新田剣丞の弱点
剣丞視点
金ヶ崎の退き口
それは作者いわく、信長最大の撤退戦とも言われる歴史事件である。
信長は同盟者である浅井長政と共に朝倉を討とうと出陣するが許可なく勝手に浅井領に入ったからか、長政に裏切られ、浅井朝倉に挟み撃ちにされてしまう。
罠に気づいた信長はこっそり逃げようとし殿として引き受けたのが木下秀吉(後の豊臣秀吉)と明智光秀と言われている。
この世界の浅井長政は眞琴だから金ヶ崎の退き口は起きないと思っていたけどまさか発生するだなんて!?
しかもイベントに必要なキーパーソンである光秀は城に残っている。
もう一人のキーパーソンである秀吉(ひよ子)はいるがひよ一人で切り抜けられるわけがない。
そう察した俺は久遠を逃がすためを兼ねて殿に参加したんだ。
まぁ結果的に剣丞隊全員と一葉達まで巻き込んじまったけどね
剣丞「いよいよ金ヶ崎の退き口が発生するのか!? 」
考えてみれば俺はおろか作者である西森すらも金ヶ崎で秀吉と光秀がどうやって撤退したかは知らない
下手したら歴史とは裏腹に死ぬ可能性がある。いや、確率が高すぎるのだ。
回りは浅井朝倉に囲まれ、こちらは少数の軍勢で援軍は無し
この状況から見て殿をつとめるなんて自殺行為に等しいんだ。
剣丞「みんな、そんなに死にたいのかね 」
俺は後ろにいる仲間達にそう言うと
全員『(お頭・剣丞様・ハニー・剣丞・ご主人様・主様・)に言われたくない!! 』
バァンッ!!
みんな口を揃えてそう言うのだった。
足軽「大将、儂らはもう覚悟はできてるだぎゃ 」
足軽「この命、大将や御館様(久遠)のためならいつでも捨てる覚悟ですみゃあ 」
こいつら…、顔どころか名前すら出ない足軽達のくせにメインキャラ張りの名台詞を言いやがって
泣かせるじゃねぇか!
剣丞「よしお前ら!必ず絶対生きて尾張(現在の愛知県)に帰させてやるからな!! 」
全員『おぉーっ!! 』
俺達は士気を高めるのだった。
天邪鬼視点
にししっ♪作戦大成功♪
こうもうまく行き過ぎちゃうと逆に怖くなっちゃうな♪
足軽「天邪鬼様、全軍配置につきました。いつでも進軍できます 」
天邪鬼「ごくろうさん♪ 」
今のボクは化神ちゃんの術によってこの場にいない長政の代わりに浅井軍の大将をやってるんだよね
おかげで兵達はみんなボクの指示通りに動いてくれるわけなのさ
その化神ちゃんは長政と共にいる
天邪鬼「しかし、なかなか攻め落とせないものだねぇ 」
足軽「敵軍には名軍師と呼ばれる竹中半兵衛がいますからね 」
半兵衛か、確かに厄介だ。
ボクらは強さはあっても頭がない。鬼は攻めることしかできないし、化神ちゃんはこの場にいないし頭脳で勝てるわけがない
天邪鬼「まぁボクにいい考えがある。新田剣丞は本人も知らないと思う弱点が二つあるからね 」
足軽「弱点ですか? 」
その点をつかせてもらうよ
剣丞視点
剣丞「見事な采配だぞ詩乃 」
詩乃「戦いを勝利に導くのが軍師の役目ですので 」
正直に言うと詩乃がいなかったらやばかった。
鬼が相手だってのにすごい軍師だ。
ひよ子「お頭、あくまで殿は敵に勝利するのが目的ではなく久遠様が戻る時間を稼ぐのが狙いですからね 」
剣丞「わかってるよ 」
そう何度も何度も言わなくてもさ
何とかこのままいける!
そう思ったその時だ。
天邪鬼「あ〜、ただいま拡声器の試験中!拡声器の試験中! 」
突然浅井朝倉軍から妙な声が流れてきた。
拡声器の試験中?
現代で言うならマイクのテスト中ってわけか
天邪鬼「織田軍に告げる。ボクは鬼軍五鬼の一人である天邪鬼!この軍の総大将でもある。 」
やはり眞琴変貌には鬼が絡んでいたわけか
天邪鬼「これから君達に面白い余興を見せてあげよう 」
余興?
