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225/225

225.懺悔の時間と神格存在との付き合い方

「どういう事だ、何だそれは!?どうなっているのだ!?」

「リティシア様に加えクルシュミナ様まで!?」


神ニ柱を仲間とした魔王がリーダーのパーティー。

なんと非常識なパーティーだろうか。


「おい妖木、勝手にバラすな。」

『すまないね。この際荒療治に付き合って欲しい。リティア君の為なら、君も協力してくれるだろう?』

「それなら仕方ないな。」


リティア君を出汁に使えば、クルティナ君は簡単に落ちる。

案の定クルティナ君も即承諾。

チョロい。


「そ、それよりも・・」

「ク、クルシュミナ様は・・男神なのでは?」


あ、そっちにも驚いてたのか。

聖書の中では性別不詳だったが、基本的に男として扱われていた。

間違いなく作者の絵師の趣味である!


だが、目の前にいるクルティナ君は、リティア君に引けを取らない超美人さんである。

それは混乱もするだろう。


「ワタシは女神だ!間違えるな!」

「ヒッ!」

「クルティナ、わたしの信者を怖がらせないでね。」

「ハッ!?申し訳ありませんリティア様。」


チンピラの親分と子分みたいだ。


『多分リティア君が、クルティナはカッコいいとか、怒らせると怖いとか、そんな感じの事を漏らしたのではないか?それで、聞いた者が男神と勘違いしたのだろう。』


いつの時代の話か分からないので、過去の教皇とか、たまたまリティア君が顕現した時に居合わせた人の勘違いだろう。

 

つうか、迂闊に神様仲間の情報を漏らすんじゃないよ。

多分リティア君、下界に顕現して普通に駄弁っていたのではないか・・。

女神の降臨が、単なるお茶会参加に格が下がっていた気がする。


気軽に呼べる女神って駄目だろ!


「まさか、本当に?神であるぞ?何故?何故神が魔王と共にいる?」

「そうである!おかしいではないか!何故、何故神が魔王に従っている!?」

「立場が逆であろう!?」


そこショックだよね・・。

ただ、それは私にも判らないのだよ、マジで。


クルティナ君にしても、ゼムノア君にしても、リティア君が何故か私に懐いて離れないので仲間になっただけだからね。


『あー、それは成り行きなのだよ。少々特殊な事情なので説明は出来ないが、一つだけ言えるのはリティア君が勝手について来た。引き剥がそうとしても無理だった。それだけだ。』


リティア君が秘書として纏わり付いて来たのを発端に、鑑定スキルの中の人であるクルティナ君が声だけ加わり、ゼムノア君の封印解いて、死神召喚のスキルでクルティナ君が実体持っちゃったってのが実情なのだが、そんな現実離れした話を聞かせても仕方がないので秘密とした。


「シャチョー様とわたしには、切っても切れないピンクの糸が繋がっているのです。うふふ」


うふふではない。糸の色はせめて赤と言いたまえ・・。


『君が無理矢理纏わり付いてきただけではないか。』


秘書取れ秘書取れ、と呪いの言葉が頭の中にずっと響く苦痛から逃れる為に秘書スキルを取得し、その後はアリサに脳内彼女と会話するキモいオッサンじゃないと証明する為にレベル3にした。

その後は秘書スキルを解除するとクレームの嵐である。


これが赤い糸なのか?

私には呪縛の怨鎖にしか思えないのだが。


「照れてるのですね。好き。」

『ポジティブ!』


「うわあああぁぁー!聞きたくなかった!聞きたくなかった!」

「うわあああぁぁー!聞きたくなかった!聞きたくなかった!」


教団とクルティナ君が、全く同じ反応示していた。

耳を塞いで床の上でのたうち回っている。

仲が良いな君達・・。


「そんな筈がない。これは、これは悪夢だ!魔王に悪夢を見せられているのだ!」

「そうです!それ以外に説明がつきません!」

「リティア様は魔王に唆され、洗脳され、囚われているのだ!」


そんなスキル持って無いよ。

それとやっぱり洗脳って単語出てきた。


ゼ ム ノ ー ク ス と 一 緒 の 流 れ !

もういいよソレ。


何で受け入れ難い現実に直面すると、陰謀論広げて他人のせいにするかなぁ。


大体、神様が魔王ごときに洗脳される方が間違ってる。

偉大なる神様なら逆に洗脳し返さないと。

魔王ごときに負けちゃ駄目だろ神様は。


『残念だが、それは現実逃避だよ。その証明もある。』

「まさか、やめて!もう聞きたくない!」


残念だがそうはいかない。

逃がさないよリティナス教。

ここはキッチリ現実を認識して貰って、今後の聖書制作に活かして貰わねばならないのでね。

私は本気だ。




秘書スキル解除



「ちょ、シャチョー様っひど・・」


「消えた?リティシア様!?」


秘書スキルを解除したことにより、リティア君が神界に強制送還される。

するとどうなるか?


