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13話 フォローアップ

「助けて」

 影縛りの術によって身体を拘束されてしまった国王は、全く身動きを取ることが出来ずにお手上げ状態である。

 弱々しくアヤヒナに向かって助けを求める国王は笑うしかない。

 自己回復魔法によって背中の傷を治し終えたアヤヒナは光属性の攻撃魔法を扱うため、闇属性であるリッチにとっては相性の悪い相手である。

 

「防壁の解除をお願いします。それと、俺は飛行術を扱うことが出来ないから、何か足場が欲しいな」

 失笑する国王に助けを求められて、アヤヒナは防壁を解くように指示を出す。

 防壁を張り巡らせた状態では光属性の攻撃魔法を発動することが出来ない。

 しかし、足場をなくしてしまうとアヤヒナは底の見えない崖の下にまっ逆さまになってしまうため足場が欲しいと所望する。


 僅かに動かすことの出来る指先をアヤヒナに向けて、防壁を解除した国王は、立て続けにアヤヒナの足元に平べったい防壁を発動する。

 平べったい防壁を足場にして佇むアヤヒナは範囲攻撃魔法である光のリングを発動した。


 光のリングは狙いを定めて放つスキル業ではないため、何処に飛ぶのかアヤヒナにも分からない。

 リッチに向かって一直線の光のリングもあれば、拘束を受ける国王の元に向かう光のリングもある。

 身動きをとることの出来ない国王は、迫る光属性の攻撃魔法に対して恐怖を覚える。

 アヤヒナを信じて目蓋を閉じた国王は、動揺を表情に表すことが無いようにと考えて平静を装っている。


「拘束を解きます」

 アヤヒナが国王に拘束を解くことを事前に告知(こくち)した。

 光のリングによって、国王の身体を拘束している影縛りの術を切り刻むアヤヒナは、本来は操ることの出来ない光のリングを、軌道修正を併用して発動することにより強引に行き先を変更する。

 アヤヒナが国王の拘束を解いたため、国王がリッチの懐に入り込み、その腹部に氷の剣を勢いよく突き刺した。

 吹き荒れる風と共に砂となって消えたリッチに続いて死霊達が、次から次へと砂となって消えていく。

 アヤヒナのレベルが上がりお金がギルドカードに吸収して貯蓄される。

 

「怪我は完治してる? 大丈夫?」

 防壁の上に佇むアヤヒナの腕を手にとって、背中の傷を確認する国王は冷酷、無慈悲と国民達の間で囁かれている。

 しかし、実際は傷の心配をしてくれるし自ら声をかけてきてくれる。

 基本的に無口な人だと聞いていたけれど国王はよくしゃべる。


「自己回復魔法で治したので完治しています」

 国王が間近に迫った状況の中で緊張感に苛まれる。


「そっか。良かった」

 穏やかな雰囲気を醸し出す国王は国民達の間で囁かれている人物像とは違って、人間味あれる人だった。

 相変わらず腕を掴まれたままの状態で、表情に笑みを浮かべている国王は一呼吸おいた後に再び口を開く。


「アヤヒナに頼みたいことがあるんだけど私のお願いを聞いてくれるかな?」

 国王のお願いが何かのか分からないまま頷いても良いものだろうかと考えるアヤヒナは、困ったように眉尻を下げて苦笑する。


「先にお願いの内容を知りたいです」

 国王からのお願いの内容は何となく予想がつくけれど、もしも考えが間違っていた場合、事前に内容を知らないまま頷いて後から後悔することにもなりそうなため、失礼を承知の上でアヤヒナは国王にお願いの内容を事前に知りたいと素直に考えを口にする。


「私が氷属性を操る事はアヤネさんやユイト君には内緒にして欲しいんだ。国王だと絶対に知られたくはない。私と共にパーティを組んで狩りを行ったことも口外しないで欲しい。ご家族にも内密にして欲しい」

 国王からのお願い事は口止めだった。

 穏やかな口調で言葉を続けた国王はアヤヒナに対して鋭い視線を向ける。

 

「分かりました。国王と学園都市のギルド内で出会ったことや、共に狩りを行った事は絶対に口外しません。家族にも絶対に言いません」

 約束を守らなければ、どのような仕打ちが待っているか分からない。

 穏やかな表情を浮かべているとはいえ、内心では何を思っているのか全く読めないのが怖い。

 国王の事だから銀騎士団調査隊に指示を出して人一人の個人情報を特定することなど、容易いことなのだと思う。

 国王との約束ごとを破って、国王と狩りを共にしたんだと自慢げに口外することによって家族の身に危険が迫るなんて事になるのは絶対に嫌。

 絶対に口外しませんと国王に伝えたアヤヒナは真面目な顔をする。


「宜しく」

 アヤヒナに向かって笑みを向ける国王は無表情と言われているけれど、表情はコロコロと変わる方だと思う。

 無口だと言われているけれど、全く口を開かないわけではない。

 人の噂話など宛にならないんだなと考えるアヤヒナは銀騎士達と行動を共にする国王の普段の様子を知らない。


「今後もしも困った事や危機的な状況に陥った時は手紙を頂戴。近くにいれば駆けつけるから。遠く離れた場所にいる時は駆けつける事は出来ないけど」

 小刻みに肩を揺らして笑う国王と、苦笑するアヤヒナは飛行と共に洞窟内にたどり着く。

 

「危機的な状況に陥った時は遠慮無く手紙を送ります」

 小さく頷いて、危機的な状況に陥った時は国王に手紙を出すことを口にしたアヤヒナの目の前で、周囲を彷徨(うろつ)いていたドワーフの視線が一斉にアヤヒナとユタカを捉える。


 危機的な状況を乗り越えて早々、沢山のドワーフに目をつけられた。

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