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第7幕 オツ姫物語

♪チャンチャン・スッチャ・チャンチャンチャン・・・


「うわ~っ、スゴイのです!」

煌びやかな光と音楽のパレード。

ジェットコースターの上から見えたお城に向かっていたプリンたちの前にはだかったのは、メインストリートを華やかな衣装に身を包んで踊り狂う女の子たちだった。


「なんですかコレは?」

「なになに・・・、スター・ティアーズパレード?ああ、オツ姫伝のパレードかぁ」

「オツ姫伝ですか?」

「そっ、知らないの?またの名をオツ姫物語」

「知らないです」

そう答えるプリンにミス・セプテンバーは得意げに腰に手を当て、・・・なんだかヤケに偉そうだ。

そして百戦錬磨のオネエサンが教えてあげるとでも言わんがばかりに口を開く。

「じゃあ簡単にあらすじを説明してあげる」

プリンは別にそこまでと思っていたが、あまりにミス・セプテンバーが得意げなので、これはもう話を聞いてあげなければいけない流れなのだろうと観念した。


「その昔天に住まう美しいオツ姫様ってのがいたんだけど、そのお姫様に恋をした彦ブーって男がいたの。でもこの彦ブーはその名の通りぽっちゃり系で、オツ姫様の好みのタイプではなかったのね」

「うんうん」

「でもこの彦ブーが本気でオツ姫様に恋い焦がれて、叶わぬ恋に食事も喉を通らず毎日苦しんでたのよ。しかしこれがケガの功名とでも言うのかしらね、ながいこと抱えていた叶わぬ恋のストレスと食欲不振のせいで彦ブーはどんどん痩せていって、気が付いたらスリムで結構なイケメンになってたらしいわ」

「んな、バカなです」

話の出だしはありがちな設定と思いきや、ブッ飛んだ立ち上がり。


「まあね。でもここで痩せた彦ブーにモテキが来ちゃったのよ~。多くの女の子にチヤホヤされて、完全に舞い上がっちゃったんだけど、これを見ていたオツ姫様は面白くなかったワケ。彦ブーへの当てつけとばかりにそんなに好きでもなかったテキトーな相手と結ばれちゃってね、でも気付いたら人妻になってたオツ姫様のことを知った彦ブーはショックを受けて寝込んでしまったの。そしてこういう時にかぎって悪いことっていうのは重なるものなのよね~、彦ブーは病床で食べたモチが喉に詰まって死んでしまったの」

「もういったい何の話かワケが分からないのです!」

「彦ブーへの当てつけで望まぬ相手と結婚したオツ姫様だったけど、そんな生活で幸せになんかなれるはずもなく、この時になってはじめて自分は彦ブーのことが好きだったことに気付いた。しかしもう彦ブーは帰らぬ人となっていて、自分の気持ちに気付いたときにはすでに手遅れだったの。それでこのときオツ姫の流した涙が一連なりの星となっていまも空に輝いてるっていうお話よ」

「なんというか、この昼ドラとラブコメをぐちゃぐちゃに混ぜて、ショートコントで味付けしたような話を誰が求めるのですか?」

あきれ返ってものが言えないという様子のプリン。


「あら、でもこの時期のみじかい期間だけ夜空に輝く一連なりの星の光が、ホントは両想いなのに一歩を踏み出せないでいるふたりを結びつけてくれるご利益があるって人気のお話なのよ」

「というか、こんな無茶苦茶な話にあやからなきゃならないような恋なら、ハナから無理なんじゃネ?ってハナシなのです」

しかしミス・セプテンバーは人差し指を立ててチッチッチとプリンを否定する。

そして遠くを見つめ語りだす。

「バカね、恋する乙女はワラにもすがるものなのよ・・・」

自分の世界に浸りそう語る妖精に、なにかイラッとしたものを感じずにはいられない。

「・・・そのワラが腐ってることにも気づかぬとは、恋は恐るべしなのです!」


「それより見てごらんなさいよ、このパレードは痩せてモテキが来た彦ブーが女の子たちにチヤホヤされて舞い上がってるけど、どこかにオツ姫がいるんじゃないかと探しているシーンじゃない!」

「オツ姫はどこかにいるんですか?」

「いやこのシーンでは出番がないはずだから、なかのヒト的には休憩時間なんじゃないのかな?」

しかしプリンはミス・セプテンバーのその言葉が腑に落ちない。

「それはおかしいですよ。だってオツ姫はチヤホヤされて有頂天になった彦ブーが気に食わなくて、あてつけのように結婚したですよね?だったら今の彦ブーをどこかで見ているはずなのです。"いるはずのものがいない"そこにすごく違和感があるのです」

「まあそう言われてみれば、そうなんだけどさ」

ミス・セプテンバーはパレードに気を取られつつ、別にキレイなんだからそんなのどうでもいいじゃないといった様子で、なぜかプリンの言葉が届いているかどうかも怪しい。


「それにさっきお城の方から感じた、おかしな魔力の淀み。きっとオツ姫はソコです!こうなったら、ますます行ってみるしかないと思うのです」

「でもさ~、このパレードがお城までの道を塞いじゃっているわよ。これが終わるまで待った方がいいんじゃない?」

ミス・セプテンバーはそう言っているが、何かがおかしい。パレードを見つめるその瞳はやや虚ろで、上気した顔はなにやらその場の空気に魅了されているようにも見える。

そしてプリンはミス・セプテンバーの変化を伝えようと、隣にいるチョビンとグリンを見てその異変を確信した。二人とも・・・、いやパレードを眺めているすべての人たちが、催眠術にでもかけられているかのように、意識をもっていかれていたのだった。


「これはマズイことになったのです!」

これだけの人たちが正気を失っているなか、なぜプリンだけが意識を保てているのか。プリンにはその答えが明白だった。上位の魔法使いともなれば、おのずと魔法に対する抵抗力も上がる。さらに常日頃から魔法に対するプロテクションを切らさないよう心掛けているプリンには、不意打ちといえども魔法の攻撃は通りにくい。つまりは何が言いたいかというと、このパレードがマダムによって仕組まれたものであるということに他ならなかった。


「こうなったらアタチだけで討ち入りなのです!」

プリンは城に向かって、石畳が続く道をひとり駆け出すのであった。


映画が好きである。

泣ける映画が好きである。

そりゃもうティッシュが半箱なくなりそうな勢いで消費されるような映画が好きなのである。


何かの役に立つかどうかは分からないが、個人的に好きだった映画を紹介しようと思う。

(ネット配信とかで見つかればいいけど、そこは未確認です。申し訳ない)


タイトルは"セブンイヤーズインチベット"。

もうかなり古い映画でかのタイタニックと同時期に上映されていて、キャストはブラッド・ピットなのに世間のタイタニックフィーバーに飲み込まれあまり話題にならなかったのが残念だった映画である。

実話をもとにしており、幼少期のダライラマと若き登山家の交流を描いた作品なのだけど、ラスト近くでふたりが額を突き合わせるシーンで涙腺崩壊であった。

(もうね、子供はズルいわっ。泣いてしまうわっ!)


ストーリー的にも色々なことを考えさせられる物語となっているが、終始シリアスな内容で笑える箇所はなかったなかった記憶が・・・。

当時ブラッドピットの映画もよく見ていたけど、その中でも一番好きだった映画。


このご時世、過去の映画を楽しむのもアリかと思い紹介させてもらった次第である。

よかったらご鑑賞されてみては。

それではまた。


°Note


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