こうなる。


『ひーん、酷いですぅ!突然秘書を切らないでー!』


そう、リティア君なら簡単に()()()()を使う。

そして焦って迂闊にも専用回線ではなく、周囲にも聞こえる神託を使う。


コラ、秘書スキルの存在をバラすんじゃない!

だが、その声のお陰で神の存在の証明となる。


『元に戻してー!秘書!秘書!』

「こ、こ、こここ、これは御神託!?」

「あ、ああ、あああああ!」


神託通話と思念通話は性質が違う。

思念通話は声として脳に響いて聞こえるが、神託通話は心に響く。

まるで自分の存在に問い掛けられるように、揺さぶられるように届くのだ。


だから分かる。分かってしまう。

その声が超常の存在からのメッセージだということを。


そして、その言葉が真意である事が理解できてしまうのだ。

それは揺るぎ無い証明となり、彼等の信じてきたものを根底から覆す。


信託の内容が聞くに耐えないが・・。


『これで判ったかね?リティア君が女神である事が。そして、リティア君が自分の意思で私について来ていることが。私が神界に追い返そうとするとコレだよ?どこに私が洗脳してる要素があるかね?』


ここまでやったら、もう逃げ場はない。

受け入れ難い現実から、目を逸らす事は出来ない。


そうなると次に彼等には押し寄せる感情がある。


そう、それは懺悔。


「嘘、嘘よ・・じゃあ私達は今まで・・」

「リティア様にとんでもない事を言っていなかったか・・?」

「リティシア様に・・いや、リティア様に何て事を・・。」

「ああ・・ああああ・・。」


これまでの言動を思い出して青褪める教団サイド。

懺悔の気持ちに頭を抱えて、震えながら蹲る。


抗い難き自責の念。

取り返しのつかない失態。

心臓が締め付けられ、視界が暗転し、全身が凍り付いたかのような錯覚を覚える。


絶対にやってはいけない事を何度もやってしまっていた事に、否応なく気付かされたのだ。


『シャチョー様、秘書!秘書!』


ええーい、うるさいなリティア君!

今良いところだから黙っていてくれたまえ!


『そうだね。本物の女神様に、似ても似つかない紛い物だとか、男に媚びへつらう肉しか食べない穢れた妖精だとか、醜悪な心根だとか、ボロカス言ってたねー。』


取り敢えずリティア君の仇討ちを含めて、事実をありのまま反芻させてあげよう。

これくらいで溜飲を下げてくれると有難い。


「いや、おじさん、それ今言う?エグいんですけど。」

「ド、ドドド、ドン引きの追い討ち・・。」

「そんな事だから鬼畜とか悪辣スキルのレベルが上がるのだ。」


うるさい!


『シャチョー様、秘書!秘書!秘書!』


こっちもうるさい!


「私達は何て事を・・。何て事を・・。」

「リティア様、嗚呼、御許し下さい!御許し下さい!」

「リティシ・・リティア様を罵倒し、侮辱する等、万死に値する!ああっ!ああああああ!」

「ひ、ひぐっ、死をもって償う他無い・・。」


あーやっぱり酷い悲壮感を漂わしている。

懺悔の言葉も涙でまともに紡げずにいた。

そこまで思い詰める必要はないのだがね。


『そんなに思い詰めないで欲しい。誠意をもって謝れば許してくれるはずだ。』

「え?」


悪口を言ったくらいで何を大袈裟な。謝ったら済むことではないか。

リティア君はそこまで狭量ではないよ。


『そもそもリティア君とリティシア様は、似て非なる存在だからね。』


「は?」


ん?解っていないようだね。

説明が必要かな?


『シャチョー様、秘書!秘書!秘書!秘書!』

『ダァー!秘書秘書うるさーい!』


空気を読みたまえ!

って、リティア君に対しては、そんなの無理な要求だった!


もう良いだろう。秘書スキル起動


「戻れましたー!」


あ、妖精姿で顕現した。


「あ、リティア帰ってきた。」

「リティア様!」


復活したリティア君の姿を見た瞬間、リティナス教団四人が駆け寄る。


「ああリティア様、私共が間違っておりました。どうか、どうか御許しを!」

「この償いはどんなことでもお望みのままに!」

「何卒、何卒御慈悲を御願い致します!」


どこかの学長も見惚れる程の、見事な土下座だった。

土下座って、この世界でもあるんだな・・。

誠心誠意の謝罪を試みるリティナス教団。

本当に許して欲しい人の必死な顔をしている。


知らなかった事だし、見た目は違うし、仕方ない過失だ。情状酌量の余地がある。

罵詈雑言と侮辱の嵐だったと言えど、実質的には被害は軽い。


そしてリティア君はあー見えて懐が広い。

おおらかな性格なので、ネチネチ引き摺らないし、すぐに忘れてしまう事だろう。

ここまで必死に謝罪する姿を見れば、反省しているのは明白なのだし、許してあげても良いのではないか。



「え?無理ですぅ。」


はい、許しません!


懐狭っ!

度量浅っ!


