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ヤンデレ悪役お嬢様は騎士さまに夢を見る  作者: ジーニー
騎士、学園祭への反抗期
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騎士とお嬢様、講堂にて観劇する

お久しぶりです。よろしくお願いします!

「お嬢様、もうすぐ開演ですね」


 ティアベル様の演劇の開始迄になんとか座席を確保することはできた。周りもガヤガヤと開演を楽しみに待っているようで、俺たちの劇の時もこれだけの人がいるのかと思うとかなり緊張してしまう。

 しかし、お嬢様の方といえばそんな俺の緊張など、どこ吹く風のようで涼しげな顔をしている。


「そうね、どんな内容だったかしら」

「さぁ、俺は全く他のクラスの内容とか把握していませんでしたから、分かんないです」


 それどころじゃなかったからね、仕方ないね。

 女装とか女装とか女装とかで、精神が追い詰められていたからね。


「パンフレットとかに載ってるんじゃないですか、あらすじとか」

「確認するほどの時間もないし、まぁ楽しみにしていましょう」


 この人、イゾン大森林の1件から本当にティアベル様のことを好きになったよなぁ。大体のことだったら、どうせつまらないでしょうけどとか言ってるのに……。


「お、幕が上がるみたいですよ」


 アナウンスが入り、ティアベル様のクラスの演目名が読み上げられる。


『これより、1ーEの【騎士恋語り】の開幕です。観客の皆様は、静かにお楽しみください』


 ほぉ、タイトルから察するに、騎士の恋物語のようだ。騎士をやっていた身としては、もう内容に親近感が湧いてくるな。さて、どんなお話なんだろうか。もしかして騎士と騎士が守るお姫様のお話なのだろうか。騎士とお姫様は徐々に心惹かれていくみたいなラブロマンスかな。確かにそういった物語はメジャーだし、学園祭のお題目としてよくあるやつだけれど……。


『わたくし、貴方様のことが好きで好きで好きで……大好きですの』


 お、最初っからモノローグか。なるほど、騎士のことをもう既に好きなお姫様が頑張るお話だ。ちょっと面白そう。


『ですから、わたくしは貴方のことを監禁しようと思いますの』


 んん?


『姫!?』

『分かってくださいますよね? わたくしの騎士様?』


 主人公であるはずの騎士がお姫様に既に監禁されているな……。え?


『わ、訳が分かりません! どうか私に説明をしてください!』

『もう! 分かっているくせに!』

『いや、分かりませんよ!』


 あれぇ?

 なんかデジャブするなぁ、この光景。チラッと横のお嬢様を見る。ムフーとたいそう満足気な顔をしていらっしゃる。ちょっと可愛い。じゃなくて!


「知っていたんじゃないですか、お嬢様?」

「何のことかしら?」


 小声でヒソヒソとお嬢様に話し掛けるが、とぼけられた。確信犯だ、この人。内容の協賛どころか全面的に監修しやがったな。












 これ、俺とお嬢様がモデルの話だ。











『あぁ、姫! 私のこの下らないわがままをどうかお許しください!』

『ダメよ! 戻りなさい! こんな私のために命を賭けようとしないで!』


 いや、やっぱ誰だ、あいつら。

 話の流れとしては、お嬢様が監禁……じゃなかった。お姫様が騎士を監禁し、そこから側仕えとして騎士はより一層姫と行動を共にすることになる。そして、2人は貴族の学校に入学し、今は遠征で森に行ったところだ。しかし、その森には罠があり、2人は絶体絶命の危機を迎えている。


