伝えなかったもの
「生島はこちらで写真を?」
「はい。霊が写っていないかと問われました」
「で、なんと?」
「写っていないと、正直にお答えしました」
「そうですか。他には?」
「特には。とにかく彼はこの写真に霊が写っていて、そしてその霊がこの写真の家族を皆殺しにしたのだという妄信に取りつかれている、そんな状態でした」
「なるほど。ありがとうございます。また何かあれば連絡を頂きたいので、よろしくお願いします」
「分かりました」
「ところで」
「はい?」
「これは刑事として、というより個人的な興味でお聞きするんですが」
「はい」
「本当に何も見えなかったんですか?」
「……と言いますと?」
「いわゆる、霊というやつを」
「ああ……」
「この写真には何も?」
「ええ。何も」
「そうですか」
「ただ」
「ただ?」
「これが刑事さんにとって、何か参考になるかどうかはわかりませんが」
「どんなものでも参考にはなりますよ」
「こんな小さな枠には収まりきらないものもあります」
「どういう意味です?」
「遺恨、無念、憎悪。負の感情なんてものは特に」
「負の感情、ですか」
「写真の事しか聞かれなかったのでね。彼は安心して出ていきましたよ」
「つまり、それは……」
「黙って写真の中でだけ恨んでいるわけないじゃないですか。ずっと睨んでましたよ。途中で増やした分も合わせて彼の後ろに六人。ずーっと、彼の後ろで殺してやると言わんばかりに」




