最終話
私達がバルコニーへ出ると――。
「......」
思わず、言葉を失った。
城下町には溢れんばかりの人、人、人。
色とりどりの国旗が掲げられ、広場には花が引き詰められている。
そして、何よりも驚いたのは――。
「......魔族?」
そう、そこには人間だけでなく、魔族の姿もたくさんあったのだ。
人間とは異なる容姿をした魔族たちが笑い合っている。
「驚いたかい?」
「!! エリオス」
私は声をかけられ後ろを振り向くと、正装姿のエリオスが立っていた。
驚き固まっている私の元に近寄ってくると、隣に立った。
「......君と初めて会ったのは魔王城だったね」
「あぁ。そうだな。お前は私に聖剣を向けてきていたな」
「でも君からの申し出で、この国の人間と魔族の関係はよくなってきた」
そういうと、エリオスは私に向かって跪いてきた。
そして、小さな箱を差し出してきた。
「魔界にはどういう風習があるか分からないから人間界ので我慢しておくれ」
「......?」
「......この指輪を受け取ってはくれないでしょうか?」
小箱の中には紅い魔石が嵌った指輪が入っていた。
......記憶にある。
ゼノンと遊びでした"結婚式ごっこ"。
いい大人が何をしているのかと言われたが私達はそれが楽しかった。
......しかしこれは"ごっこ遊び"ではない。
「......エリオス。それを嵌めたい指に嵌めてくれ」
「!! ......左手を」
そう言われ私は左手を差し出した。
エリオスは迷うことなく薬指に指輪を嵌めた。
私は、そのまま跪いているエリオスの額に口づけを落とした。
「!! レビオラ......」
「......私に立ち向かった無謀な勇者エリオスよ。お前を愛したのは誤算だった」
「......それって」
「求婚を受け入れよう」
そして私は群衆に向かって声高らかに宣言した。
「私は"中立の審判・レビオラ"!! 今ここに人間と魔族の共存を誓う!!人間だけではない。魔族だけでもない!! 私はその両方が笑い合える未来を求める!!」
すると、群衆から、パチパチと拍手が起きたかと思うと、それがだんだん大きくなり、大歓声が沸き起こった。
「レビオラ様! バンザーイ!!」
「両種族の共存を!!」
――これでいい。
これが私の望んだ世界。
――もう、振り返る必要はない。
過去は、過去のままでいい。
私はこれからも歩いていく。
人間と魔族。
そのどちらも笑える未来を目指して。
神でもない。
魔王だけでもない。
ただ、この世界に生きる一つの命として。
――中立の審判、レビオラとして。
そして――。
愛する者と共に。
私たちの未来はこれから始まるのだから。




