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黒の皇后  作者: 小松しま
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 それからしばらくもせず、スウェイワナと希望は、イブリンの都の大聖堂にて、第二代皇帝とその皇后として即位した。

 私的な伴侶として生きるとの初志貫徹に至らなかったのは、正式な王妃云々を凌駕する「ことの成り行き」だったので、仕方がないだろう。

 その後、彼らは精力的に働き、多くの業績を築くことになる。

 明確な形でこそ伝えられなかったが、遙かな未来、イルファールス帝の代より語り継がれるようになる「中継ぎの皇帝が立つ時、イブリールは大いに繁栄を謳歌する……」と言う伝説めいた風聞の土壌が培われた時代でもまたあったのだろう。

 後、イリウス皇太子が成人する際に、未来は彼と結ばれ、その皇位継承と共に、次代の皇后として即位した。

 二代に渡る「黒の皇后」の尽力は、イブリール帝国創世期に大いなる繁栄をもたらすことになる。

 しかし、それらは時と共に伝説の中に埋もれ、複数存在した「かんなぎ」たちの業績と纏められ、「黒の皇后」が二人存在したことも忘れられ……いつしか「黎明のかんなぎ」と言う形で讃えられるようになった。



 そして、イブリール帝国の歴史は、その上に長く……長く、紡がれ続けて行く……。






 「世にも稀なる愚王」。

 かつて、そう称された一人の君主がいた。

 一千年以上の時を経てもその不名誉な称号が覆されることはなく、未だ「至上最悪の暗君」との呼び声の揺るがない王の名は、スウェイワナと言う。

 ラジアナ王国最後の君主たる彼は、皮肉にも、後にローディアナ大陸一の領土と勢力を誇ることになるイブリール帝国創成の礎ともなった者だった。


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