Who Love to from?①
手帳に書かれた名前は以下だ。
1-A 倉島 ゆうな
1-A 田代 美奈子
1-A 深田 貴音
1-B 牧野 世界
1-C 足立 由美
1-C 穂高 柚音
2-A 兜橋 さらさ
2-A 弓山 枢
2-C 戸部 麻美
3-B 足立=トゥンベルソン=遊名草
計10人。
気になるのは勿論、最後に書かれた【足立=トゥンベルソン=遊名草】。
こんな名前の先輩がいたとは。果たしてナニジンなんだ、こいつは。
「選ぶの、すごい大変だったんだから。いろーーんなこと考えて、選んだのよ」
ふらんそわは にまにま と笑みを浮かべ、自慢するように腰に手を当てていた。
ーこの女子達が選ばれた理由とか、少しくらい教えてくれないか
「んー……じゃあ、一つだけ」
ふらんそわは、指を一本立てて、それを俺に見せつけた。
「その子達は、皆 いま問題を抱えてるの」
―問題?
「そう、問題。彼女達は本人にとって大きな悩みを抱えている」
ーそれがどうして選んだ基準になるんだ?
「分かんないかしら。彼女達はいま弱った立場にあるってこと。そういう子たちの方が、相談に乗ったり、解決を手伝ってあげたりして、ラポールを形成しやすいのよ」
―ラポール?また訳の分からんことを
「ラポールは普通の心理学用語よ。まあ、つまり仲良くなりやすいってことよ」
一か月で10人を彼女にするという難題だ。多少は難易度を下げる考慮がされているという訳か。
しかし、焼石に水といったところだ。
それに、ここに書かれた女子達が厄介な問題を抱えているとして、それを俺が手伝う義理がどこにあるというのだ。
どんな問題なのかは知らないが、彼女たち自身の問題に俺が首を突っ込んでいくというのは、どうにも気が引けるし、問題の性質によっては俺なんて何の役にも立てないだろう。
それを考えているうちに、更なる根本的な問題が気になった。
―そもそも。【10人を彼女にする】というのは無理がないか?普通、彼女ってのは一人だろ?
「そうね。10人も彼女が居るような浮気者は最悪ね」
この女、自ら言い出した条件を【最悪】って言い放ったぞ。
―俺もそう思う。おかしな条件だ。……たとえ、俺が成功して一人を彼女に出来たとしても、二人、三人と彼女をつくっていけば、そんな不義理な男からは、離れていってしまうだろうさ。
「間違いないわね。私も、浮気者って大嫌いだもの」
―矛盾しちゃないか、天使様?
「大丈夫よ。その都度、別れればいいだけの話だから」
ふらんそわは、さも当然といった表情で言い放った。
「忘れてる訳じゃないでしょうけど、貴方は命がかかってるのよ。……なにも本気でこの子たちを愛せと言ってる訳じゃない。ただ、彼氏彼女の契約を取り付ければいいだけ。付き合ったら、すぐに別れればいい」
「そう思えば、ね? 少しは気が楽でしょう?」
それが、楽なこととは到底思えなかった。