一体何をする気だ?
すると
スッ!
天邪鬼の近くに縛られた浅井軍の足軽達が並ばれると
天邪鬼「お前達は織田軍を逃がしてしまった。よってその罪は死で償って(つぐなって)もらう 」
何だって!?
足軽「か…勘弁してください!?うちには嚊と子供が俺の帰りを待って…!? 」
天邪鬼「うるさい 」
ズバァッ!!
足軽「がっ!? 」
天邪鬼は容赦なく足軽の心臓をひと突きした
天邪鬼「さっさと一人で出てこい新田剣丞!さもないと多くの足軽が死ぬことになるよ! 」
この光景を見せられ、俺が黙っていられるはずかなく
剣丞「やめろぉっ!! 」
バッ!
詩乃「剣丞様!? 」
詩乃が止めるのも聞かないで俺は向かっていった。
天邪鬼「およよっ!すぐに出てきちゃったよ。馬鹿じゃないの? 」
剣丞「うるせぇ!!出てきたんだからやめろ!! 」
俺がそう言うと
天邪鬼「フフフッ!新田剣丞の弱点その壱・人の生死には敵であろうが黙って見てられない 」
天邪鬼は何かを言いやがった
そして
天邪鬼「そんでもって弱点その弐! 」
バッ!
天邪鬼が手を挙げた瞬間!
シュパパッ!!
剣丞「なっ!? 」
織田軍陣営に矢が放たれ
足軽達『うわぁーっ!? 』
大勢の足軽達が犠牲になった。
天邪鬼「これが弱点その弐・一人での戦いに慣れすぎてしまい、自分以外が見えていない 」
確かに天邪鬼の言う通りなのかもしれない
俺に限らず作者が執筆した小説の主人公の多くが基本1対1の戦いであり集団戦を経験していないのだ。
天邪鬼「おいおい、また生死にかまけて余所見してるよ! 」
バッ!
剣丞「しまった!? 」
俺はつい余所見をしてしまい天邪鬼の攻撃を受けそうになるが
ズブシュッ!!
天邪鬼「えっ? 」
足軽「ぐふぅっ!? 」
天邪鬼の攻撃は俺をかばった足軽が代わりに受けてしまった。
剣丞「あ…あんた!? 」
何で俺をかばって!?
足軽「た…大将は必ず生きて帰らなきゃならんだぎゃ…!? 」
がくんっ!!
そう言って足軽は息を引き取った。
天邪鬼「ちっ!雑魚ごときが邪魔してくれちゃって!!次で仕留めてやるじゃん! 」
雑魚だと、あいつは雑魚なんかじゃねぇ!!
天邪鬼「くたばるじゃんっ!! 」
天邪鬼は足軽を抱き締める俺目掛けて攻撃してきた。
だが
ドキュンッ!!
天邪鬼「がっ!? 」
突然天邪鬼の頭に何かが当たり、奴が怯んだ隙に
ダッ!
天邪鬼「あっ!?こら待て!! 」
俺はすでに死んでいる足軽を担いでみんなの元に向かっていった。
天邪鬼は追撃しようとするが
小波「フッ! 」
ぼわんっ!!
天邪鬼「のわっ!? 」
小波「ご主人様、今のうちです! 」
剣丞「サンキュー小波! 」
バッ!
小波が煙幕弾を放った隙に逃げ出す俺であった。
天邪鬼「ちきしょう!!新田剣丞め、よくもボクをこけにしたな!!この恨みは百倍、いや、千倍、万倍にして返してやるからな!! 」
それからしばらくして
詩乃「何をしてくれるんですか剣丞様!! 」
剣丞「ご…ごめんなさい!? 」
俺は先程の行動について詩乃に怒られていた。
詩乃「剣丞様の性格は承知していますが大将自ら出ていかれる戦なんて聞いたことがありません!! 」
幽「そうです。無鉄砲なのは公方様だけにしてください 」
一葉「そうそう。無鉄砲は余だけに…何を言うか!! 」
確かにさっきの行動は大将にしては軽はずみだったかもしれない
転子「そういえばさっきの種子島(鉄砲)は何だったんでしょう? 」
その事に話題が移ると
幽「それなら心配ありません。そちらにいるのでしょう。出てきなさい 」
幽がそう言うと
ザッ!
茂みの中から三人の女の子が現れたのだった。




