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第十三話「神が定めし運命なれど」⑮

 その頃、レジーナの姿は外にあった。

(許す? 許すだって? 私に期待していないって言ったんだぞ、あの親は)

 ――お前には期待していない。

 いまでもレジーナは、そう言った父の無表情な顔を鮮明に思い出せる。

 剣とヴィオラだけが、彼女が現在に至るまで続けられていることであるのは以前に触れたとおりだ。そのうちヴィオラは、マシューから密かに習って自己鍛錬を積んだ剣術とは違い、習う際に駄目もとで父に願い出て、渋々了承を得たものだった。その時、実父はレジーナにそう言ったのである。

 その心を知るための言葉は、もう交わすことができない。だから許すことなどありはしない。

 レジーナは煮えたぎる心を鎮めようと努めた。だがヴェントゥスを降りた彼女の足は、革靴が砂に(まみ)れることも(いと)わず、少しだけ走ることを選んだ。

 低い砂丘を意地で登り、見渡せども、広がる荒野に果てはない。どこまでもどこまでも潤いのない大地が続く。その(すさ)みながらも清々した景色がまるで自分の心象のように思え、彼女はやりきれなさのあまり冷笑した。

(なにが、みんなそれを持って生まれてくる、だ。人間みんな、違うだろうに)

 そう心中に毒づいた矢先、彼女は視界の端にひとけを感じた。いまこの場に、しかも、ここまで接近を気づかせない相手などいるものか。

 ぞっとした視線を振り向ければ、そこには、

「――トウヤ」

 いるはずのないあの男の姿があった。

 その直後である。甲板にて、結局自前の長剣で戻ったジックを迎えたアルマと剛三郎は、船体を大きく横に揺らす衝撃に見舞われ、悲鳴を上げながら転倒した。

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