8月2日-2
そして、ひと通りゲームセンターで遊び終わると、最後にもう一度プリクラを撮りたいと男が言ってきた。その顔は本当に悪巧みをしているような顔だった。そして、志穂は一度、車に連れて行かれた。
車に着くと、女がメイク道具のようなものを用意して待っていた。
「はい、まず前髪とめるよ。」
最低限の身だしなみをと思い、巻いてきた前髪をあげられ、止められてしまった。そして、鼻フックを外され、まず、顔を白く塗られ、眉毛は太くなり繋げられ、泥棒髭をかかれた。そして、鼻の穴のふちも黒く塗られ、鼻の穴を大きくされた。さらに、ほっぺは赤くぬられ、おでこには「奴隷」と書かれた。
次に口を開けるよう言われ、上の前歯2本も黒く塗られお歯黒のようにさせられた。
これらのことは
「完成〜!!!(笑)どう?いい顔してるよ?見てごらん?」
と女が手鏡を渡してきた時に初めて気づいた。
「!!!!!!」
衝撃のあまり言葉が出なかった。
これが私…?
顔にはもう肌色の部分がないし、奴隷という文字もでかでかと書かれている。これが私だと信じたくなかった。
さらに、服はブルマに首輪をさせられたままだ。
そんな自分を見て、涙が流れてきた。
車を出てプリクラへと向かった。ピースを強要され、ピースをしてプリクラを撮る。その後もコマネチのポーズや首輪にぶら下がった鼻フックを再度つけられて写真を撮られた。
なんとも屈辱的だった。最後、そのままゲームセンターを出て車へ歩かされたが、本当に目が合う人全員が笑っており、本当に奴隷に成り下がった気分だった。
帰りは、駅前で下ろされ、顔に落書きをされ、ブルマを着て、鼻フックをした状態で家まで帰らされた。行きにきて行った服は返してはもらえたが、着てはいけないようだった…
帰宅途中には何人か話しかけられたが、恥ずかしさで頭が回らず、何も返せなかった。
家に着き、落書きを落とそうと洗面所に行き、鏡を見ると無性にも涙が出てきた。
真っ白にされた顔、太く繋げられた眉毛、バカっぽく書かれたほっぺの赤い丸、太い泥棒髭、フックで広げられた鼻の穴、そして、おでこに書かれた奴隷の2文字…
さらには、乳首が浮き出して、お尻がはみ出てるブルマ…
本当に奴隷になってしまった…と心の底から惨めな思いをした。
鼻フックを取り、落書きを落として、お風呂に入った。そして、歯磨きをしてお歯黒も落とした。
本当に最悪な日だった。
つい最近上京してきたお淑やかな志穂には全く予想のできないようなことをされた。こんなことになるなら田舎で平凡に暮らしていたかった。そう思った。
これが明日も続くと思うと死にたいとすら思ったが、あと29日の辛抱だと思って頑張ろうと決めた…