよ。」
「ガッカリしたよ俺は。」
「対冷却装置を無効化しました!」
「よし!どこの誰かは知らんが困るからな!!」
「ああれ思ったより飛んでない・・・。」
「気にするな投擲の精度はロボットアニメより高い。」
液体窒素缶に投げ捨て、運んでいた連中が腰を抜かした・・・だが、そこには無力化された冷凍食品みたいな爆弾が残るだけであった。
「・・・相当力を入れてるぞ、備えておけ。」
旧式を有している、倉庫を持ったタイプのテロ組織、念入りに制圧準備をしている。
「・・・俺の仕事はこっちだ。」
雇い主の期待に応える、準備を始める。・・・だが、人質事件である以上要求も聞いておきたい。
ハイゼンベルクの不確定性原理ってアインシュタインが発端で、光学顕微鏡における観測の方法を振り返ったら量子が上手く観測出来ない・・・というのをアインシュタインが質問の中で遠回しに示したのを論文化したものなので光学顕微鏡です。
外見予測は私が小学生の時に相棒ことジルヴィスターと共に作ったシステムです。つまり実話。




