表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さしすせそで攻略する異世界 〜ショタな天使族による無自覚な“可愛い”が止まらない〜  作者: ながつき おつ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/33

1話 死後の世界に丁寧な説明は存在しない

バズったら後半のほうを変えて続きを書きますが、何事もなければプロローグを含む41話で完結予定。


評価やブックマークをしてくれると嬉しいです。



 ときめきの赴くままに。


 いつだって僕はそうやって動いてきた。


 それは、死後、魂になってからも変わらないみたいだ。




 ふよふよ、ふよふよ。


 誰もいない真っ白な空間。僕はそこで魂になって浮いていた。



――若くして死んだ「元気過ぎる」魂には、転生先を選ぶ権利が与えられます。時間制限はないので、ゆっくり慎重に吟味して、今度こそ幸せになってくださいね。


「って言われてもね……」


 あの時言われた言葉を思い出しながら、独りごちる。


「いくら日本人が魂について馴染み深いものとはいえ……」


 女神様らしき人に用意してもらった一本の大きな植木鉢を見上げながら、途方に暮れる。


 どうやらこれは「世界樹のミニチュア」ってものらしいが……


 デカい。全然ミニチュアじゃない。


「いや、やるべきことは分かってるんだよ? この葉っぱ一つ一つが、一つの世界なんでしょ? でもねえ」


 女神様に魂をちょん、と指先でつつかれた時、僕の頭に「何をなすべきか」の情報が大量に入ってきた。


 要はこの葉っぱの中から一つを選べばいい。葉っぱ一つ一つをよく吟味して、次の僕が幸せになれそうな世界を選ぶ。


 僕のやることはそれだけなんだけども。


「でもさ、どうせ次の人生では記憶を全て消されるんでしょ? 意味ないよね」


 なんともこう、選びがいのないというか……記憶がないなら、それってもう僕ではないじゃん。神様的には違うのかもしれないけど、少なくとも僕は別人だと思うんだけどなあ。


「そして何より。僕って生きてる時、あらゆる選択肢を間違って生きてきたからなあ……

 とりあえず次の僕の生まれ変わりの人には、先に謝っておこう。ごめんなさい」


 僕、ちょっと頭を使うのが苦手というか、考えてから話せないというか、思考が苦手というか、熟考が苦手というか。


 成績自体はそんなに悪くなかったんだけどなあ。

 

 あっ、でも、こんな僕にも良いところだってあるんだよ!


「あんたは行動力だけはあるわね」とか、「あんたってフルスイングで間違えるから、見ててもはや気持ちいいわ」ってママに褒められたこともあるし!


 まあ、ママは割と僕が何をしても褒めてくれる人なんだけどね。


 あの時だって僕は割と大きなやらかしをしたのに、ママはケラケラ笑ってた。あれを笑い飛ばしたのはママくらいだ。僕のママには王の器があると思う。



「それにしても、葉っぱの数、多いなあ……

 まあ、日本には八百万の神がいるといわれてるんだから、世界の数だってたくさんあっても不思議じゃない……のかな?」


 謎の理論で、途方に暮れていた自分自身を無理やりにでも納得させる。


「えっと、確か葉っぱに触れると、その世界の情報が頭に入ってくるんだよね。同時に、望む情報も見れると。よし、試しにあのひときわ青々として綺麗な葉っぱを触ってみよう」


 僕の魂が強烈に引き寄せられているとでもいうのだろうか。何故か僕はあの葉っぱがとても魅力的に見えていた。


 ということで、あの葉っぱに触れよう。僕の魂は小指の爪よりも小さいので、他の葉っぱには触れずに移動するのは容易だ。


「……ああ、ここ、地球か。なるほどなるほど、そうやって情報が頭に入ってくるんだ」


 ぶわっと、頭の中に情報が展開するといえばいいのかな。


 この世界の景色とか、人口とか、科学などのテクノロジーが特徴とか、社会を築く知的生物は人だけとか、そういう情報が一気に頭になだれ込んできた。


 多分ここを選べば次の僕も安牌なのだろう。他の葉っぱと比べても、地球の葉っぱは明らかに輝いている。


「でも、地球はない。ちょっと地球はおバカさんに厳しいかなって。それになにより――同じ世界を選ぶなんて、ときめかないしね」


 ときめかないのなら、僕は決してその世界を選ばない。僕の行動原理は魂になろうが変わらない。


「女の子は、本能よりもときめきを選ぶ生き物なのだー! って、あんまり王道な女の子してない僕が女を語るなって話か。

 ……いやでも、ある意味僕ってすっごく女の子かも?」


 僕は軽く今までの人生を振り返ってみた。


 ギターと身一つで都会に飛び出し、口にするのも憚られる「ある仕事」で黒歴史を量産。


 仕事を引退し、その後はキャバクラで働きながら、内緒でボーイと付き合って、最終的に田舎の元カレに包丁で刺される。


 うーん……うん、やっぱりある意味とっても女の子だね。


「正直、刺されるのも納得な人生だったね。元カレに恨み言の一つも思い浮かばないや」


 元カレの情緒をそれはもうめちゃくちゃのぐちゃぐちゃにしてしまった自覚はある。


 僕、人に合わせて生きるのがすっごく苦手だからさ。正直いつか痛い目にあうんじゃないかなとは思ってた。



「次の人生は男の子に生まれたいなあ。女の子の人生はもう充分楽しんだもん。それに僕、どちらかというと女の子の方が好きだし。推しの嬢のために、キャバクラで働いてたくらいだし」


 ひと目見て「かれん様」にときめいちゃったんだから、仕方ないよね。


 効果があるのかは分からないが、来世では男として生まれてくることをひたすら願っておこう。男に生まれ、エチエチでグラマラスなお姉様とキャッキャウフフしたい。



「さて、他の世界はどんなのかなあー」


 その隣の葉っぱは剣と魔法の異世界。その隣はサイバーパンクのような異世界。その隣は人魚が住む水の都。


 どの世界も魅力でいっぱいだ。


「でも、なんかときめかない……おっ、あれなんだ?」


 それが目に入ったのは、偶然だった。


 僕が世界樹のミニチュアの前でうんうんと悩んでいると、一枚の小さくてボロボロシワシワの警告色をした葉っぱが、ひらひらと落ちてきた。


 もう一度言う。


 小さくて、ボロボロシワシワの、警告色の葉っぱだ。


 絶対にあの葉っぱには近づかない方がいいというのは、バカな僕にも簡単に理解できた。


「……うん、すでに来世の僕には謝ってるし、許してくれるよね」


 なぜだろう。あれが僕には欲しくてたまらない。僕に欠けている最後のピース、それがそこにある気がしたんだ。


「なんか、僕のときめきセンサーがビビビッときた! とにかく、あの葉っぱに体当たりだ!」


 楽しい。僕は今すごく楽しい。


「あの世界なら、僕が僕のまま、誰にも言えなかった僕の小さな願いが叶う気がする! にゅふふふふ、ビバ、異世界!」




 さて、ここからは少し時を飛ばし、少し未来の僕が説明しよう。


 結局僕はそこで見たものにときめいてしまい、「ここだっ!」と即断即決してしまう。


 僕は「一度終わった世界」に、転生してしまうのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