プロローグ『数に入らない』
目にとめていただきありがとうございます。
睡眠障害で眠れないときに、頭の中でしていた妄想を整理して出来たお話です。
エタってしまうのが怖かったため、この物語は既に完結まで書いております(途中で2回ほどエタりそうになりました)
ただ、一気に投稿すると大変なので一日~二日間隔をあけて、投稿いたします。
一章一話を除いて、
時間は休日・祝日は十三時。
平日は十九時です。
時々九時の時もあります。
楽しんでいただければ幸いです。
三日目
その男は、三日、そこに座っていた。
水を飲んでいなかった。食べていなかった。
広場だった。石畳が敷いてある。かつては市が立った場所だ。今は、立つものが何もない。
城が、後ろにあった。屋根が落ちていた。
空は晴れていた。夕日が、瓦礫の間に落ちていた。
鳥は、いなかった。
◆
男の脇に、三人いた。
一人は、女だった。杖を持っていた。手を離した形のまま、指が開いていた。
もう一人も、女だった。荷袋を背負っていた。右手が、伸びていた。
伸びた先には何もなかった。掌ひとつ分だけ、何もなかった。
最後の一人は、男だった。剣を握っていた。
その剣は、刃こぼれ一つしていなかった。
三日、誰も動かなかった。
◆
膝の上に、板が乗っていた。
木の板だった。紙が挟んである。紙には、字がびっしり書いてあった。
三日、開かれていなかった。
◆
三日目の夕方、男は初めて動いた。
板を、開いた。
開いて、最後の頁に、三行書いた。
『フィーナ・ルクレール。魔導兵団第二』
『レイン・アルディス。騎士団本隊』
『ノエル・ミラ。第三救護班』
それだけだった。
年も、家族も、書かなかった。
書けなかった。
◆
書き終わって、彼は板を閉じた。
「……なあ」
彼は、そう言った。
誰もいない広場に向かって、言った。
「俺、なんで生きてるんだ」
答えは、なかった。
◆
その時、声がした。
「殺す価値がなかったからでしょ」
男は、顔を上げた。
瓦礫の上に、少女が座っていた。
いつからいたのか、わからなかった。足を、ぶらぶらさせていた。
そして、心底うんざりした顔で、こちらを見ていた。
「……最悪」
彼女は、そう言った。
「よりによって、あんたが残るとか」




