第14話
「悠華様、これをこう……です。」
「わわ、……難しいですね。」
「玲音様!少し力を緩めてください!」
「えー、んー……よっと。」
師匠が出来た私たちは、次の日から訓練が始まりました。
いつものように午前中は講義、午後からは凛と蘭と魔法の練習です。
前までは午後は自由だったので、書庫に言っていたのですが、魔法の練習こそが休憩中にやるもののような感じなので、このまま。
凛と蘭に習いだして、どんどん魔法を取得していき、二人でやっていた時と比べて成長スピードが著しいですね。
やっぱり誰かに習うというのは、初見の本を読みながらやるのとはわけが違います。
そんなこんなで早、五ヶ月。
私たちはとうとう学園入学を来月に控えました。
魔法はどんどん取得していき、もう魔法書入門編から初級まで完璧です!
凛と蘭たちに本にも載ってない魔法を少し教えてもらいながら楽しく勉強することが出来ました。
そして、そんな私たちには入学前に大イベントが控えています。
それは“魔力試験”です。
私たち貴族は必須の、平民の方たちは希望者のみの学園入学前にする国内大イベント。
私たちは今の時期、仕事が忙しいはずのお父様とお母様、そして凛と蘭と一緒に試験会場に向かいました。
試験会場は王立図書館の三階で行われます。
扉を開くと大勢の子供たちがひしめき合っていました。
そして別室には連れの皆様が。
こうしてみると、多いですねぇ。
「五十嵐様、こちらへどうぞ。」
私たちはこの国で王家に次ぐ力を持っているので、優遇されているらしく、最優先で試験が行われました。
「それでは、玲音様はこちらに。悠華様はこちらにお願いします。」
「では、玲音。また後で。」
「うん、頑張ろうね。」
使用人の方に連れられ私たちは二手に分かれます。
そして、連れてこられた先にあるのは透き通った水晶の珠でした。
私の手には入りきらないくらい大きな水晶は、何も移していなくてただただ透明でした。
「こちらに魔力を放出してください。」
「はい。」
私は指示通りに魔力を水晶に入れていきます。
すると、だんだん透明だった水晶が青く光出しました。
そしてまだ止めろとは言われないので流し続けます。
すると、青い光が強くなり、目の前が見えなくなるくらいに光ります。
初めてのことにパニックしてますが、[数付き貴族]として変なことはできません。
ポーカーフェイスの下に隠し、たんたんと続けます。
「悠華様、ありがとうございました。以上で終了です。」
やっと静止の合図をいただき、ようやく魔力を送るのをやめました。
こんなに長時間流し続けたことがなかったので少しフラフラしますが、なんとかその場を離れます。
「悠華!」
「終わったかい。お疲れ様。」
「あら、疲れたの?よく頑張ったわね。」
着いた先にもう玲音は終わっていたらしく、お父様たちと一緒にいました。
「はい、お待たせしました。」
やっぱり知らない人がいる所で一人でいるのは少し緊張しましたから、少しつかれました。
「五十嵐様、こちらが今回の結果になります。」
一人の女性が持ってきたのは私たちの結果表らしく、玲音と二人ドキドキしながら開けます。
そこには……
「わぁ!僕が八十八点で、悠華が八十五点だね!」
「おや、流石私たちの子だね。」
「凄いわ!今日はあなた達の好きな物にしましょうか!」
「「!やったぁ!」」
貴族の平均は六十点前後らしく、八十点以上はやはりなかなかいなくて、いたとしてもやはり[数付き貴族]だけらしい。
私たちは予想を裏切らずに高得点を取ることができ、ルンルンと帰っていきます。
私は知りませんでした。
私たちと同じく高得点をたたき出した一人の男の子がいたこと。
そして、それを知った他の人たちが今年の高得点保持者の多いことに盛り上がっていた、ということを。
これにて、幼少期編終了です!
次回は初等部編なのですが、これから受験生ということで更新を一旦停止します。
暇を見つけて書けたら……と思っていますが、今年中の更新は終わりと言うことを一応、決めておきますね。
次の更新まで、お待ちいただけたら嬉しいです。
そして、11月から予約更新で新作を月2で投稿していくので、そちらもよろしければ……。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
綾瀬悠 2015年10月27日