表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/77

第56話 空を這うもの

鐘の音は、長かった。


ゴォン。


ゴォン。


低い。


腹に響く音。


───


通行人たちがざわつく。


「なんだ?」


「またか?」


「西門の方じゃないか?」


空気が変わる。


さっきまで笑っていた酔っぱらいまで、真顔になっていた。


───


ジョンも空を見る。


黒い。


細長い煙。


空を這うみたいに、ゆっくり伸びている。


「ケムトレイル……」


おっさんが小さく呟く。


その声は、いつもより低かった。


「知ってるんですか?」


「知ってるも何も」


おっさんは舌打ちした。


「面倒事の匂いしかしねぇ」


───


兵士たちが走っていく。


鎧の音。


怒鳴り声。


慌ただしい。


───


「西門封鎖しろ!」


「一般人は近づけるな!」


「冒険者ギルドへ伝令!」


町全体が、一気に騒がしくなる。


「な、なんなんですか?」


ジョンが聞く。


だが。


おっさんはすぐに答えなかった。


黒い煙を睨んでいる。


嫌なものを見る目だ。


「魔物の異常発生」


ぽつりと言った。


「あるいは進化群だ」


「進化?」


「たまにいるんだよ」


おっさんは歩き出す。


早い。


「妙な条件が重なると、魔物が群れごと変質することがある」


───


ジョンも慌てて追いかける。


「変質?」


「強くなる。賢くなる。増える」


嫌な単語ばかりだ。


───


「”これは”、その前兆だ」


風が吹く。


黒い煙が、空でゆっくり揺れる。


まるで、生きているみたいに。


「見た目だけなら綺麗とか言う馬鹿もいるがな」


おっさんは吐き捨てた。


「実際は災害だ」


ギャンブル施設からも人が出てくる。


野次馬だ。


冒険者たちも騒いでいる。


「おい、また出たぞ!」


「今回はどこの群れだ?」


「賭けになんねぇかな」


笑っている奴までいる。



ジョンは空を見た。


黒い煙。


嫌な感じがする。


なのに。


少しだけ、気になってしまう。



「……見に行きませんか?」


おっさんが止まった。


振り向く。


「本気で言ってんのか?」


「だ、だって」


ジョンは言葉を探した。


「もしかしたら、稼げるかも」


沈黙。


───


おっさんは深いため息をついた。


「お前」


呆れた顔。


「完全にギャンブルの町に染まってんな」


───


でも。


否定はしなかった。



「……まぁ、情報だけなら見てもいい」


「ほんとですか!?」


「ただし近づきすぎるな」


おっさんは指を立てる。


「ケムトレイル絡みは、“普通じゃない”」


その言い方が、妙に引っかかった。



「普通じゃないって?」


「説明が難しい」


少し考える。


それから、低い声で言った。



「――たまに、人間側までおかしくなる」


───


風が吹いた。


黒い煙が、空を裂く。


───


その時。


ジョンの胸元。


服の下。


───


バンステ金策で手に入れた指輪が。


じわりと、熱を持った。

【あとがき:現在のステータス】


【スキル】

■武器系

刀剣スキル 20

盾スキル 3

戦闘技術スキル 13


■生産系

料理スキル 13


■その他

鑑定スキル 0.3


【所持金】

2,171g(銀行預け金:11,250g(銀貨11枚、銅貨2枚、半銅貨5枚))


【所持アイテム】

・???のスクロール 6枚

・奴隷のマクダフの野郎

・武器破損した剣

・???の指輪(バンステ金策で入手)

・ゴブリン(テイム)


【投資・契約】

・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)

 元本:金貨10枚

 状態:運用中

 想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)

 詳細:非公開/高リスク


【装備品】

・骨護札の首かざり

・水トカゲの手袋(呪)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