Who Love to from?②
「さあ、誰からにするの?」
フランソワは姿勢よく佇んでいる。足先まで澄ましたようで、靴先がぴったりと揃っていた。
どうやらこの質問は本気らしい。
俺の肚はまだ決まっていない。ただこの超常的な存在から逃げきれる気もしない。
それに俺はまだ死ぬわけにはいかないのだ。
―そうだな……
手元のリストに目を通す。
自分のクラスの女生徒、同級生たちとは噂が立って面倒なことになるやもしれない。
となると、先輩ということになるか。
3年の先輩なら、もう半年もすれば卒業だ。リスクが一番少ない。
―じゃあこいつにするか。トゥンベルソン
3-B 足立=トゥンベルソン=遊名草
変な名前の上級生。リストの3年はこの人しかいない。
こんな名前なら噂の一つでも聞いていて、おかしくないと思うのだが。
今日初めて目にした名前だった。
「あら、いきなり”そこ”にいくのね。うふふ、苦労するわよ」
フランソワはくすくすと笑う。
どうやらトゥンベルソンは名前だけでなく、厄介な奴らしい。
ーそう言うなら、辞める
「いえ、いいんじゃない?だって結局は全員と付き合わないといけないんだから。難しいのからこなした方がいいかも」
ー俺は、そうは思わない。単純なのからこなしたい。だって、俺に恋愛の経験なんかないんだから
「ということは……童貞?」
フランソワは手を口元に当てて、驚いた様子を見せる。
どうやら、俺をムッとさせる目的らしい。
しかし、俺はそうはならない。そういうものに余り興味が無い。
―そうだけど、それがなんだってんだ?そう言うなら、俺じゃない恋愛経験豊富な奴にこの権利を譲ってやってくれ。さぞ、喜ぶだろうさ
「それは、だめよ。もう決まったことなんだから」
ーそこを何とか
「駄目なもんは駄目よ」
”ー本当に頼むよ”と言いかけたところで、フランソワの表情がムッとしてきたのを察した。
この女を怒らせるのは得策ではない。何せ、人ひとりを一瞬で消し去るような女だ。
俺はため息を吐くと、もう一度リストに目を向ける。
……この中で単純にいけそうな奴っていえば誰だろう。
俺は人間の観察が得意な方でないし、知り合いも少ない。
だから、自分のクラスの奴らくらいしか情報を知らない。
そうなると……はあ、面倒だ。想像するだけでも面倒だ。
しかし、こいつとが一番単純に済ませられる気がする。
―倉島 ゆうな……にする
1-A 倉島 ゆうな
俺のクラスの問題児の1人だ。