 ここまで聞くと、どうにも俺とお嬢様がモデルでイゾン大森林の一件とイメージが重なるのだが、問題は主演2人の言動だ。というか俺の役をやっている人の言動だ。


 あの騎士の台詞、めっちゃお姫様想いじゃん。なんで? 監禁されてストーキング受けてるのに、どうしてそんなに忠義を尽くしてんの。あといつの間に両想いになってんの。


『姫、私は貴方様を心より愛しております。ですが、どうもここまでのようです……』

『ダメよ、わたくしのために死ぬなんて許さないわ。生涯、わたくしに愛を捧げなさい!』


 あぁ、敵を倒したけど傷だらけの騎士が遺言と愛を囁いている。大丈夫か、そのお姫様はストーカーだぞ? 頼むから目を覚ましてくれ。


 気付けば俺は騎士に多大なる感情移入をし、どうにか目を覚ましてくれと手に汗握って応援をしていた。しかし、現実は非常であった。


『あぁ、姫! そうです。私は貴方に生涯の愛を囁やかねばならない。こんなところで死んではいられません。……どうか貴方様の御慈悲を頂けませんか? 不遜な願いであることは承知の上です。ですが、どうか……!』


 やめろー!! その先はどうあがいても絶望しかないぞ! 大人しく死んでおけ! よく頑張ったから、……な? そんな御慈悲を頂いたら、一生離れられなくなってしまうぞぉ!


『えぇ、もちろんよ。これから先だって何度でもしてあげるわ』


 待て! そんな惨いことを言うな! もう楽にしてあげてくれぇ……。横のお嬢様はすこぶる楽しそうで何よりである。

 そして、2人は幸せなキスをして閉幕した。バッドエンドである。


 あ、ティアベル様は2人を見守る木をやってました。












「面白かったわね」

「えぇ、まぁ手に汗握って応援したくなる作品でした」


 多分、観客の大半の人とは違う意味で。


「ハッピーエンドのいい終わり方じゃない」


 捉え方によってはバッドエンディングだったよ。あの騎士、生涯お姫様に尽くして死ぬんだろうなぁ……あ、目から汁が。


「それにまるで他人事じゃなかったのも良い点ね。まるでわたくしとシキみたいだったわ」

「俺、あんなイケメンじゃないですよ。顔も言動も」


 というか監修がお嬢様だから、フィルター全開すぎる。


「いいじゃない、細かいことは。どうせ演劇だもの」

「まぁ、そうっすね」


 どうせただの演劇だし、お嬢様が満足ならそれでいいけどさ。

 そんな風に話をしていると、ティアベル様がこちらに駆け寄ってきた。いいのか、舞台裏にいなくて。


「エリザ様、トアルさん! 観に来てくださっていたんですね!」

「もちろん、貴女の劇に行かない理由なんてないわ」

「お疲れ様でした、よく似合っていましたよ」


 お嬢様、その常識的な優しさをもう少し俺に発揮してくださってもいいと思うんですよ。ティアベル様もお嬢様の言葉に嬉しそうに笑っている。


「ありがとうございます! でも、トアルさん、私って木の役だったのに似合ってるっておかしくないですか?」

「まぁ、そうなんですが。というか登場人物でもない役ってティアベル様位しかいませんでしたよね?」


 なんで、この人だけ「木」なの。意味が分かんないんですけど。


「それはエリザ様とトアルさんと私の関係的に「木」がベストポジションだったからです!」

「アーシャさん、貴女そんな風に考えていたの……」


 俺とお嬢様がモデルってしれっと確定させやがったよ、この人。


「はい! お二人の恋路を見守る私に「木」という役はまさにハマり役だ! って思ったんです」


 何言ってるのか、さっぱりわかんねぇ。


「相変わらず謙虚ね。でも、そういう姿勢は好きよ」

「ありがとうございます! お二人の尊さを少しでも再現できていたなら幸いです!」


 前向きに頭がおかしくなってやがる……! ツッコミどころが多過ぎて、もう逆に何がおかしいのか俺も分からなくなってきた。


「そういえばシキぴょんの出番もうすぐですよね。私、最前列で観劇させていただきますね! では!」


 言うだけ言って、ティアベルさんは舞台裏に戻っていった。嵐かな?










「さぁ、行くわよシキぴょん」

「え、俺こっからもうそのキャラで通すんですか!?」


 ティアベルさんが去り、俺はお嬢様に引きずられながら楽屋という名の教室へ向かうことになってしまった。この人、ティアベルさんの言葉でめっちゃやる気出してる!


 力が強い、あ、ちょやめて! まだ心の準備ができてないからぁ!


ありがとうございました!

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