学祭と青春ラブコメ②
文化祭当日。
いつもと違う服装。いつもと違う教室。いつもより少しだけ近い距離。
でも――本当に特別なのは、きっとその前の時間だったのかもしれません。
準備して、笑って、ちょっと疲れて。
そんな《青春の途中》のお話です。
ーーそして学園祭当日、
「なおき君ネクタイ曲がってるよ」
「あ、本当だ」
「じっとして」
あめが背伸びしながら、なおきくんのネクタイに触れる。
黒いスーツ。
白シャツ。
少しだけ無造作な髪。
普段はどこか気の抜けた雰囲気なのに、今日のなおき君は、やけに執事っぽかった。
「あめちゃんありがとう」
なおきくんが少し照れたみたいに笑う。
すると次の瞬間。
「あとは自分でやるので大丈夫です…」
「?」
なんだか急に、なおきくんがきょろきょろしながら一歩離れた。
「いや学祭だからね?」
「ってか、なんでエル達二人もメイド服着てんの!!?」
となおき君が…
誰かと喋ってる?
明らかに誰かにツッコんでいる?
「え? 何が?」
「……あ、あめちゃんごめん。なんでもないよ」
なおきくんは誤魔化すように笑った
「なおき? 顔赤くない?」
神谷がなおきに聞いた。
「気のせいだよ」
そんなやり取りをしている間にも、教室は大盛況だった。
「お待たせしましたー!」
凪ちゃんがトレイを持って歩いていく。
ふわっと揺れるスカート。
慣れないヒールに少し危なっかしい足取り。
でも、それすら学祭っぽい。
「凪ちゃん普通に似合うね」
「でしょ?! これ家でちょっと練習した!」
「気合い入ってる…」
「ってか、あめも可愛すぎじゃない?」
「え?!」
あめは慌ててエプロンを押さえる。
いつもより少しだけ短いスカート。
白いフリル。
ゆるく巻いた髪。
鏡で見た時も、ちょっと落ち着かなかった。
「なんか…露出多くない?」
「学祭補正ってやつ!」
「それ男子が喜ぶやつじゃん…」
すると。
「うわ、あめ今日やば」
神谷がジュース片手に現れた。
黒スーツに細いネクタイ。
普段うるさいのに、今日は妙にサマになっている。
「神谷、なんか腹立つくらい似合うね」
「だろ?」
「なおきも普通にイケメン寄りなの腹立つんだけど」
神谷がいつもに増してテンションが高い
「やめてー」
なおきくんが真顔で返す。
でも。
いつも制服で見ているからだろうか。
スーツ姿って、なんだか少し大人っぽく見える。
普段とのギャップで、空気まで違って見えた。
しかも学祭だから、みんなどこか無防備だった。
女子は髪を巻いていたり、男子も普段より笑っていたり。
教室の外からは、焼きそばの匂いと、吹奏楽部の演奏が混ざって聞こえてくる。
「あーもう、青春って感じする!」
凪ちゃんが机に突っ伏す。
「わかる」
「なおき君、こういうの楽しい?」
あめが聞くと。
なおきくんは少し考えてから、
「……準備してる時の方が好きかも」
と言った。
「えー?!」
「文化祭前の放課後の方が、なんか特別感ない?」
その言葉に、あめは少しだけ目を丸くする。
ああ。
こういうところ、やっぱり落ち着くなと思った。
みんなが《当日》を見てる時に、なおきくんはその前の楽しかった空気をちゃんと覚えている。
今が嫌なわけじゃ無くて、少し先の未来に怖気付く気持ちもあめにはよく分かる…
段ボールを運んだり、居残りしたり、ペンキが顔についたり、どうでもいいことで笑った時間を。
「……わかるかも」
気づけば、自然とそう返していた。
文化祭って、
当日も楽しいんですけど、
準備してる時の放課後って妙に記憶に残りますよね。
段ボール運んだり、
飾り付けしたり、
どうでもいいことで笑ったり。
なおきはたぶん、そういう《途中の空気》が好きなタイプなんだと思います。
実は、私が当日行きたく無くなるタイプだったからww
そして学祭補正って怖いですね。すぐ楽しいが更新されるからw
次回もよろしくお願いします。
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