番外編 翼の独白
これで最終話です。
この話の結論:やはり翼は生れてくる性別を間違った模様。
ピンクよりはブルーが好き。
スカートよりはズボンが好き。
長い髪よりは短い髪が好き。
可愛いと言われるよりは格好いいと言われた方が嬉しい。
それを、別におかしなことだとは思わない。
嗜好や感覚の問題だと思うから。
親は本人の好きに、という方針の人だったので、本当に好きに選択し、成長した。
その結果が、『王子様』と呼ばれる私になった。
かと言って、自分が本当に王子のような人間かと言うと、いやいや、と首を振るばかりだ。
別に、男になりたいわけでもなし。
まあ、きゃーきゃーとチヤホヤされるのは男子よりは女子のが好ましいのは事実だけれども。
だってむさい野郎に囲まれても嬉しくはない。
しかしながら、恋愛でいう好みであれば、向かう方向は異性であるし。
まあ、男女とからかってくる奴は論外だけれども。
そんな輩は後できちんと……、まあ、言わぬが花かな?
とにかく、将来自分が結婚するとしたら、こんな自分をまるごと受けいれてくれる包容力のある、いろんな意味での大きな男性かな、とは思っていた。
一目ぼれなんかしたことないし。
好ましいと思ったことはあっても、恋をしたことなんかなかった。
だから、正直意外だった。
この私が、君を好きになるだなんて。
悠斗を初めて出会ったのは、進学した高校。
悠斗は同じクラスで、私の後ろの席に座っていた。
第一印象は、綺麗な少年。
はっきり言って、それだけだった。
席が前後ということもあり、話をするようになって。
悠斗が度を超えたシスコンだということがわかって。
だけど、本当は血の繋がらない姉弟だと知って。
持っていき方次第では悠斗の想いも成就するんじゃないかなって思って。
だけどあまりの悠斗の不器用さに何度も笑ったり、ハラハラしたり。
姉の比沙子さん以外への女子への興味の無さ、無愛想さに呆れたり。
私に、だんだんと信頼の気持ちを寄せてくる悠斗の様子が妙に面映ゆかったり。
それは、まるで少しずつ積み重なるような。
そんな不思議な感覚で。
私はいつの間にか悠斗へ恋をした。
それを、悠斗に告げるつもりはなかった。
それよりも、あまりに長い悠斗の恋情が叶うよう、そう願った。
だけど、進んでそれに協力しなかった点に、自分の微妙な心情があらわれていたのかもしれない。
やがて、比沙子さんは恋を知る。
悠斗とは違う、悠斗と違って、比沙子さんに自分の想いをきちんと告げた、別の人に。
恋を失った悠斗の傷心は、私の心をも抉った。
それでも、比沙子さんの幸せを想う悠斗に、私の想いは膨れ上がった。
ああ、本当に君が好きだな、と。
不器用で、捻くれて、でもどこまでもその心根は綺麗な君が、とても。
だから、私も告げることにした。
君が好きだよ、と。
最近、悠斗が私のことを意識し出したことが手に取るようにわかる。
比沙子さんからは、応援してるからね、と声をかけられた。
鈍い比沙子さんにも気取られるくらい、あからさまだよ、君。
正直、手ごたえは感じるけれど、私は急がない。
比沙子さんへの想いより、私への心の傾きの比重が大きくなるまで。
そう、時が来たら、その機は逃さないよ。
だから、私はその時を楽しみに待っている。
ねえ、悠斗。
私は君が好きだよ。
だから早く、君も私のことを好きになって欲しいな。
お楽しみ頂けましたでしょうか。
お楽しみ頂ければ幸いです。
どうもありがとうございました。




