9.アマテと奴隷商人とナイフ
※今回熱を出していたため、更新が遅れました。申し訳ありません。また、前回予定していたストーリーと違う話になってしまっています。申し訳ありません。
孤児院の前には、セレナさんを含めるアマテら7人と、奴隷商人達10人が居る。
それぞれはいつでも攻撃できる様臨戦態勢を取っている。
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「セレナさん!」
「っ!アマテさん!」
アマテを見るや否や、セレナさんが安堵した表情になる。子供達は怯えて全員孤児院のドア付近に集まっている。
「セレナさん、これは一体?」
セレナさんの前に、黒服の男達10人程が立ち並んでいる。
とても穏やかな状況とは言えない。
「そ、それは...........」
その時、一番前に立っている黒服が口を開く。
「ん?誰だテメェ?俺らの会話の邪魔してんじゃねぇぞ?」
「すみません。僕はこの孤児院の建設資金を提供したアマテという者です」
それを聞いた黒服は、目を細める。
「テメェがこの孤児院を建設させたのか、困るんだよね〜勝手に資金とか出されると。俺ら奴隷商人には。このガキ共が売れにくくなるじゃん」
「売るですって...........?あ、貴方達、それでも私達人間と同じですか!?」
怒りを顕にしたカエラが叫ぶ。
「信じられねぇ...........」
レシフェルも黒服の奴隷商人に困惑している。
「うるさいな...........って、おやおや?もしかしてロードフォールドの王女様じゃねぇか!!ヒャッホーイ!こんな所で会えるとはラッキーだぜ!」
黒服が大いに喜ぶ。対照的に、カエラさんは露骨に嫌な顔をしている。
「ふむふむ。このガキどもを売ろうとしていたが...........やめだ。気が変わった。ガキを攫おうとして悪かったな」
「え、い、良いんですか?」
奴隷商人の発言にセレナが驚き、少しほっとする。
しかし、その安心はすぐに消される。
「ああ、もっと良いブツが出てきたんでね...........!」
と、カエラに目を向けて発言した。
「ッ!!」
奴隷商人の発言にカエラ達らが全員臨戦態勢に入る。それと共に、奴隷商人達がアマテらを囲む
「大人しく俺らのものになれば、手は出さねぇ。ちなみに、俺らを簡単に倒すなんぞ考えない方がいいぜぇ?」
「おいエレナ。この状況、どう思う?」
「そうね...........あまり良いとは言えないわね」
「こんな下衆な輩はワタクシが即排除させますわ」
「許せません...........子供達のためにもっ!」
「アマテさん!下がって下さい!」
5人は奴隷商人達に集中している。奴隷商人達の魔力が意外にも高く、油断が出来ない。また、武器も魔法も分からない以上こちらから攻撃するのは得策ではない。しかし、それは相手も同じことである。
「.....................オラァッ!!」
奴隷商人の1人がフィーナに突っ込む。
「魔眼!!」
フィーナの目が鮮血に染まる。
「っ!?クッ!!」
魔眼の存在を知っていたのか、咄嗟に目を隠し、横に避ける。
「あら、ワタクシの魔眼を避けるとは、貴方下衆のくせにはなかなかやりますわね」
「チッ...........」
(ワタクシの魔眼を初見で避けるとは...........流石と言った所ですわね)
「はぁぁぁぁ!!」
「フンッ!!」
ガキン!! 剣と剣がぶつかり合い、金属の音を周辺に響かせる。
(クッ!強い...........商人のレベルじゃねぇだろっ!?)
商人の意外な力に、レシフェルが唇を噛む。
(けど...........っ!)
「そんなんじゃ俺には勝てねぇぇぇ!!」
「ぬぁ!?」
全身を使って剣を振り払い、レシフェルがワンステップで奴隷商人との間合いを詰める。驚いた奴隷商人は瞬時に横に剣を大振りする。
その時に出来た僅かな隙をレシフェルは見逃さなかった。
「貰ったぁぁぁぁぁ!!」
ズバッ!!レシフェルの剣が奴隷商人を捉える。
「ぐわぁぁぁぁぁ!!」
剣は見事奴隷商人の体を斬る。奴隷商人は地面に倒れる。
(良し!!)
レシフェルが心の中で喜ぶ。しかし、そのせいで集中が切れたのか、レシフェルの後ろに回り込んでいるもう1人の奴隷商人への反応が遅れた。
(しまっ...........!!)
レシフェルが振り向くと、もう既に剣がレシフェルの顔に迫っていた。体を動かそうにももう既に遅かった。奴隷商人がニヤッと笑う。
(クソッ!動け.........っ!)
レシフェルの顔に剣が刺さる...........
「リコイル!!」
その前に見えない力で奴隷商人の剣が弾かれる。
「っ!?」
奴隷商人は剣を弾かれた事に驚き、その後に意識を失った。
倒れる奴隷商人の後ろには魔法陣を手に展開させたエレナが居る。
「................エレナ...........悪ィ..........」
「全く...........。しっかりしてよね。」
エレナの手を掴んで体を起こすレシフェル。手を掴まれた時にエレナが思わずドキッとする。
(なにこんな状況でドキッとしてるの私!?いけない...........集中集中...........)
