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59. 百合に蛇の意味は

最終話になるはずが、伏線回収をしていたら

長くなってしまいました。

だって、キャラ達集まると

楽しくなってしまいまして・・・

 ルシェール様の傷は抜糸も済んで、来週からは腕や肩を動かす訓練が始まるようです。思いの外早く完治しそうだと笑っています。


 ええ。今、私は王宮内のルシェール様専用のお部屋にいます。あれから、何回かお見舞いに伺いたいと訴えたのですが、旦那様で尚且つルシェール様警護の責任者であるシリウス様から許可を頂けず、今日まで来ることは叶いませんでした。




 もっとも、確かにあのお茶会の後には、王妃様へのお礼や、来客の皆様へのご挨拶等やることが目白押しだったのです。流石にシリウス様はお仕事があるので、そこはお姑様にあたる現スタンフォード公爵夫人であるヘレン様とご一緒に王都中を行脚しました。


「これも、公爵夫人の仕事の一つよ(喜)」


 と、実は、お茶会の日にご用意した皆様へのプレゼントを、お母様達から渡して頂くようお願いしていたそうなのですが(確かに、シリウス様はそうおっしゃいましたけど)、ミラノ公爵夫人がおっしゃった、


「ご結婚の御印(おしるし)なら、ぜひ()() ()()()()()() ()()()頂きたいですわ。シリウス様との馴れ初めも伺いたいですし。リリ様もこれで社交界に本格的に出ていらっしゃるのでしょう?ならば()()()()()()()にいらして頂きたいですわぁ!」


 に、他の方々が ぜひ我が家にも!!ということで、受け取りを拒否られたとか。お義母様曰く、


「皆さん、今まで噂にしか聞けなかった ≪妖精姫≫ に会いたいのよ!話をしたいのよ!屋敷に尋ねてくるなんて、もうステータスになっているわ!でも、あれね?もうスタンフォード家の嫁だから手出しはできなくてよ!!おほほほ!!」


 何ですか?物珍しい珍獣を間近に見たいということでしょうか?そりゃ、公爵夫人であるヘレン様が尋ねて来るなんて、そうそうありませんものね。ご面倒をお掛けします。


「リリちゃん。皆さんは、リリちゃんに会いたいのよ。貴方が社交界に出て来なかったから、カリスマチックになってるのよ?会いたくてもなかなか会えないし、会う前にシリウスが掻っ攫(かっさら)ったでしょう?だから、殊更この機会に親交を深めたいのね。まあ、皆さんの気持ちも判るわぁ」


 そう言って、ギューッと私を抱きしめました。お義母様!!く、苦しいです!!

 

 というようなことがありまして、お義母様であるヘレン様と一緒に、あっちの伯爵家、こっちの侯爵家とプレゼントとお花のお土産を持ってお茶会に招かれていたのです。結構な数がありましたので、日にちも掛かってしまいました。慣れないことしたので、とっても疲れましたよ・・・・





「そうですか。プレゼントを配り終えたのですか」


 シリウス様は、王宮内にあった宮廷近衛騎士団の宿舎から出られて、今はスタンフォード家のお屋敷に住まわれています。なので、宿直でない限りは晩餐に間に合うように帰って来られます。

 私は、ほぼ毎日のようにお義母様と一緒に外出していたので、終わるとスタンフォード家に戻って来ます。そして、シリウス様が戻られるとお出迎えをして一緒に晩餐を頂きます。


 屋敷に送って頂く馬車の中で、今日の出来事を報告します。明日からは、特別決まった予定はありませんから、ルシェール様のお見舞いに行けますわ。


「という訳ですから、ルシェール様のお見舞いに行っても宜しいですか?」


「・・・・」


「シリウス様?()()()()()()?」


 またです。この方、結構ヤキモチ焼きで、子供みたいに拗ねるところがあります。どうしても、ルシェール様に拘りがあるみたいで、ずーっとこんな調子です。


「シリウス様。明日、行きますわよ。だって、そろそろルシェール様の怪我が治ってきているのだったら、私への()()について、皆様と相談したじゃないですか?だから、様子を見に行きたいのですわ」


「そうですね。判っています。明日、昼食が済んだらいらっしゃい。ルシェール殿にもそう伝えておきます」


「ありがとうございます!」


「私も一緒にお見舞いします」


「・・・ソウデスカ。よろしくお願いしますわ」


 まあ、良いですわ。それで、この方の気が済むのであれば。でもですね。あんまり過ぎると・・・・




「シリウス様?」


「・・・何ですか?・・・・」



 よいしょっと、お隣に座ります。そして、



「愛していますわよ?」


 角度良し!、距離良し!で、囁いて()()()()




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「良かったですわ。あれから少し時間が経ってしまったので、如何されたかと思っていました」



 ルシェール様のお部屋で、オーキッド様、カルバーン様、シリウス様もご一緒にお茶をしています。

 今日は、お見舞いにグランデルク伯爵家自慢のプディングとソルトクッキーをお持ちしました。甘い物をお好きなルシェール様とオーキッド様は、当然プディングをご所望ですわ。甘くて濃厚な、滑らかなプディングに、焦がしたキャラメルの苦みがベストバランスなのですわ。これなら2、3個は軽く食べられそうです。

