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65. 番外編 祝福の日

最後です。

 晴れ渡る青空。

 咲き乱れる花々。爽やかに樹々を渡る風。



「まるで、二人の結婚を世界が祝っているようだね!!」


 明るい藤色のマーメイド型のドレス。裾に使われた豪華なレースが見事なラインで床に広がっています。


 ええ。そうですわ。

 今日のオーキッド・フォン・パルマン辺境伯のお姿・・・です。

 なぜか花嫁の支度部屋にいらっしゃいます。皆さん、この方はこんな格好をしていますけど、れっきとした男性ですわよ!? お忘れになっていませんか!?


「オーキッド様? あのですね。誤解されていると困るので念のため申し上げますけど、ここは花嫁の支度部屋です」


「うん。そうだよ。早く仕上げをした方が良いね。時間も迫っているから」


 そう言って、花嫁のベールを直して下さいます。はい。ご理解の上、ここにいらっしゃるワケですわね。



 粗方準備はできていて、後はオーキッド様の言うように仕上げをするだけです。花嫁のベールにあしらわれた真珠の位置を直して、鏡の前に立ちます。





 今日、私、リリ・アンナ・スタンフォードは、シリウス様と結婚式を挙げます。



 すでに、陛下にも議院にも承認されて結婚していることになっていますが、何分訳あって籍だけスタンフォード公爵家に嫁入りした形になっていました。結局入籍から1年近くの準備を経て、ようやく結婚式を挙げることになりました。


 そして、よく言えば私とシリウス様のキューピッド? を自認するオーキッド様が、何故か結婚式を取り仕切ることになったのです。それはもう張り切っていらっしゃいましたわ。


「やっぱり、そのドレスにして良かった! リリちゃん、とっても似合っている。綺麗だよ!」


 少し後ろに下がったり、近づいたりして360度眺められます。ドレスもオーキッド様お気に入りのデザイナーの居るメゾンなので、一瞬どうなることかと思いましたけど、本当に素晴らしいウェディングドレスを作って下さったのです。


 胸元からウエストまでは細かなプリーツが流れる様に体に沿います。そして、首から肩にかけてのラインがスッキリ上品に見えるように空いています。仮縫いの時は空きすぎの様な気がしましたけど、こうして髪を結い上げると、首筋から肩にかけてのラインが凄く綺麗に見えます。

 そして、スカート部分はこれ以上無い位の極薄のチュールレースが幾重にも重なっていて後ろに長く裾が引かれています。でもそのレースは、少しの風でもそよぐような軽さなので、私が少し動くだけでも夢の様な輝きを放ち、とても優雅に見えます。


「夢のようですわ・・・」


 思わず口から零れました。こんな素敵なドレスを着て大好きな方と結婚式を挙げられるなんて。






「リリ? 準備はできたかね?」


 ドアがノックされて、お父様とお母様、クラウスお兄様が入ってきました。


「「「・・・」」」


 無言です。何? どこかおかしいですか?


「何て、綺麗なの~!! リリちゃん!!」


 お母様が涙ぐみながら私の手を握り締めます。お父様はすでに滂沱・・・しています。まだ、お式は始まっていませんのに。


「リリ。綺麗だ。ドレスも良く似合っている。さすが、我が妹だな」


 お兄様もうっすらと涙ぐんでいるように見えます。本当に、お兄様にはご心配をお掛けしましたモノ。


「お父様、お母様、お兄様。今までありがとうございました。私はこれで、晴れてシリウス様の妻になれます。でも、皆さんの娘であり、妹であることは変わりません」


 今までの感謝の気持ちを込めてカーテシーをします。下を向くと、涙が出そうです。でも、今日はまず笑顔を見て貰いたいので堪えましょう。にっこり微笑んで三人を見詰めます。





「そうだ。リリ。これをロゼリンから預かって来た」


 クラウスお兄様が、持っていた箱をテーブルの上に置くと蓋をパカリと開けました。




「綺麗・・・」


 箱から出てきたのは、白い百合の美しいブライダルブーケです。所々にあしらわれた青い小さな花はシリウス様の瞳と同じ色です。ブーケは絹の白と薄いブルーのリボンで華やかに纏められていて、とても美しくドレスにぴったりですわ。


「お兄様、ロゼリン様にも宜しくお伝えくださいな。とても素晴らしいブーケをありがとうございますと」





 家族で(オーキッド様はずっと傍にいらっしゃいますけど)しみじみしていると、スタンフォードのお義父様とお義母様もいらっしゃいました。もう、こちらのお二人も涙を流さんばかりに喜んで下さいます。いえ、お義父様はすでに涙ぐんでいらっしゃいます。何でしょう?世の父親とは娘の花嫁姿にはとても感慨深いようですね! ありがたいことですわ。





「えっと・・・ところで、シリウス様は?」


 そうですわ。肝心の旦那様。もう一人の主人公が来られていません。


「ああ! それはね! これからずっとリリちゃんを独り占めするシリウス君に、第一の試練を与えているからね!」


 オーキッド様が悪戯っ子のように目を輝かせて言いました。


「試練?」


「そう!! 彼はこのリリちゃんの輝かしい花嫁姿を教会で入場するまで見られない!! という試練だね! 今、ルイとカーン、それにアレッド殿下とセーヴルが引き留めているからね!! さすがの彼でもあの4人を振り切るなんて出来ないよ!! ()()()だね!!」




 何とも物騒な言葉を最後に言い放つと、とてもいいお顔で微笑みました。この方が変り者で、好き嫌いが行動基準だったことを忘れていましたわ。シリウス様はオーキッド様に殊の外、気に入られているのですわ。その様子ははっきり言って、ワタシ以上です。


・・・シリウス様、諦めて下さいな?







 そろそろ時間です。教会に向かう長い廊下をお父様にエスコートされて歩きます。




 この1年で、色々なことがありました。色んな方にお会いもしましたわ。


 嬉しいことも沢山ありました。

 でも、一番は・・・


 シリウス様と出会ったこと。シリウス様と結婚できたこと。


 そして、今日、花嫁になれること。




 扉の前で、お父様と顔を見合わせます。


 さあ、花婿様の待つ祭壇の前まで行きましょう。



 きっと、彼は私を見て満面の笑みを浮かべて、こう言ってくれるはずです。






「リリ。とっても綺麗ですよ」







 

ようやっと、終わりです。

まだ番外編はあるのですけど、

ここらで一旦終わりにしましょう。

やはり、終わりは結婚式でしょう。ということで

結婚式の始まる寸前までの事です。


タイトルを変えて続けるかもしれません。

まだ、カレン様の同人誌も書いてないし、

クラウスお兄様とロゼリンの事も・・・

オーキッド様の事も・・・


とりあえず、この長いタイトルのお話は

これで完結します。


ブックマーク、誤字脱字報告して下さった皆様

ありがとうございました。


2019年10月27日、続編の『妖精姫である私の旦那様は超ハイスペックで溺愛系』を始めました。

こちらもよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 妖精姫面白かったです! いきなり拐われてどうなるんかと思いましたがww キャラが立ってて良かったですよー このまま溺愛系に移動しますww
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