少し顔が赤く火照っているエレナ。
「レシフェル、大丈夫?」
「ああ、エレナに心配されたからもう大丈夫だ!」
「あんまり嬉しく無いのはなんでだろう..........」
エレナの顔の赤みはすぐに冷めた。
「はぁ!!」
「ぐわぁ!!」
「ハァハァ.....................っ!?」
2人ほど奴隷商人を倒したカエラ。息を整えている所に火が撃ち込まれる。
すぐさま横に飛んでそれを回避する。
「...........」
「貴方達...........なぜこんな事を」
「...........」
何も答えない奴隷商人。それにカエラは、
「分かりました、今回は貴方達を倒すことだけに集中しましょう...........!!」
カエラさんは持っている杖に魔力を集中させる。
「女神の白弾!」
無数の白い粒を奴隷商人に撃ち込む。
奴隷商人はそれを上にジャンプして避ける。しかし、それを読んでいたのか、奴隷商人の上には大きい魔法陣が展開されていた。
「っ!?」
それが分かった奴隷商人はすぐさま後ろに身を引こうとする。
「遅いです!白連矢!!」
しかしその動きよりも先にカエラの魔法が発動する。無数の白い矢が奴隷商人に降り注ぐ。
「がぁっ!?...........」
いくつもの矢が奴隷商人に突き刺さり、そのまま地面に落下した。
「フィーナさん!後ろ!!」
「っ!!はぁぁ!」
「うがァ!!」
魔眼を使用しているフィーナにクーシャが助太刀する。
「あら?ワタクシに手助けなど入りませんわ。しかし、貴方には必要なのかしら?」
「一々棘のある言い方、ムカつくわぁ...........けど、その通りよ、少し手伝ってもらえるかしら」
「仕方ありませんわね、少しだけですわよ!!」
フィーナとクーシャが奴隷商人達に魔法を次々と撃ち込んでいく。
「チィ!!なんだコイツら!!おい、オマエら!!早く片付けろぉ!!」
奴隷商人のリーダーらしき者が指示を出す。しかし、それを聴けるものは隣の仲間1人しか居なかった。
「残念ですが、もう状況的にも貴方達に逃げ場はありません。そのまま抵抗せずに観念して頂けますか?」
アマテが優しく話す。
奴隷商人は唇を噛みながら悔しながらも、手に持っている剣を捨てる。
「ちっ!しょうがねぇ...........俺の負けだ...........」
「ふぅ。何とかなったな」
「ざっちゃん大丈夫?」
レシフェルとエレナがこちらに近づく。
「ええ、こちらは大丈夫です」
アマテが2人の方を見てそう答えた時、奴隷商人の手がポケットに入った。その瞬間をフィーナは見逃さなかった。
「っ!馬鹿っ!余所見厳禁ですわ!!!」
「ハッ!アマテさん!!」
2人の忠告と同時に、2人の奴隷商人は手に数本のナイフを持ち、アマテの前に瞬時に移動する。
「残念だなアンタ。余所見はいかんなぁ!!」
そう発した後、アマテの体に何本ものナイフが突き刺さる。
鮮血の赤が、アマテの体から飛び出す。
「っ!!アマテさぁぁぁぁん!!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ざっちゃんっ!!!!」
ゆっくりとアマテの体が倒れる。
アマテを刺した後、セレナの背後に回り、首元にナイフを突きつける。
「ひぃぃぃっ!」
セレナは恐怖で目から大量の涙が流れている。
「残念だなぁ。そこのモテモテ男子君はお亡くなりになっちゃったねぇ!!クハハハハハ!!おっと、動くなよぉ?少しでも動いたらコイツの首から上が無くなるぜぇ?」
「クッ!!」
「この下衆がぁぁぁ!!」
五人は息を呑む。そのリーダーの動きを見るに、少しでも動いたら、本当にセレナさんの命は無いだろう。彼らは大人しくするしか無かった。
しかしクーシャは目に涙を浮かべて今にも襲おうとしている。
「よくも、よくもアマテさんを.....................っ!!よくもぉぉぉ!!」
「クーシャ!!駄目!!」
「いいねぇ!もっと悔しがれよ...........ほら、大事なお仲間さんが死んじゃったよぉ?」
奴隷商人リーダーの挑発に、クーシャは我慢の限界だった。そして我慢より怒りが勝り、遂に動いてしまった。
「クーシャ駄目ぇぇぇ!!
エレナが止めようとするが、それももう遅かった。クーシャが奴隷商人に向かって攻撃する。
(フッ、かかったな)
奴隷商人はセレナの首に当てたナイフを皮に触れ、ゆっくりとナイフを引く。
ああ、アマテさん、すいません。皆、ごめんなさい。ごめんなさい..........ごめん...........なさ...........
パシッ!!
「...........はっ?」
頓狂な声を出した奴隷商人。セレナは一向に引かれないナイフに疑問を抱いたのか、目をつぶりながら困惑している。
「ここまでにしませんか?」
嘘...........この声...........まさか...........
