(01-6)
その夜早速独身寮三羽烏は、茂山の部屋で対和義会議を開いていた。
現在出ている案は……
・和義の前では男の振りを徹底する
・スマホの待受を沙代とのツーショットにする
・沙代に佐門署に行かせ、和義の前で軽く雄翼といちゃつく
・柔道で叩きのめす
「まだ甘くないですか?」
「これ以上アイデア浮かばないよ」
突然、茂山はつばさの前で土下座した。
「え? なに? 怖いんだけど」
「……小野先輩。
……立ちションはできますでしょうか?」
つばさより先に与晴が激怒した。
「無理です! セクハラ発言です!
撤回してください!」
いつも通り守ってくれるが、いつも以上に嬉しかった。
彼に結局教えて貰っていない。
覚えたくも教わりたくもなかった。
それにすぐ戻れるものだと楽観視していた……
与晴の怒りを収めるべく彼はすぐに引いた。
「申し訳ありません。撤回します。
ただ、トイレは誰かと必ず一緒に行ってください。
個室は危ないので」
つばさはため息混じりに返した。
「……あいつが男に手出すと思う?」
女の時ですら手を出してこなかったのに。
「念には念を……」
「……わかった」
彼は土下座をやめない。まだ何かあるらしい。
「他は?」
「術科訓練の際の着替えとシャワー、
野郎どもと一緒にできますでしょうか?」
一人で使えるようにいつも時間をずらしてもらっていた。
それをその日だけやめるということだろう。
今度は与晴は怒らなかった。
茂山をすごい顔で睨んではいるが。
「えー……」
素直にOKとは言えなかった。今までわがままを聞いてもらっていたのだから、少しの我慢くらい必要だとも思う。
はっきりしないつばさに茂山は別案を出した。
「……なら、やつを誘って仕事の後四人でサウナに行くのは?」
与晴から即否定された。
「高温の密室で裸は危険です。ダメです」
つばさも拒否した。
「あいつと同じ狭い空間にいたくない。
茂と与以外の男は絶対無理!」
なんともいえない顔をする茂山と、ものすごい顰めっ面をした与晴。
茂山は更なる別案を提案した。
「なら、スーパー銭湯……」
与晴が茂山を止めた。
「なぜそうまでして宮田の前で脱がせたいんですか?」
「そうだよ。何したいの?」
至極真面目な顔をしているから、ふざけているわけでは無さそうだ。理由が知りたい。
「ひとつ、男どもの中で裸体を躊躇せず晒すのは、
心まで男になっていることの証明となる」
何となくわかる気がした。
「ひとつ、あいつ以上の男らしい肉体を見せつければやつはビビって諦める」
彼の身体を見たことはついぞなかった。
でもそんなことはもうどうでもいい。
離島勤務中に自然に下半身は鍛わった。
一度女に戻っても筋肉は落ちなかった。
筋肉フェチの葵には合格を貰っている。
女に現を抜かしたあいつより、いい身体に決まっている。
「わかった。術科訓練、着替えとシャワーはみんなと一緒にやる」
つばさの承諾を受け、茂山は話を進めた。
「俺が護衛に入る。与は極力あいつを雄翼から引き離せ」
「はい」
「よし。そうと決まれば、追い込みの筋トレだ!
上行くぞ!」
「は? 今からやるの!?」
夕食後の腹ごなしにはいいが……
「もちろん。筋肉は裏切らない!」
ストイックな茂山に二人は従った。




