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33. 宮廷近衛騎士は黒く微笑む

遂に、シリウスが知ることになります。


長い1日がそろそろ終わりそうです。

 思い出してしまいました。

 

 ルイ様の顔も、引き寄せられて口づけされたことも!実際は、無理やり眠り薬を飲まされたのですけど!そうです。あの場面をしっかりと思い出しました。


 あの方は、役得だとかなんとかおっしゃって、私の初めての口づけを奪ったのですわ。

 ええ、思い出してきましたよ。黒尽くめの洋服に、美しい銀髪は肩先までの長さで、薄いアクアマリンのブルーの瞳でした。シリウス様とは違う美しさがありましたわ。そうですわね、見た目にはシリウス様は華麗で豪華な感じですが、彼は静謐で影がある感じでしょうか。どちらにしても、ルイ様を見たのはその時が初めてでした。銀髪自体が王国では珍しいですもの、どこかで一度見ていれば忘れないと思います。




「リリ?」


 ああ、いけません。シリウス様を放って置いてしまいました。


「何か思い出したのですか?」


「・・・思い出しましたよ?・・・」


「なぜ、疑問形になるのですか?」


「・・・・」


 どうしましょう。ルイ様の事を言いたいですが、言いたくないことも思い出しましたから。うーん。ここは誤魔化しましょうね。いくら二年前の事とはいえ旦那様(照)にわざわざ言うことでは無いですもの。


「何かされたのですか?」「何もされてません!!」


「・・・・!」


 うっ。まずいです!シリウス様の問いかけに食い気味に答えてしまいました。

 この人、私が考えていた間の 〝()” に何かを感じ取ったのでしょうね。綺麗なサファイアブルーの瞳を細めてにっこりと微笑んでいます。いえ、目の奥は笑っていませんけど。


「さあ、何があったか()()話して下さい。()()()()()()()話して下さい」


 シリウス様は、私の顎に手を添えて自分の方に向かせると、しっかり私の目を見つめておっしゃいました。近いですわ!今まで史上一番の近さですわ。私の顔は真っ赤になっていると思います。



「リリ。耳まで真っ赤ですよ」



 この人、絶対面白がっています!!



 取り調べや諜報にも秀でた部署である宮廷近衛騎士団。その副団長様に、激アマ体勢で尋問されています。まずは、ルイ様について覚書に書かれた以上のことを聞かれています。そう根掘り葉掘り。聞かれ方によって答えられる要素が増えるのですね。さすがです。


「話し方や言葉はどんな感じでした?例えば、貴族の様な言葉遣いでしたか?王都の言葉でしたか?地方の癖が感じられましたか?」


「話し方・・・は、違和感は感じませんでしたから、貴族かもしれませんわ。それに物腰が優雅でしたし、エスコートも完璧でした。綺麗な上流階級(ハイソサエティー)の言葉使いでしたわ。」


「貴族ですか。仮にも王宮に忍び込めたのですから、それなりに知っている人間ということか。しかし、あの銀髪は王国の貴族には少ない。リリ、彼は他には何か言っていましたか?」


「結構図太いお嬢様だと言われましたわ」


「それから、私が望めば責任取ってお嫁にしてくれると言っていました。ご主人様がですけど」


 話していると、どんどん思い出してきました。ルイ様とどんな言葉を交わしたか。彼の肝心なことは教えてくれない、まどろっこしさとイラッと感までです。


「話しかけてもああ言えばこう言うという感じではぐらかすし、肝心な事は教えられません。と、にべも無かったですわ!質問しても真面目に答えてくれることは無いし、()()()()()()()()()()役得だとか言ってましたし・・!」


 イラついていたあの時のことを思い出して喋り過ぎました!


()()()()()。とは?()()()()()()()()()()とはどんなことなのです?」


 そこ、食いつかれますか。どうする?私。誤魔化せるかしら。


「リリ。正直に全部話して下さい。無理やり聞くなどしたくありません。まだ、貴方を()()()()訳にはいきませんから」


 白状するしかありませんわね。すっごく怖いです。プロの取り調べを受ける自信がありませんわ。降参です。でもね、私が悪いわけではありませんのよ!!




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





「クラウス。遅くまで済まなかった。リリとの誤解は解けたから安心してくれ」


 リリの寝室の扉を蹴り破ってから、長い時間を過ぎていた。クラウスは一人、隣の部屋で待っていた。心配していた両親を説き伏せて、たった一人で待っていたのだ。そして、そこに顔を出したのはシリウスだけだった。


「リリは?」


「疲れたようなので、休むように言ってきた。今は入浴する準備をしている」


「疲れた?入浴? ま、まさか、お、お前、リリに!」


「安心しろ。まだ何もしていない」


「・・・・・」


 無表情のまま、クラウスを揶揄(からかう)っている。どんな話をしていたのかと思うが、とにかく誤解は解けたということなので安心した。誤解とは?



「お前も早く結婚した方が良い。要らん誤解を招くことになっているかもしれん」


 そう言うとシリウスは、隣の席にドッカと座った。誤解と自分の結婚に何の共通点があるんだ?そう思って口を開こうとした時だった。


「リリが、ルイという人物の事を思い出した。まだ、全部ではないが馬車の中でのことは思い出した」


「ええっ!!本当か!?」


 それを早く言え!と両肩を掴んで揺さぶった。2年前の助けられた夜にリリは覚書を書いていた。それが偶然、何がきっかけは良く分からないが見つかったというのだ。そして、姿のはっきりしたルイなる人物の事を思い出したのは大きな進歩になる。


 しかし、喜んだのは束の間だった。リリの話からすると、彼はどうやら貴族らしい。正確には貴族と同等の階級にいるらしいということが判った。ならず者や不届き者で無いことは喜ばしいが、逆に、貴族が伯爵家の娘を誘拐したということになる。それも王宮から。あり得ないことだ。

 やはり、パルマン辺境伯の関係者なのか?


「貴族階級であったとしても、あの銀髪は王国では珍しい。直ぐに足が着くと思われるが、二十歳前後の男子で心当たりは無いか。クラウス、お前ならすぐ判るだろう?」


 銀髪の二十歳前後・・・。記憶の中にある、王国中の貴族の系譜と領地の情報、当主や子息の肖像等を記した分厚い貴族年鑑を開いていく。王太子の執務室に置かれた王国中に10冊程度しかない貴重な資料だ。仕事柄、王国の貴族の情報は把握している。しかし、この情報に合致することが見当たらない。


「いない。銀髪の家系は数件あるが、その年齢的に合う人物は記憶に無い・・・」


「とにかく、今夜は一旦帰る。明日、アレッド王太子に現状をお伝えした後にリリに会いに来る。記憶が戻りかけているから、今を逃すことはない。ああ、それから扉を壊して済まなかった」


「判った。しかし、急展開したな。そう言えば、リリはどんな誤解をしていたんだ?」


「聞かないほうが良い。寒気がするようなことだ」


「そう・・・か?」


「そうだ!」



 シリウスは断言すると席を立った。スッキリしたような、でも()()()考えているように見える。クラウスがまじまじと顔を覗き込んだが、ちらりと見ただけですぐに前を向いた。


「とにかく、ルイなる人物を見つけよう。彼には返して貰う物ができた」


 何だか、その笑顔が怖い。とクラウスは身震いした。それほど、シリウスの笑顔が()()()()


誤字脱字は気づき次第修正します。

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