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第5話 このサンドイッチ、儲かりすぎる

いらっしゃいませー!

いらっしゃいませー!


おいしいサンドイッチはいかがですかー!

蛇肉ステーキのサンドイッチですよー!


略して“ヘスサ”!

今なら一つ100g!


――いかがですかー!


僕は今、露店が並ぶ広場でサンドイッチを売っている。


パンに肉を挟んだ、どこにでもあるサンドイッチ。


ただし――中身は蛇肉ステーキだ。


パンは店で買ったものじゃない。


食料品ドロップスクロールから出したものだ。


おっさん曰く、

食料品ドロップスクロールを使えば「ほぼタダみたいなもん」らしい。


一枚でパンが5個以上出る。


今回手に入った食料品ドロップスクロールは36枚。


――つまり、それを使えば材料費はほぼゼロだ。


「なぁおっさん……これ本当に儲かるのか?」


僕は不安になって聞いた。


料理スキルを10まで上げたのに、

やっていることはサンドイッチ作りだ。


「いいから食ってみろ」


おっさんはそう言って、二つ差し出してきた。


僕が作ったものと、おっさんが作ったものだ。


……食べる。


「……おいしい」


はっきり分かった。


僕が自分で作った方が、明らかにうまい。


「それが料理スキルだ」


おっさんが笑う。


「料理スキル8以上で味が跳ね上がる。それに――これだ」


渡されたのは、白い調味料。


マヨネーズ。


これが、決定打だった。


結果はすぐに出た。


朝だけで11個。


――1,100g。


狩りより安全で、稼げる。


僕は少し浮かれていた。


「いいな……撒き餌は成功だ」


おっさんが呟く。


……撒き餌?


意味はよく分からなかったが、

そのまま昼も売り続けた。


昼までに合計29個。


――2,900g。


完全に勝った。


そう思った瞬間だった。


「値上げだ」


おっさんが言った。


100g→ 150g。


「えっ……?」


戸惑いながらも、言われた通りにする。


結果――


普通に売れた。


朝買ってくれた人がまた夕方にも買いに来てくれたが、文句は出だ。値上げしているからだ。


だが、買う。


「うまいからな」


おっさんが笑う。


夕方だけで26個売れた。


――合計62個。

――売上6,800g。


とんでもない額だった。


僕がドブネズミ狩りをドネタン狙いでやった時よりも多く稼ぐことができた。魔物狩りではなく、サンドイッチ売りでだ。


「さぁ売り上げの折半だ。明日も朝から売るから早く寝ろよジョン」


おっさんは当然のように半分持っていった。


――3,400g。


それでも僕の手元には、

3,400g残る。


十分すぎる大金だ。




---------


その帰り道。


僕は大金を手にして少し浮かれていた。


他の露天市場の露店を見て回る。


何か、自分のために買おうと思った。頑張った自分へのご褒美だ。


そこで見つけたのが技術指南書の露店だ。


 通称「技書」と呼ばれる技術指南書は、武器ごとの専用技を覚えるための書物だ。これを使うと、自分の武器スキル値に応じた技を簡単に習得できる。


 本来は、スキル値の高い者から教わることで技を覚えることもできるが、技によっては習得までに長い時間がかかる。その点、この技書を使えば誰でもすぐに技を覚えられるため、一冊ごとにとても高価だ。


 ただし、覚えたからといって必ず使えるわけではない。必要なスキル値や武器、専用アイテムが足りない場合は発動に失敗し、戦闘中に隙が生まれてしまうため注意が必要だ。


「いらっしゃい…… いらっしゃい…… さぁ安いよ、安いよ!」


「坊ちゃん、良いものたくさんあるよ…… 見てってみてって!」


店主は僕を見るなり声をかけてきた。


「僕にも使える技書、売ってますか?……そろそろ僕も必殺技みたいなのが欲しくて……」


 僕がそう聞くと、店主は満面の笑みを浮かべた。


「坊ちゃん……必殺技をお望みで……そうかそうか……やっぱり一つは欲しいよな……あるぜ、とっておきが。めったに人には見せないが……その名もアンチェインダスト……」


 そう言って店主は、露店に並べている技書ではなく、装飾の施された箱から一冊を取り出した。


 明らかに他とは違う。特別な技書だと一目で分かる。


 思わず胸が高鳴った。


「これはな……いや……やっぱりやめとくか。坊ちゃんにはまだ早い」


 店主はそう言って、技書を箱に戻そうとする。


 僕は思わず身を乗り出した。


「大丈夫です! 僕なら使いこなせます……必ず!」


 なぜか分からないが、どうしても欲しかった。ここで手に入れられなければ、後悔する気がした。


 店主はそんな僕を見て、にやりと笑った。


「坊ちゃんには負けた……よし、この技書を売ってやる! 100k……いや50k……やっぱ10kだ! もってけ坊ちゃん!!」


 10k……つまり10,000g。


 頭の中で計算して、僕は固まった。


 高すぎる。


 確かにすごい技書なのだろうが、今の僕には到底手が出ない。


「すいません……欲しいのは欲しいんですが……10,000gは無理です……」


 肩を落とす僕を見て、店主は少し考え込んだ。


「そうか……大人なら安いが、坊ちゃんには大金だよな。悪かった……よし、坊ちゃん価格にしてやる」


 僕は顔を上げた。


「5kだ! これ以上は無理だぞ!」


 それでも5,000g。


 足りない。


 懐の金を確認するが、3,500gほどしかない。


 僕は覚悟を決めて、全額を差し出した。


「これが全部です……3,715g……」


 店主はそれを見て、少し笑った。


「3kちょっとか……いいだろう。端数の215gは持っとけ。緊急用だ」


 そう言って店主は3,500gだけ取り、技書を僕に押し付けた。


 僕は言葉を失った。


 本来ならとても手が届かないはずの技書が、今、手の中にある。


 嬉しさで胸がいっぱいになった。


「坊ちゃん、使い方は分かるか? 手をかざして技名を叫ぶだけだ。それで覚えられる」


 僕はうなずき、言われた通りにした。


「アンチェインダストトラッシュ!!」


 技書が光り、体の中に何かが流れ込んでくる感覚があった。


 これが……強くなるってことか。


 確かに、何かを手に入れた実感がある。


「おぉ~やったな坊ちゃん! 最強に一歩近づいたぞ! くれぐれも俺に剣は向けるないでくれよ!」


 店主は笑いながらそう言った。その笑った顔の口には歯が少なかった。


「そんなことしませんよ」


 僕もつられて笑った。


 こうして僕は、新しい力を手に入れた。


 足取りも軽く、そのまま宿へと向かった。


 明日も朝からヘスサを売らなければならない。


 本当に忙しい一日になりそうだ。

【あとがき:現在のステータス】


【スキル】

■武器系

刀剣スキル 4

盾スキル 3

戦闘技術スキル 2


■生産系

料理スキル 10


■その他

鑑定スキル 0.3


【所持金】

215g


【所持アイテム】

・蛇肉(大量)

・???のスクロール 6枚

・食料品ドロップスクロール 25枚

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