16 ヒューイコブラ03
「電話誰からでした?」
ジュリアがハニーに聞く。
ピンクドルフィンのメンバー九人とジュリアは、野外音楽堂のステージから少し離れた塹壕に身を潜めていた。彼女たち用の塹壕は昨夜、GIジョージのメンバーが前もって掘っておいてくれたものだった。
二つの塹壕に五人ずつがぎゅうぎゅう詰めに入って隠れている。最初にいた音楽堂のステージは上野陣営の砲撃ですでに粉々の廃墟になっている。
「サンダースからだった、あいつウザいんだよねぇ」
ハニーがスマートフォンをポケットにしまいながら答える。塹壕が狭いのでジュリアとハニーの顔はくっつきそうなくらい近い。
「そうですか?面白くていい人だと思うんですけど」
「うーんなんて言うか、ノリが生理的に受け付けないんだよねー。あそうそう、ジュリアちゃんに奴からお願いだってさ。硬い敵がいるみたいで、なんとかして欲しいって泣きべそかいてた」
「お安い御用お茶の子さいさい屁の河童です」
ハニー達がさらにぎゅうぎゅうに詰めてジュリアの射撃用のスペースを作る。
ジュリアはサンダースから送られてきた敵戦車の位置情報を確認すると塹壕の底にライフルのストックを立てて射撃体勢を取る。距離、風向き、敵の移動方向と速度、高低差を計算して引き金を引く。
―――タァーン
軽い発射音を立てて三十ミリ対戦車グレネードが空に飛び上がった。