「「「「!!!」」」」


絶望が貫き絶句する。

聞きたくなかった返答を聞いて、平伏したまま硬直していた。


「だってバカにしたじゃないですか!わたしの事バカにした!許しません!」


流石はリティア君だ。

赦しを請う敬虔なる信者だろうと、バッサリ切り捨てプリプリ怒っていた。

女神なのに心が狭い。


だが、素直だ。

言ってやりたまえ。君の気持ちを。

神だって怒るし傷付くし、泣きたくなるのだと。


「とても辛かったんですから!」

「も、申し訳ありません・・。」


「とても悲しかったんですから!」

「面目次第もありません・・。」


「信じて貰えないのは辛いですぅ!ひーん!」

「・・・申し訳・・ありません。」


謝罪を受け入れない理由は、あまりにも子供っぽい理由だった。

だが、それ故に真っ直ぐ重く、容赦なく彼等を打ちひしぐ。

純粋に辛かった、嫌だった、悲しかったと訴えるリティア君。

素直な気持ちが伝わってくる。


信じた者から浴びせられた罵倒の言葉は、リティア君を傷付けていたのだ。


ただただ平伏し、謝罪の言葉を紡ぐことしか出来ないリティナス教団の背中は、とても小さかった。



私はこの世界に来て神という超常存在を身近に感じるようになったが、能力が桁外れに凄い事を除けば、中身はそこら辺にいる一般人と大差ないと感じている。


不老不死だったり、時間止めたり戻したり、色々出来るし、食事もトイレも風呂も要らない完成された存在だ。

だが、()()()()である。


普通に会話できるし、笑うし怒るし泣く。


習性としては、個で完成完結してるので、他者に頼る必要が一切ない為、他者の目や価値観や都合を全く気にしない傾向が強い。

疎まれようと、蔑まれようと、拒絶されようと、排除されようと、一向に構わない。困らない。

だから他者の都合など考える必要がないのだ。

それで空気を読まない突飛な発想や行動を、何の躊躇いなくする。

これが神格存在の習性である。


考えたら理解はできる。

なんと思われようと、どうせ千年もすれば、その時の事なんて覚えているヤツは誰もいないのである。

気にするだけ無駄な労力。

不老不死の存在とはそんな気の長い孤独な種族なのだ。


だから私は彼女達の事を、こう捉える事にした。

神とか種族とか、そんな属性を抜きにして、

「そういう個性を持った単なる一個人」と、思うことにした。


理解できない部分はあるが、それは動物や異文化人等と変わらない。

大切なのは、理解出来ない部分を尊重する事。


だから私はリティア君やクルティナ君達の奇行を許容するのだ。

同時に馬鹿にして、憎まれ口叩いて、最後に笑い飛ばす。

それで良いのだ。


「変わった友人」と思って接しているので、彼女達がどんな属性や肩書を持っていても関係ない。

バカな事をしたらバカにして、迂闊な事をしたら怒って良い。

自然に接していれば問題ないのである。


なので、ここは大人げないリティア君を宥めて、間を取り持つ事にした。


『リティア君、許してあげたまえ。』

「シャチョー様・・わたしが酷い事を言われていたのをどう思いましたか?」


ん?何かね、怒りを共感して貰いたいのかね?

では素直な感想を述べようか。


『リティア君がボロカス言われてると、私の気持ちを代弁してくれているようでスカッとした。もっと言えと思った。』

「リティアがボコボコにされてるのが面白くて仕方なかった。」

「リティア様がガチに凹んでる姿がグッと来ました!」

「リ、リ、リティア様闇落ち展開キタコレと思いました。」

「信者は赦しますが、あなた達は許しません!」


リティア君が皆をポカポカ叩いて回った。


「あははは!ちょっ、リティア、ゴメンってば。冗談よ冗談!危なっ!」


アリサはリティア君のポカポカを巧みに躱して飛び回っていた。


「リティア様のそんな所がかわいいのです。」


いや、クルティナ君?君、肩が外れてないかね?

叩かれた場所が不自然な方向に曲がっているよ?


ポカポカの威力が全然可愛くないのでは?

じゃれ付きとかそんなレベルを超越した猛攻だよそれ?

よくそんな優しい笑顔が出来るね君は。


「リ、リティア様痛い!ボ、ボクだけ殺意強くないですか!?」


ゼムノア君は戦慄の表情で、本気で躱していた。

うーん、見た目と威力に差があり過ぎる狂気のじゃれ合いだ。

ちなみに私は魔法障壁Lv6で防いでいる。


ま、これは私達独自のコミュニケーション方法だ。

冗談だと判っているから、リティア君は傷付かない。

その証拠に、微笑んでいたからね。


威力が笑えないのだが・・。


ただ、どさくさに紛れて信者は赦されていた。


「お許し頂けるのですか!?」

『リティア君が許すと言ったのだ。君達にもう罪はないよ。立ち上がりたまえ。』


うん、やはりおおらかだなリティア君。



さて、リティア君のお許しも出たことだし、話を元に戻そうか。

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