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夕方の風と香辛料

放課後。


駅前のケバブ屋さんで、みんなで笑いながらおやつを食べるだけの時間。


でも、そういう何気ない時間って、案外ちゃんと特別なのかもしれません。


特別なんですよね!!



「なおきくん食べすぎ」


そう言った瞬間、テーブルがまた笑いに包まれた。


神谷は

「いや三個は才能」とか言ってるし、


凪ちゃんは

「もうそれ、おやつじゃないじゃん」って笑ってる。


なおきくんは、

「そんなに変かな……」って困った顔。


でもその顔がちょっと嬉しそうで、なんかこっちまで笑ってしまう。


駅前の風が、ふわっと流れる。


スパイスの匂い。

焼けたお肉の香ばしさ。

知らない国の音楽。


人通りの多い駅前なのに、今いるこの場所だけ少し違う空気みたいだった。


「……なんかさ」


凪ちゃんがケバブを持ったまま言う。


「なおきくんって印象変わったよね」


「あー、分かる」


私はすぐ頷いた。


神谷も「それな」と笑う。


少し前までのなおきくんって、輪の少し外側にいる感じだった。


話しかければちゃんと話す。

優しいし、面白い。


でも、自分から中に入ってくることは少なかった。


放課後も、気づけばふっと一人で帰ってるタイプ。


なのに今日は、


「今日も凪ちゃんと話してる時、その店知ってる!って話に入ってくれたもんね」


「しかも、ケバブ三個」


「それは量の話でしょ!あめちゃん酷いなぁー」


凪ちゃんが笑う。


「でも、なんか今日のなおき君、楽しそうじゃない?」


その言葉に、私は少しだけ目を丸くした。


「…確かに」


なおきくんは、楽しそうだった。


無理してる感じじゃなくて、ちゃんと自然に。


前みたいに、空気に合わせて笑ってる感じじゃなくて。


自分から笑って、自分から混ざってる。


「……いいことじゃん」

私は小さく言った。


神谷が、「保護者みたいな顔してるぞあめー」

って笑う。


「してないし」


「してるって」


「してない」


でも。


少しだけ、安心してるのは本当だった。


「なおきくんって、時々びっくりするくらい一人で抱えるからね」


「その時は無理せず私らに頼るんだぞ!」

あめが胸を張っていった


大丈夫そうに笑うし、人にも優しいし、ちゃんとしてる。


でも、たまにふっと、自分は別にいなくてもいいみたいな顔をする時がある。


だから。


今日みたいに、「僕も行きたい」って自然に言えたこと。


みんなと一緒に笑ってること。


それが、なんだか私は嬉しかった。


「……ねえ」


凪ちゃんが急にニヤニヤしながら顔を寄せてくる。


「な、なに?」


「あめさんさぁ…」


嫌な予感。


「なおき君のこと好きでしょ」


「ぶっ――!?」


神谷が爆笑した。


「直球すぎんだろ!」


「いやでも気になるじゃん?」


「気にならん!!」


「違うってば!」


顔が熱い。


絶対今赤い。


「てか凪ちゃんは?!」

私は誤魔化すようにすかさず反撃する。


「え?」


「神谷といつも距離近くない?!」


「は!?ないないない!」


今度は凪ちゃんが赤くなる。


神谷が横で、「え、ワンチャンある?」

とか言い出してさらにカオスになった。


「もおー、やめてよー!!」凪ちゃんが怒った


「あはははは!」なおき君も笑った


騒がしい。


でも、嫌じゃない空気


前までは、こういう空気って少し苦手だった。


誰かに合わせて、盛り上がって、テンションを揃える感じ。


女子グループ特有の空気とか、空気読まなきゃみたいな感じとか…


疲れる時もあった。


でも今は違う。


無理に盛り上げなくても、誰かが勝手に笑う。


変な沈黙があっても、誰かが自然に崩す。


ちゃんと、そのままでいられるんだよね!


「……あ」


気づけば、なおきくんが誰もいない方向に向かって笑っていた。


――まただ。


なおきくんは、時々そういう顔をする。


すごく優しくて、すごく安心した顔。


私はその横顔を見て、少しだけ思う。


…なおきくんには、ちゃんと居場所があるんだなって。


それが、少し嬉しい。


「ねえ!トルコアイス行くんでしょ!」


神谷が立ち上がる。


「行くー!」


凪ちゃんも続く。


私は立ち上がりながら、

なおきくんを見る。


「なおきくん、自分が言ったのに置いていかれるよー」


「あ、待って!」


その声に、

またみんなで笑った。


駅前の風が吹く。


甘いアイスの匂いと、香辛料の残り香が混ざって、夜の街へ流れていった。


ここまで読んでいただきありがとうございます!


今回はかなり「青春の日常回」でした。


なおきが少しずつ自然に輪の中へ入っていけるようになっていたり、あめ達も無理しない空気を作れていたり、個人的にも書いていてすごく好きな回でした!


ケバブ三個は食べすぎです。

ミニエルとエルなんですけどねww


もし続きが気になったり、キャラ達の日常をもっと見たいと思っていただけたら、ぜひブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです!


あ!!そろそろ後半戦…

私もバトルに向けて(バトル?)頑張って書いてます!!


楽しみにしててくださいね♪

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