 そして、カルバーン様とシリウス様は、ナッツの沢山入った甘くないソルトクッキーを召し上がっています。これも、食べ応えがある香ばしいクッキーで、お酒にも合うのです。



「きっと、アレでしょ?シリウス君がうんと言わなかったんでしょ?」


 オーキッド様がプディングを食べながらシリウス様を流し目で見ました。


「昨日まで、リリには予定がありましたから。それが終わりましたので、今日になっただけです」


「ふーん。まあ、いいけどねぇ。ところで、リリちゃん。私がお祝いに送ったプレゼント見てくれた?」


 王妃様のお茶会にいらしたオーキッド様から、お花とプレゼントの小箱を頂いたのでした。でも、その中身ですが・・・


「オーキッド殿。リリは言い難いと思いますので、敢えてはっきり言わせて頂きます。アレは趣味が悪いです」 


 シリウス様が、はっきりとおっしゃいました。そうです。オーキッド様と言えば・・・


「えっ?気に入らなかった?結構いいデザインだと思っていたんだけど?」


「ほら、オーキッド。ありゃ、やっぱり不評だろ?」


 カルバーン様の言葉にルシェール様も頷いています。そうですわね。


「あの・・・、百合に蛇の文様は・・・私にはハードルが高いというか、何というか・・」


 オーキッド様から贈られたのは、百合に蛇が絡まった意匠の金のメダルです。何に使えば良いのか思案していました。


「そうかなぁ。あのデザインの意味判ってるの?」


 カルバーン様が、呆れたように溜息を吐くと、


「リリ嬢に、お前んとこの紋章の蛇が纏わりついてるんだろうが!!キモイだろう!?」


 とおっしゃいました。そう思っていますよ?多分皆様そう思っていますでしょう。

 オーキッド様は、何故か目を瞑って頭を抱えてしまいました。


「やっぱり。そう思われていたんだ?みんな、底が浅い!!全く持って、考えが足りないよ!!私がそんな趣味悪い考えで作るわけないじゃない!ああ、もう残念だね!!」


 大げさに嘆いていますが、他に意味があるように思えませんでしたけど?私達は顔を見合わせて首を捻りました。オーキッド様は椅子に踏ん反り返って、腕組をしています。


 そこに、扉をノックしてクラウスお兄様が入ってきました。お兄様は、お部屋の中の微妙な空気を察っすると、私に向かって問い掛けました。


「リリ。どうした?何かあったのか?」


 私が、お兄様にデザインの事をお伝えすると、オーキッド様は腕組をしたままクラウスお兄様の方を見ながら、どーせ判らないよ。と頬を膨らませています。



 クラウスお兄様は、そんな様子のオーキッド様をちらっと見ると、ルシェール様に目を向けて静かに言いました。


「あれは、百合に蛇では無く、()()()()()()()()()()()()()()では無いですか?医術や医療の象徴となる文様ですよね。確か、()()()()()()()()()と言いましたか。もしかして、百合は大天使の意味を持たせたのではないですか?」


「クラウス君!!」


 オーキッド様が、クラウスお兄様に駆け寄って、思いっきり抱き付きました。ちょっと待ってください!お兄様の頬に口付けをしていますわよ!!


「ちょっ!、ちょっと!?オーキッド殿!や、止めて下さい!!」


 嫌がったお兄様が、腕を突っ張ってオーキッド様の顔を押しのけています。気持ちは判りますが、仮にも高位貴族の先輩ですわよ。


「クラウス君!!さすがだね!!そうだよ!その通りなんだよ!!高尚な意味を持ったデザインなのに、ここの皆は全く持って考えが浅い!!


 クラウスお兄様が、乱れた髪を直しながらオーキッド様を睨んでいます。オーキッド様は構わずに続けます。


「このデザインはね、学術都市計画で医術大学の設立に尽力していた、ルシェールの父上の資料にあったんだ」


 オーキッド様は、声を落としてしんみりと語りだしました。


「残念ながら、彼が亡くなったことで医術大学の設立は5年前の計画から消えてしまったけど。それは詳細に作成された完璧な資料だったんだ。私は、それを焼いてしまうのは忍びなくてルイを救出するときに持ち出した」


 あの百合に蛇のデザインは、高尚な意味を持ったデザインだったのですね。それも、ルシェール様のお父様である第八王子のフレッド様が考えた医術大学のための意匠でした。杖に蛇のデザインが、医術や医療の意味を持っていたなんて知りませんでした。



「まあ、なんとかこれを世に出したい気持ちもあって、色々な物に使ってみたけど・・・キモイって言われた・・・・」


 オーキッド様は、がっくりと肩を落としてしまいましたわ。でも、それまでじっと聞いていたルシェール様が近寄ってそっと肩を抱きしめました。


「オーキッド。ありがとう。そんなにも父上の事を思ってくれたなんて・・・本当にありがとう・・・」


 ルシェール様も感激されています。そうですわね。だって今は亡きお父様の形見ですもの。





 少しほっこりした気持ちになったところで、クラウスお兄様が咳ばらいをしました。


「ところで、皆が集まっているなら丁度いい。リリお前の考えが纏まっているのなら、殿下の所で相談したいが。どうだろう?」



 そうですわね。いいタイミングだと思いますわ。


「大丈夫ですわ」


 私は大きく頷きました。


誤字脱字は気づき次第修正します。

面白かった。続きが気になると

思って頂けましたら、評価ボタンを

押して下さいませ。もうラストスパートなので

頑張るパワーになります。


ブックマークしてくださった皆様も

ありがとうございます。

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