表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まあいいかで世界が終わる  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
23/36

第23話「王の興味」

 城の奥だった。


 広い部屋。

 高い天井。

 静かな空間。


 机の上に、紙が置かれている。


 整えられた報告書。


 王は、それを眺めていた。


 読むというより、目を通しているだけに近い。


「静かで」


 ぽつりと読む。


「無駄がなく」


「効率的…か」


 声は淡々としている。


 興味がないわけではない。


 強い関心があるわけでもない。


 紙を一枚めくる。


「生活負担の軽減」


 短く読む。


「精神安定の維持」


 そこで、少しだけ手が止まる。


「へえ」


 小さく言う。


 部屋の端に、側近が立っている。


 姿勢は崩さない。


「報告は以上か?」


 王が聞く。


「はい」


 側近は即答する。


「試験導入は?」


「一部で実施されましたが」


 一瞬だけ間を置く。


「……再現性に課題があるとのことです」


 王は軽く頷く。


 特に驚いた様子はない。


「そういうものか」


 紙を机に置く。


 指で軽く叩く。


「でも、面白いな」


 少しだけ笑う。


 側近は何も言わない。


「静かで、楽で、ちゃんと回る」


 言葉を並べる。


「理想じゃないか」


 軽い調子だった。


 深く考えているわけではない。


 それでも、その言葉は部屋に残る。


 王は椅子にもたれる。


 天井を見る。


「実際どうなんだろうな」


 ぽつりと言う。


 紙を見る。


 書かれている内容。


 見たことのない場所。


 行ったことのない村。


 それでも。


 少しだけ気になる。


「その村」


 視線を戻す。


「見てみたいな」


 軽い一言だった。


 側近が一歩前に出る。


「はっ」


 短く応じる。


 それで決まる。


 会議もない。


 議論もない。


 ただの一言で、動き出す。


 王はもう紙を見ていない。


 別のことを考えている。


 側近は静かに下がる。


 指示を伝えるために。


 部屋は、また静かになる。


 外では、人が動いている。


 国が動いている。


 その中心で。


 ひとつの“思いつき”が、現実になろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