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昔書いた作品です。
完結しているのでコンスタントに投稿できればと思います。
「はぁ、はぁ……本当に、この山の……はぁ……頂上に、あるんだろうな……?」
一人の青年――淡い黄朽葉色の短い髪、琥珀色の瞳、小麦色に焼けた健康的な肌、百七十前半の身長――が急斜面の道を這い蹲るかのように登っていた。
若く、体力があっても、人間が足を踏み入れない獣道を登り続けていたら息が切れてくる。
しかも、半日も登っているのに目的地は一向に見えてこない。
文句の一つでも言いたくなるだろう。
「あるだろ。最後に見たのは三十年程前だけどな。まぁ、無かったら別の所に行けば良いだけだ」
「てめっ!」
「妹のためだろ? グダグダ言ってねぇで登れ」
青年が、急斜面の獣道から落ちないように支えとして手を突いている木。
その木の細い枝に、一人の少女が座っていた。
青年と似ている容姿だが、パーツはまだまだ幼い。
しかし、浮かべている表情は全てを悟りながら全てが面倒そうという、アンバランスさを感じさせた。
いくら幼い少女だとしても、子供の腕ほどの細枝に座れる訳がない。
重力を無視した少女は枝の上に立ち上がり、隣の木へと軽々と飛び移った。
まるで烏天狗のように。
「俺様だって、こんな窮屈な容れ物にいつまでも入っていたくねぇんだよ。それをお前が付いて行くって聞かねぇから連れて来てやったのに。文句たれる前にさっさと登れ」
小動物のように可愛らしい容姿からはとても想像できない言葉遣い。青年は嫌な顔をした。
「悪かったな! それと、容れ物って言うな! トモは人間なんだよ!!」
「はいはい。判ったから、足動かせ」
青年の主張をまったく聞かずに軽くあしらって、少女は隣の大樹へと飛び移った。
相手の反応に「くっ……」と歯を食いしばって我慢すると、青年は滑り落ちそうになる獣道を登るのを再開した。




