唐揚げとパンダさん
改めて、今回からあめが高校、現代に追いつきました!!
三章も頑張ります!!これからも応援してくれると嬉しいです♪
高校生になっても、案外変わらない時間ってある。
でも少しずつ、ちゃんと変わっている時間もある。
今回は、そんな休日の話です。
ーーー
すっかり、あめも高校生になった。
小さな手でサンタの服の裾を掴んでいたあの頃が、嘘みたいに思えるくらいに…
毎朝ばたばたと家を飛び出して、
友達と笑って、
課題に追われて、
「疲れたー!」なんて言いながらソファに倒れ込む。
忙しそうではあるけれどーー
その顔は、ちゃんと楽しそうだった。
季節は、何度も巡ったのだ。
あの泣いてばかりだった冬も。
手を繋いで歩いた雪道も。
少しずつ背が伸びていった春も。
全部を重ねて、今の高校生のあめがいる。
「二人ともそろそろご飯だよ」
「今夜は唐揚げだからね!」
キッチンから、雫の明るい声が響いた。
それを聞いたあめの顔が、ぱっと輝く。
唐揚げは、あめの大好物だ。
もちろん、サンタも。
キッチンでは、雫が後ろ向きでサラダの盛り付けをしている。
その隙に。
そっと、あめの手が伸びた。
ひとつ、
もうひとつ。
小さくつまみ食い。
その様子を、サンタはじっと見ていた。
(……何をしているんだ?)
首を傾げる。
すると、あめはサンタと目が合い、はっとした顔で頬を赤くした。
(……恥ずかしいことをしたのか)
サンタは、そこで気づく。
――なるほど。つまみ食いか。
人は、似た行動をしたり同調すると安心するものだと、100年ほど下界で生活してなんとなく学んだ…
ならば。
サンタも、そっと唐揚げに手を伸ばした。
ぱくり。
その瞬間。
あめが小さくガッツポーズ。
「あとひとつ、いいよ」
小声で囁く。
サンタは、静かにうなずいた。
――そのとき。
「あー!!サンタさんつまみ食い!!」
くるりと振り返った雫が、ぴしっと指をさす。
「あめもいるのに、ずるいー!っていうか、教育に悪いでしょ!!」
雫がサンタを叱った
(あめ?!)
サンタは、心の中で叫ぶ。
助けを求めて振り向くがーー
あめは。
くすくすと笑っているだけだった。
結局。
「あははっ!」
大きな笑い声が、部屋に広がる。
雫もどこか嬉しそうに笑った!
「サンタさんでも、つまみ食いするんだね」
その一言で、空気がふっと和らぐ。
――そして食卓。
「あれ?三つずつしかないよ?」
「これだけしか揚げなかったっけ?」
首を傾げる雫に、あめとサンタは顔を見合わせる。
もちろん、何も言わない。
ただ、少しだけニヤッと笑った。
休みの日の昼下がり、どこか遊びに行くにはラフだし、家着にしてはおしゃれな服を着たあめいる…
あわよくば遊びに行く気なんだろう。
しかし、
鏡の前で、あめが唸っていた。
「あー!できないよー!」
手には、メイクアイテムのアイライン…
どうやらメイクに苦戦しているらしい。
「見ないで!」
近づこうとすると、誰であろうと追い払う。
その様子を、少し離れたところから見ていたサンタは思う。
(…これも私が一緒にやるべきなのでは?!一人で苦戦してるから息詰まるし、恥ずかしい感情も出る…)
私も一緒にやれば、少しは安心できるのではないか?!
そう考えて、サンタは、雫に頼んでメイク道具を手に取った。
雫は雫でこの人は何を言いだしたのかと思ってはみたものの、メイクがしたいならどうぞ!と快く貸した。
そして、結果…
「ぶっーーなにそれ!!」
あめが吹き出す。
サンタの顔は、ひどいものだった
線はガタガタ!
アイシャドウは広がりすぎて、まるでパンダ。
明らかに、変だ…それでも雫は、くすっと優しい目で笑い。
あめも、ふっと頬を緩めた。
(こんな大きくて無口な人が…)
(こんなこと、するんだ!?)
なんだか、少しだけ可愛いと思った。
そして。
(…きっと私のために、やってくれたのかな?!理解不能だけど…)
そう思った瞬間。
胸の奥が、じんわり温かくなった。
不器用でもいい。
上手じゃなくてもいい。
ただ、自分のために気遣ってくれたサンタさんのその気持ちはちゃんと、届いているから…
しかし、メイクをしたサンタさんの顔は本当に面白い顔で、この日1番笑っていたのは雫だった
「だって、パンダでしょこれ」
「あはは」
唐揚げのシーン、なんか書いててニンマリしちゃいましたww
サンタさん、たぶん人生で初メイクです。
なお、壊滅的でした。
でも、あめがあんなに笑ったなら大成功かもしれません。
不器用な優しさもサンタさんぽさが出せたかなぁ?!
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