聞き覚えのある優しい声に、セレナは目を開く。
そこには体にナイフが刺さったままだが、平然としているアマテの姿があった。アマテの手には 奴隷商人がセレナの首に当てているナイフを掴んでいた。
「なっ、はぁ!?なんで死んでねぇんだよ!!」
奴隷商人が心から驚いている。
クーシャ達も、信じられないと言った表情だ。
「ざっちゃん...........?」
「何者なんですの...........あの雑用係...........」
さてと...........後でナイフの事について沢山聞かれるだろうけど...........まっ、それは置いといて。
アマテは手に掴んでいるナイフに力を入れる。
ナイフがパキッと音を立てて真っ二つに割る。
「な、なぁ!?」
「フィーナ!!頼む!!」
「分かってますわ![魔眼!!]」
奴隷商人が驚愕する。アマテがその隙にフィーナに指示を出す。
魔眼の能力で奴隷商人の体が止まる。
「くっ!!クソッ!!このバケモンがァァ!!」
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動けない奴隷商人達は騒動を聞きつけた人界の騎士達に拘束され、王家の牢獄に連れていかれた。その直後、サーヴァンさんもそれを聞きつけた様で、事情を聞くやいなや、奴隷商人達を殺そうと話を聞かなかった。アマテが何とかそれを止めたが、サーヴァンはまだ怒りが収まっていない様子だ。
「アマテに手を出すなど...........次に会った時にはこの世の終わりを見せてやろうぞ」
「サーヴァンさん。それだと僕達も死んでしまいますから」
アマテが思わず苦笑する。
「サーヴァン様、その時は私も一緒に協力致しますニャ。あのクソ共に地獄を見せてやりますニャ」
リークスさん!?貴方もやっちゃ駄目ですよ!?
隣に居るリークスさんも怒り心頭だった。
ちなみにこの状況を見ているカエラやエレナさん達が口を大きく開けて唖然としていた。
「アマテさんって、本当に何者なんですか?」
「もういっその事神なんじゃないか?」
「この状況を見たらそれもわかる気がします」
「...........はぁ、意味が分かりませんわ...........」
「やっぱりアマテさんカッコイイ...........」
四人はため息をつく。
カエラさんの反応が他と違うのは触れないでおく。
「あ、あのぉ...........アマテさん、その...........な、ナイフが...........」
セレナさんがオドオドしながらアマテに話しかける。おっと、すっかり忘れていた。
「あ、大丈夫ですよ。よっと」
そう言いながら、体に刺さったナイフを引き離す。
「ひゃぁぁぁ!?...........ってアレ?傷が...........無い?」
ナイフが刺さっていた箇所に刺し傷が無い。それどころか、ナイフに血が付いていないのだ。
「アマテさん...........貴方は一体...........」
「セレナさん、それはまた今度で。今は子供達の事を優先して下さい」
「!!は、はい!!...........えと、その...........あ、ありがとうございました!!」
と、全員に深々と頭を下げる。そして子供達の元へ駆け寄っていく。子供達を抱きしめるセレナさん。目には涙が浮かんでいたが、その顔は満面の笑みがあった。
セレナさん。次は貴方が頑張る番ですよ。
「さて、アマテさん。貴方の事で聞きたいことが山ほどあります」
アマテに顔を近づけるカエラさん。
「貴方は一体何者なんですか!?ナイフの件や魔王と仲良くなっている件で!!説明して下さい!」
うーん。これはもうダメかな...........
アマテは諦めた様に、ハァ...........とため息を吐く。
「えと...........サーヴァンさんの件は、単に話が合っただけなので、そこまで特別な何かは無いのですが...........」
「いやいや、アマテさんそれ充分凄いよ」
「うん。ざっちゃんそれ特別な何かに入るよ」
レシフェル君とエレナさんが苦笑する。
「ま、まぁ、魔王...........さ、サーヴァンさんとの件は分かりました。」
魔王と呼び捨てされるのが気に食わなかったのか、リークスさんが睨みを効かせる。
カエラの体がプルプルと恐怖で震えている。
大丈夫かな...........カエラさん...........
「そ、それでも!!ナイフの件はどうなっているのですか!?例え伝説の魔術師でも、それこそ、ま.......サーヴァンさんでも、無傷というのは...........無理な筈です。アマテさん貴方は一体」
クーシャさんもそれについては疑問だった。
アマテの体には明らかにナイフが刺さっていた。
魔法で防御という事も考えられるが、アマテの体からは魔力が一切感じられない。物理的にも刺さっている以上、無傷というのはそれこそ神様でも不可能だ。
「.....................」
アマテは黙っていた。目を閉じて考えこむようにして。
「.....................すみません。それでも僕は人間です。それ以上でもそれ以下でも無いんです」
アマテはいつも通りの笑顔で答える。その答えにカエラさんは、駄目か...........という風だ。
「しかし、ただの人ではない事は認めます」
その発言に全員がアマテの方を向く。
そして、彼らはアマテの壮絶な過去を知ることになる。
次こそアマテの過去編を書きます。
山田「たくっ.......しっかりしろよ作者ぁ」
こんな作者ですいません(涙)




