行方知らずの声
俺ーーー園家悠一はいつもとなんら変わりのない登校路を歩いていた。
そんな頃、俺の頭の中に聞き覚えのある声が入って来た。
『悠一、久しぶりだね」
え。この声は優奈、だよな?
でも優奈は2年前から行方不明になっていたんじゃ。
「お前は誰だ」
『私だよ。優奈だよ』
やっぱりこの声は・・・・生きていたのか。
でもどこから声が聞こえているんだ?
「優奈、優奈は今どこにいるんだ?」
『私はね・・・・まだ言えないかな」
なんだそれ。2年間もどこにいたんだ。
また頭に声が届く。
『悠一はさ、私に会いたい?』
「当たり前だ!どこにでも迎えに行くから、どこにいるんだ?」
俺は優奈のためだったらどこまででもいける、それは本当のことだ。
俺はかつて彼女のことが一人の女性として好きだった。
そんな彼女にまた会えるのだったら、俺はなんでもできる。
『ほんとうに?』
「ほんとだ!」
『わかった』
優奈がそう言うと、魔法陣らしきものが俺の足元に出現した。
「なんだこれ」
俺の出して声に通りがかった人がこちらを見るが、一度見ただけでそのまま歩いて行く。
もしかしてこれが見えていないのか?
そしてそう考えた刹那、俺は光に包まれてこの世界から消えた。
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