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プロローグ いつもの夜
スマートフォンの画面に、通知が三件重なっていた。
〈家族グループ〉
父:今日は寒いから、風邪ひくなよ
母:夜勤お疲れさま。明日の朝ごはん、二人分取っておくね
理江:お姉ちゃん今日も病院にいるの見た気がする。気のせい?
当直が一段落した休憩室の隅で、江理はその画面を眺め、小さく笑った。
妹の理江も、実習でまだ病院にいるはずだ。だから「気のせい?」は、たぶん気のせいではない。医大生の控室と、勤務医の当直室は、渡り廊下ひとつでつながっている。今夜もどこかですれ違っていたのかもしれない。
〈江理〉:見てないよ、多分。朝ごはん楽しみにしてる。でも今日はもう寝るから明日でいい
既読がつくのを見届けて、江理はスマートフォンをポケットに戻した。
特別なことは何も起きていない夜だった。
急患もなく、当直医としては珍しく静かな時間が続いている。
――今のうちに、少し眠っておこう。
仮眠室のベッドに倒れ込みながら、江理はそんなことを考えていた。
明日も、きっといつも通りの一日が来る。
そして、その夜――
初めまして、今から少しずつ初のファンタジーを書き始めます。
よろしくお願いします。✨




